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第28話 ヴェルプス④

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トーシンが反撃を開始してどのくらいがたっただろうか。

トーシンは、地道に攻撃を重ねてついに、ヴェルプスのHPを半分近くまで削っていた。

(HPがもうすぐ半分か。キングコボルトの時の事から、こいつも何かしらの特殊行動をとると考えた方がいいな。)

トーシンの考え通り、ATOのボスクラスモンスターは皆HPが一定値以下になると特殊行動を取るように設定されていた。

このことをトーシンは知らなかったが、学生時代に遊んでいたゲームの中にHPが一定値以下になると特殊行動を取る敵が出るゲームをいくつかプレイしていた為にこういう考えに至ったのだ。

(どんな事をするんだ?毒使う敵だし毒ブレスとか?それともキングコボルトの時みたく仲間でも呼ぶのか?もしそれならリスポーンほぼ確定だからやめてくれよ。)

トーシンが、あれこれ特殊行動を予想しているうちにヴェルプスは行動をはじめる。

結果からいえば、トーシンの予想は2つとも外れていた。というのも、ヴェルプスのとった行動はヴェルプスの外見的特徴からその行動はとらないだろうと考えていたからである。その外見的特徴とは尻尾の長さである。

ヴェルプスの尻尾はかなり短いのである。そして、トーシンはその尻尾の長さでテールスイングはしてこないだろうと考えていた。だが、ヴェルプスはテールスイングをしてくる。

しかし、現状のトーシンとヴェルプスの距離でテールスイングをしたところでトーシンには尻尾が伸びたりしない限り絶対に届かないのである。

案の定、ヴェルプスのテールスイングはトーシンに届かず、トーシンに背を向けた状態となりテールスイングは止まる。

(なんだ?何がしたいんだ?距離を見誤った?そんな馬鹿な。こいつはゲームのモンスターだぜ?特に回避行動とったわけでもないのに絶対に外れるような攻撃をするか?)

トーシンはヴェルプスの不可解な行動について考える。が、その答えはすぐにわかった。

ヴェルプスの尻尾がポロリと落ちたのである。そして、ヴェルプスはその落ちた尻尾を後ろ足で蹴り上げる。そう、ヴェルプスの特殊行動はそもそもテールスイングではなかったのである。

それから、蹴り上げられた尻尾は綺麗な放物線を描き、トーシンの頭上で頂点に達する。そして、尻尾が爆発して凄まじい勢いで毛が発射され、トーシンに雨のように降りそそぐ。

発射された毛は針の様に鋭く、トーシンに突き刺さる。

毛針の1本のダメージはほんの僅かではあるのだが、その数が多いためトーシンのHPがゴリゴリ削られていく。

「グゥ!!」

(クソッタレ狼が!誰が尻尾を蹴り飛ばして、爆発させて、尻尾の毛を毛針として放って攻撃するなんて予想できるかよ!しかも、尻尾にも毒があったみたいで毒状態になってるし!)

そんな事を考えながら、トーシンは盾で毒毛針の雨を防ぐ。

それから少しして、毒毛針の雨がやんだ。そして、トーシンはヴェルプスの方を向こうとすると、そこには既にヴェルプスの爪が迫っていた。

「あっ…、これヤバいやつだ…。」

ヴェルプスの爪がトーシンに直撃する。



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