エンシェント・テイル・オンライン

日白

文字の大きさ
上 下
28 / 46

第27話 ヴェルプス③

しおりを挟む
「ガルァ!!」

一撃を当てて喜んでいるトーシンに、ヴェルプスは牙での攻撃を仕掛ける。

「おっと。あぶねぇ!」

盾でかろうじて防ぐ。

防がれたヴェルプスは、すぐさまトーシンから今までよりも多く距離を取り、トーシンとヴェルプスの距離は6~7メートルほど離れる。

(1発当てたくらいで油断しちゃダメだな。)

トーシンは、再び気を引き締める。

そして、ヴェルプスとトーシンは互いに睨み合う。

(さぁ、次はどう来る?あいつの攻撃を予測しろ。噛みつき?飛びかかって爪での攻撃?それとも、距離を詰めて爪で攻撃か?)

トーシンは、ヴェルプスのしうる攻撃を予測する。

(とりあえず、あいつのモーションをしっかり見極めろ。)

トーシンが、ヴェルプスの動きを注意しながら見ていると、ヴェルプスが動き出す。

まっすぐ、トーシンの方へと走り出す。

(まっすぐ来た!てことは、爪か牙のどっちかだ!どっちだ?爪か?牙か?)

トーシンは、見極める。再びの攻撃チャンスを得るために。

だが、トーシンの爪か牙かの2択という考えは間違っていた。

トーシンがその間違いに気づくのは数秒後の事だった。

距離を詰めていたヴェルプスとトーシンの距離は1メートルもないくらいまで近づいていた。

(ここまで、近づいてもどちらの攻撃モーションをとらない?まさか!?こいつの攻撃は、爪でもなければ牙でもない!?)

トーシンの脳裏にとある攻撃の可能性が浮かび上がり、咄嗟にその攻撃を防ぐ為に盾を構えようとする。

だが、その瞬間。

ヴェルプスは走った勢いをそのままに体当たりをしたのだった。

「グゥッ!」

トーシンが咄嗟に構えた盾は、ギリギリのところで間に合った。

しかし、足にまで力を入れることが出来ずトーシンは吹っ飛ばされ、地面に転がる。

「おいおい、なんて威力してんだよ。盾でガードしたのにHPがかなり減ってるじゃん。」

トーシンが立ち上がりながらHPバーを確認すると、8割近くあったHPが一気に残り2割程まで減っていたのだ。

すぐにでもHPを回復させておきたいトーシンだが、そんなことはお構い無しにヴェルプスの猛攻が襲いかかる。

そんな猛攻を回避し、わずかにできた隙を狙いHPを回復させていく。

(さてと、HPは大体回復したことだし反撃といこうか!)

トーシンは回避するのをやめ、迫り来る攻撃を盾で防ぐ。そして、先程ヴェルプスに攻撃を当てた時と同じく距離を取るのと同タイミング同方向に距離を詰め自身の攻撃をヒットさせる。

(よし、やっぱりこの方法なら攻撃を当てられる。なら、突進にさえ気をつければこの調子でHPを削れる。)

トーシンの考え通り、現状のヴェルプスで気をつけるのは爪や牙による攻撃でなければ、毒でもなく、盾でガードしてなお8割近くあったHPを残り2割まで一気に削った突進攻撃である。

(けど、突進攻撃はあいつもそんな何回も使えないだろう。さっき、ガードした時に一瞬だけどHPが減ってるの見えたからな。)

そう、先程突進を受け吹っ飛ばされたトーシンは吹っ飛ばされながらも一瞬ではあるが、ヴェルプスのHPが減少するのを確認していたのである。

(それに、多分だけど突進攻撃する時も見分けられるはず。さっき、突進攻撃をする時あいつは通常よりもかなり多く距離をとった。多分、突進攻撃する時は助走つけるために距離が必要なんだろ?だったら、あいつがどれだけ距離をとるかしっかり見極めれば、突進攻撃か、爪や牙の攻撃かの判断はできるはずだ。)

トーシンは、突進攻撃をそう考察しながらヴェルプスと戦い続ける。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】

一樹
SF
ちょっと色々あって、オンラインゲームを始めることとなった主人公。 しかし、オンラインゲームのことなんてほとんど知らない主人公は、スレ立てをしてオススメのオンラインゲームを、スレ民に聞くのだった。 ゲーム初心者の活字中毒高校生が、オンラインゲームをする話です。 以前投稿した短編 【緩募】ゲーム初心者にもオススメのオンラインゲーム教えて の連載版です。 連載するにあたり、短編は削除しました。

孤児院で育った俺、ある日目覚めたスキル、万物を見通す目と共に最強へと成りあがる

シア07
ファンタジー
主人公、ファクトは親の顔も知らない孤児だった。 そんな彼は孤児院で育って10年が経った頃、突如として能力が目覚める。 なんでも見通せるという万物を見通す目だった。 目で見れば材料や相手の能力がわかるというものだった。 これは、この――能力は一体……なんなんだぁぁぁぁぁぁぁ!? その能力に振り回されながらも孤児院が魔獣の到来によってなくなり、同じ孤児院育ちで幼馴染であるミクと共に旅に出ることにした。 魔法、スキルなんでもあるこの世界で今、孤児院で育った彼が個性豊かな仲間と共に最強へと成りあがる物語が今、幕を開ける。 ※他サイトでも連載しています。  大体21:30分ごろに更新してます。

処理中です...