見ることの

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 刺すような光のせいでずっと見えなかった目も、回復魔法のおかげか分からないけど少しだけ見えるようになってきた。

 顔をあげると視界に入ったのは白銀。白、いや灰色っていうのか? 白と銀と灰色をほどよく混ぜたような色だ。目の覚めるようなその色が髪の毛だと気づいてびっくりした。
 それに夜明け前の空のような紺色の瞳。美しくて吸い込まれそうなその目は、じっと俺を見つめていた。瞳の中に何か赤茶色の物体がうつってる。もしかして俺かな。

 それにしても……なんて美人なんだ。一つ目小僧とか想像していたのに、前世の記憶の人間の姿そのもので、さらに想像を絶する美形だ。年齢は十歳くらいだろうか。子供なのにこの美しさ。将来どれだけの人間を魅了するんだろう。

「キュイー……」

 ヒースの胸に頭を擦り付けると、彼はにこにこ笑った。

「くすぐったいよ。お前、今あやうく卵料理にされるところだったんだぞ。無事生まれてよかったな。そうだ、お前に名前をつけなきゃな」

「キュイー、キュイー」

 どうしたんだろう。好きが溢れて止まらない。卵の中にいても大好きだったけど、会えたらもっと好きになった。この切なくて嬉しい気持ちどこから来るんだ。よく分からないけど、頭を撫でてほしくて必死に身体をこすりつける。

「エリオット様にも困ったものですね」

 ジェイソンの声がしたのでそっちを向くと、想像より若い男性がこっちに歩いてくる。二十代後半くらいだろうか。髪の毛も服装も黒い。ジェイソンの声は渋いから、もっと年上だと思ってた。

「父上に言っても無駄だろうな」
「とにかく報告はいたします。ところで、生まれたのですね」
「そうなんだ。こいつ、なんでこんなに鳴いてるんだ? 餌が欲しいのかな」
「それもあるでしょうが、ヒース様を母親だと思っているのではありませんか? たしか、鳥の雛は卵から産まれて最初に見た動くものを親だと思う習性があるとか」
「ふうん。お前、俺が親だと勘違いしてるのか」

 違う……と言いたいけど、この抗えない愛情にはその本能も関わってるのかもしれない。ヒースが親じゃないことは知ってるけど、卵を暖めてくれたことは間違いない。だからこの心音や体温や声に包まれているとひどく安心する。

「キュイ」

「俺はヒース、よろしくな。こっちは従者のジェイソンだ。乱暴者のエリオットを最初に見なくて良かったな」

 ヒースは俺を抱き上げると、上から下までまじまじと眺めた。照れるな。
 ヒースが卵を大きいって言ってたから、俺は自分の身体はもっと大きいと思っていたのに、子供のヒースの両手におさまるくらいの大きさしかない。

「こいつ、トカゲみたいな形だけど羽がある。あとオスだな」

 羽? 鳥かトカゲじゃなくて、もしかして俺はトカゲ鳥なのか?








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