鷹村商事の恋模様

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それっていつから?

このままとは? ~耀視点~

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すったもんだのあげく、彼女の挙動不審さは、電池が切れる寸前まで続いた。
今は、スースーと寝息を立てて眠っているけれど、本当に、覚悟がないって本当だった?
あんなに嫌がっていた割に、無防備に寝すぎてこっちが驚いてしまう。
あまり、僕のこと意識してないよね?実は。

疲れも手伝ってなのか、僕のごはんの準備をしてくれて、僕が食事をしている間に光ちゃんはお風呂に入って。
コンビニで、下着とかスキンケア商品を買ったらしい。
僕のスウェットで良いと言う可愛い彼女。
「むしろご褒美です」と目を輝かせる彼女は、本当に愛おしい。
そう、今日から僕の彼女になった光ちゃん。

少しワクワクしていたのは、お泊りを喜んでくれたってことかな?
僕がお風呂から出たら、もう寝落ち寸前のような状態だった。
何かを話したい様子はあったものの、彼女にしては頑張って僕に応えてくれたこと、僕を受け入れてくれたことで、僕は本当に、満足していた。
だから、彼女の頭を撫でてそのまま眠りについてもらう。

ガッカリする気持ちも勿論あるけれど、彼女の言った『絶対の信頼』という嬉しい言葉を裏切らないためにも、僕も紳士に徹する。
元々、やましい気持ちは…ないと言えば嘘になるけれど、単純に友成さんとデートまがいな時間を過ごしていたことが許せなかっただけ。
だから、僕との時間も設けてほしくて、少し強引に誘った感はある。
だからって、こうも安心して「お邪魔しまーす」と来るとは思っていなかったけど…。
ま、こんなに安心しきって寝ている彼女を、唯一見られるだけで幸せなんだって思う自分がいるのも事実だ。

彼女との出会いは、彼女は良く覚えているって言っているけれど、僕だってちゃんと覚えていた。
彼女は、入学生を誘導している所って言っていたけれど、それはあくまで“彼女が僕を意識した日”だ。
本当はその少し前、高校に通い始めてすぐに、近所で何回か会っていたことを彼女は知らない。
後から知ったけれど、彼女は徒歩でも通える位、学校の近くに住んでいた。
それを知ったのは、偶然生徒会で一緒になったメンバーが幼馴染だったから。

「可愛いのよマジで!何でも全力な感じが」
「へー、話を聞いているだけで、想像がつく感じが確かに面白いね」
彼女のエピソードは多岐に渡り、中でも家族間での中々にアグレッシブな関りがほぼメインだった。
プライバシーとは?と思いたくなるような、詳細の出来事。
彼女の行動力や考え方は、ほとんどがユニークなものだった。
だから、無責任に聞いている分には、毎回申し訳ないほど笑わせてもらっていた。

母親が怖いと言いながら、怒られることを繰り返す。
学習能力がないのか、それとも、少々残念な子なのか。
まるで、読み聞かせを聞いている気分になる彼女は、間違いなく僕と住む世界が異なっていた。
そんなことを思っていたはずなのに、ある暑い日にうっかりをやらかした僕。

急いでいたのは、確かだった。
そして、下校途中の道端でまさかの自転車との接触事故もどき。
幸いどちらも、大きな怪我には繋がらなかったけれど、側で見ていた彼女が大きな声を出した。
「大丈夫ですか!どっちも怪我ないですか?」
そう言いながら、擦りむいてしまった僕の手を、自身の洋服で止血していた。

あっという間の出来事。
見覚えがあるな、と思った時には手を取られていた。
写メでしか知らないはずの彼女が、そこにはいた。
それでも彼女にとっては、僕は見ず知らずの他人。

知らない人間の血がついても、彼女は気にしないのか。
「これ、着替えたばかりなので、綺麗な布です。全然汚くないですよ」
そう言った彼女は、人懐こい顔でヘラっと笑った。

その数日後、彼女の長馴染から再度高橋家の騒動を教えてもらう。
彼女は買ってもらったばかりのワンピースにはしゃぎ、それを着て外に出たものの、すぐに血だらけにして帰って来て母親に拳骨をくらったという痛い話だ。
その話をしながら、彼女は「てか、ウケるんだけど、あの子さ自分の血じゃないって言い張って、ママに『うそつくな』って怒られて、拳骨くらったらしいの。それでさ私に『マジで星って飛ぶんだよ?ビックリだよね、知ってた?』とか言うの。でっかいたんこぶ作ってさ」と笑いながら教えてくれた。

その話を聞いて、本気で彼女の家に謝りに行った方が良いのか、それとも、彼女の服を弁償した方が良いのか悩みに悩んだ。その日の放課後、意識して彼女の家の方角に向かい、さりげなく様子を伺う。
手の擦り傷は、綺麗なかさぶたになっていた。
同級生から聞いた、分かりやすい目印の家。明るい色の外壁は、近所でも有名な賑やか家族なんだとか…。
その前まで差し掛かった時、ふと玄関が開く音がした。

「光!また汚すんだから、綺麗なのは着るの止めなさいよ!」
母親だろうか、そんな声が聞こえた。
確かにあの日着ていた服は、綺麗なワンピースだった。
申し訳ない気持ちになりながら、彼女の姿を探す。
僕からは見えない位置に彼女はいるらしいが、その姿は道路からは確認できなかった。

「大丈夫、今度は汚れが落ちやすい服を選んだから!」
「そんなこと言って、この間だって、すぐ血だらけにしたじゃないの!」
気まずい。
「あれは、たまたまだよー」
「まだ懲りてないの!何言ってるの!?」

「だって、パパが言ってたもん。綿は血が落ちにくいって、この間のワンピースは綿だったからいけなかったんだよ。今日はポリエステル?だから大丈夫!」
「こら!光」
「ちゃんと、門限までには帰るもーん!」
「時計は見なさいよ!」
「はーい!」

そんな会話を耳にし、今更自分が出て行っても不審者になってしまうと思い、そっと後にした。
何とも不思議で、柔軟な考え方をする子だと思った。
その後、入学式で出会ってから、偶然彼女のとの距離は縮まった。
もう僕のことを覚えていない彼女から、「初めまして!」と挨拶をされた。
生徒会で、思いがけず真面目に働く彼女を可愛いと思いながらも、その距離感は平行線だった。

いつでも僕のことを「カッコいい」「ステキ」「流石」「王子様」と褒める癖に、こっちが構おうとするとすぐに逃げていく。まるで警戒心の強い、ネコのような子だと思った。
それでも、僕が微笑めば彼女は顔を赤くさせて喜んだ。
好かれていると、本気で思っていた。

でも、彼女はそうじゃなかった。
告白され彼氏ができたんだと、あっさり僕意外の男と付き合い始めた。
あの時のショックと言ったら、言葉には表せないほどだった。
落ち込む僕をよそに、彼女は無邪気に「初デート!」とはしゃいでいた。
長続きはしないものの、彼氏は度々更新された。

「理想の彼氏は、耀先輩みたいな人」
僕の気も知らないで、呑気にそんなことを言う彼女。
僕としては、すぐにでも彼氏になれる気持ちだけはあった。
でも、彼女は「好き」という言葉に過剰に反応し、僕との距離はやっぱり変わらないままだった。

彼女への思いが決定打になったのは、その年の謝恩会でのこと。
僕らの高校は、伝統だか何か知らないけど、謝恩会が2日に渡って行われていた。
1日目は在校生から、卒業生へ向けて。
2日目は卒業生を含む、全生徒から教師陣へ。
その頃、生徒会選挙が終わり、次点の尾田と少しぎくしゃくしたままの行事実施となってしまった。

自分では会長になるのは当たり前と思っていた部分があり、それを驕りだと尾田に諭され、会えばお互いの気に入らない部分を言い合うような些細な衝突を繰り返していた。
尾田は、可愛いアレンジメントをしてくれるという花屋への花束を注文する係で、1日目と2日目で2セットずつ発注しているはずだった。毎年発注していることで、花屋も注文に慣れていた。

その頃の僕たちは会話もほとんどなく、行事の準備も最低限の確認しかせず、後輩にも嫌な空気を感じさせていた。
毎年行われている会をなぞるだけ、という気持ちのゆるみもそこにはあったと思う。
だから、当日のトラブルは本当に予想外だった。

1日目、会は何となく進んで行き、在校生代表の送る言葉があと少しというところで、トラブルが発生したと尾田が焦った様子でやってきた。
今は、今年1年の振り返りで、動画編集された物を再生し、会は和やかに進んでいた。
薄暗い体育館の中で、僕たちの回りだけ緊張感が漂った。
尾田が言うには、花束が届いていないとのこと。

慌てた僕も、きちんと花屋に日時の確認をしたのか、尾田に詰め寄った。
しかしそこで、尾田がごねた。
確実に今日の日付で言っているのに、間違えているのは花屋の方だと譲らなかった。
僕と尾田で「言った」「言わない」の言い合いが始まった。

埒が明かないと、僕も体育館を後にし、職員室から花屋に問い合わせをした。
「発注日が」で止まったメモ書きの言葉、すでに尾田が問い合わせをしたのだろう。
同じ内容の電話にややうんざりしながらも、店員は配達指定日は明日になっていると教えてくれた。
幸い花屋の場所が近いため、30分ほどなら遅らせてもどうにかなる。

小さい希望を込めて、代わりのアレンジメントを頼もうとしたが、毎年学校で特注仕様に頼んでいるもののため、用品が足りないと言われてしまえば、僕たちではどうしようもできなくなってしまった。
小さなブーケを発注し、すぐに届けてもらうようお願いした。
呆然としたまま体育館に戻った僕に、生徒会のメンバーも何も言えなかった。

吹奏楽部の彼女は、不安そうだったのに、更に顔色を悪くしてしまった。
元々送る言葉の代表に、ダンス部の2年生と吹奏楽部の2年生が立候補していた。
吹奏楽部は、県の代表になり、表彰もされたことで、今回の送る言葉の代表になっていたが、ダンス部の2年生も卒業生への思いはとても強かった。
5分でも良いから、ステージでダンスをする時間が欲しい、言い方や演出を変えて何度も直談判に来られ、少しうんざりしていたが、会の遂行や段取りを考えると許可は出せなかった。

動画の時間は、持ってあと15分で終わってしまう。
後輩も同級生も、困った顔でこっちを見ている時に、視界の端でこそこそしている生徒が出て来た。
光ちゃんを始めとする、ノリの良い生徒たちだ。
動画の邪魔にならないように、音を立てずに数人ずつステージの袖に消えていく。
何をしているのかは不明だし、それを今確認することはできない状況だった。

体育館の照明を明るくする時間が、刻一刻と近付いていた。
何て謝罪する。僕が頭を下げてどうにかなるものか?
これで、僕たちの代の行事は失敗からスタートすることになる。
折角引き継いでくれた、先輩たちのガッカリする顔が浮かんだ。
何も、考えられなくなった。

動画終了というタイミングで、僕の前にステージに走って上がった人影がいた。
暗い中、スポットライトを浴びたのは、光ちゃんと選挙選を欠病した子だった。
2人は、とても真剣な顔をしていた。
何が始まるのかと、3年生は発言を待っていた。

「トラブルがありました!今日先輩たちに渡す大事な花束が、届いてなかったんです!」
その衝撃のカミングアウトに、生徒会の先生が袖にやって来た。
「おい、錦織!どうなってるんだ?」
どうって言われても、もう何かが始まっている。
これを収集する術は、僕にはない。
呆然と、ステージに立つ2人見つめる。

会場が少しざわざわしている。
「折角の送りだす気持ちを台無しにして、すみません!」
勢いよく頭を下げ、遠くなったマイクにもう1度「すみませんでした!」と声が入る。
光ちゃんと、もう1人の子はすぐには頭を上げなかった。

3年生の、「えー?」「花束なし?」「じゃ、送る言葉は?」というざわめきが広がり始める。
2人はしっかり下げていた頭を上げ、それでもまっすぐ前を向いていた。
「花束はありませんが、私たちは先輩たちに最大の感謝を伝える方法がありました!それではどうぞ!」

「どうぞ」の言葉をきっかけに、体育館が明るくなり、陽気な音楽が流れ出す。
スマホをスピーカーに繋いだようで、ダンス部の1年生と2年生がステージに集まって来た。
ダンス部で使用している練習着に着替えたようで、動きは制服よりも軽やかだった。
ダンス部員はみんな笑顔だった、自分たちでテンションを上げるように、大きな声で「イェーィ!」「フー!」と両手を振りながら盛り上げていた。
20人以上はいるだろう生徒が、ステージ上で活き活きと踊っている。

ダンス部員の3年生が、ステージ前に集まって来た。
手拍子をし、踊る後輩たちと同じように「イェーィ!」と言いながら盛り上げ始めた。
それを機に列で並んでいた3年生が崩れ、ステージに近付いて来る。
即興で踊っていたダンスを経て、1年生がステージから降り、2年生がステージ上でポーズを取る。
陽気なBGMがフェードアウトし、照明が少し落とされる。

「今までの感謝を込めて、大好きな先輩たちに送ります!」
マイクを通さない大きな声が、その場に響く。
2年生のダンス部長になった子だった。
何度も直談判に来ていた時の悲壮な面影はどこにもない。
にこやかなその表情。
予定ではなかったはずなのに、演出なのかと思うくらい自身に満ち溢れた姿だった。

洋楽が流れ始め、その音楽に合わせて2年生が踊り始めた。
後から聞いた話だが、その音楽は3年生が好んで良く楽屋に流していたものだったらしい。
ダンスの経過と共に、1年生が大きな声でダンス部員の3年生の名前を呼んでいく。
呼ばれた生徒は、満面の笑みで手を振ってそれに応えていた。

「ありがとうございます!」
「お世話になりました!」
「大好きです!」
「寂しいです!」
「お元気で!」
「先輩たちのこと、絶対に忘れません!」

まるで3年生全体を送り出すような、1年生からのメッセージ。
踊っている2年生を盛り上げながらも、1年生の送る言葉は止まらない。
言いながら、泣いている生徒がいた。
3年生との時間を思い出してか、大きな声で必死に言うことで感情が溢れたのか、泣いてしまったのだろう。
感情の波は、あっという間に広がって行った。

1年生が泣くことで、2年生まで感情的になったのだろう。
2年生の方が、3年生との思い出は多い。
その思い出に比例してか、ダンス部員ではない見ているだけの生徒にも、感情のリレーが続いていく。
一気に感情が溢れ、体育館の中にすすり泣く声が増えて行った。

勿論そこには、冷ややかな視線を送る生徒もいた。
ただ、この感情に流されまいとするもので、この会を否定するようなものではなかった。
そのことに安堵しながら、自分もその空間を見つめていた。
時間にしてみたら、10分もなかったと思う。

さっきまでの、絶望的な「どうすれば良い?」という雰囲気は、すっかりなくなっていた。
音楽が終わり、ダンス部員が一斉にステージに集まり、勢いよく揃ったお辞儀をする。
「今までお世話になりました!ありがとうございます!」
拍手が起こり、感情の波が去って行った。

「耀先輩!」
小さい声で呼ばれ、我に返る。
そこには、瞳を輝かせている光ちゃんがいた。
「次は、送る言葉ですよ」
花束の下りは、一旦保留とし、そのまま予定通り会を進行していく。

吹奏楽部の彼女が読み上げるものは、事前に何度も確認されたことで、耳に心地良く響いていった。
さっきまでの熱気は薄れていても、とても心のこもった読み方に、今度は感情ではなく感動が広がって行く。
涙声になりながら読み上げるその文章に、3年生はすっかりしんみりしていた。

最後、終了の挨拶でステージに上がった僕。
再度花束の件を謝罪し、頭を下げた。
しかし、非難する声はどこにもなかった。
その頃には届いていた小さなブーケを、元生徒会長にそっと手渡した。

世代交代を表したようなステージに、拍手が自然と起こっていた。
この世界は、作った物ではない。
だけど、3年生は満足そうな表情をしていた。

僕がしたことは、最後に頭を下げただけ。
僕だけが取り残されたような、失敗の記憶。
なのに、それもなかったように、元生徒会長は「十分なはなむけだった」と言ってくれた。
じゃあ、この空間を作り出したのは?

それは、へらっと笑ったあの日の彼女だ。
それから、尾田と腹を割って話をし、「言った」「言わない」のくだりは、もうどうでも良いこと。
行事を行う際、惰性で準備をすること、確認を怠ったこと、きちんと段取りをしていなかったことなど、自分たちが思った反省点を全て上げていった。
今回の謝恩会で、何故か“デキる代”だと、評価をもらい僕も尾田も戸惑ったから。

僕は、何もしていない。
その評価は正当じゃない。
何もできなかった僕たちに比べ、あの日、ノリだけで感情に訴え、感動的なステージを作ったのは紛れもなく彼女たちだ。
僕も尾田も、深い敗北感を味わった。
それにも関わらず、「デキる代は違う」「流石です!」と他人事のように、振舞う彼女。

だから、その“デキる”に報いようと、何度も行事前は話し合いと確認を忘れずに行った。
結果、1年間を通して評価の高い行事と、生徒の満足度を満たす場を設けることができた。
行事を成功させても、僕と尾田はあの日の“成功”には敵わなかったと、何度も反省を繰り返した。

だから、どの行事にも、手を抜かない僕たちが出来上がった。
ちなみに、彼女たちが僕たちを送り出す時の謝恩会は、『クラブで感謝~パーリーナイト~』というなんともふざけたものだった。体育館をクラブに見立て、高校生が再現できる“パリピ”を各ブースで体験できるという、文化祭のような会になっていた。
「サンキューな」
「マジ感謝」
そう言いながら、3年生を送る在校生は、みんな楽しそうだった。

去年を知っている生徒たちは「こんなもの」「あれ?クォリティ」となったようだが、そんなことを彼女たちは気にしていなかった。
先に「耀先輩たちとは違うんでー」と布石を投じまくり、文句を言う3年生がいようものなら、「だって、先輩たちと違うから、マジでごめーん」「えー、じゃ逆に面白いことやってくださいよー」とその場を盛り立て、それ以上言えなくさせていた。

でも、僕と尾田はちゃんと分かっていた。
あの会が、綿密に計画された“茶番”だったことを。
即興で、あれだけの空間を作れる能力があるくせに、それをしなかったのは、きっと僕たちを立てるため。
そして、この後に続く後輩たちにプレッシャーを与えないため。
それを知っていたから、僕が非難するという形は一切取らなかった。

僕が苦言を呈さないことで、3年生も特に何も言わなくなった。
諦めて会に参加すると、それはただ楽しいだけの空間だったから。
感動とは全く無縁の、終始和やかで楽しい会だった。
泣く生徒もなく、みんな笑顔のまま終了した。

急に感傷的になった自分を思い出し、眠る彼女の頭を撫でる。
無邪気に楽しみ、素直に行動する彼女は眩しい。
眩しさで、彼女を直視できなくなるくらい。

「だから、僕は君が好きだよ」
信じられないなら、この先かけて一生言うから。
ずっと過ごすために、君も早く慣れてね?
眠る彼女の額に、触れるだけのキスをする。

この先もずっと、君と一緒にいられる権利を。
君との人生を、僕にちょうだい。
やっと感じることができた幸福。
そう、幸せだ。

このまま過ごせる一生は、何て幸せなことだろう。
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