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第27話 ヴェルプス③

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「ガルァ!!」

一撃を当てて喜んでいるトーシンに、ヴェルプスは牙での攻撃を仕掛ける。

「おっと。あぶねぇ!」

盾でかろうじて防ぐ。

防がれたヴェルプスは、すぐさまトーシンから今までよりも多く距離を取り、トーシンとヴェルプスの距離は6~7メートルほど離れる。

(1発当てたくらいで油断しちゃダメだな。)

トーシンは、再び気を引き締める。

そして、ヴェルプスとトーシンは互いに睨み合う。

(さぁ、次はどう来る?あいつの攻撃を予測しろ。噛みつき?飛びかかって爪での攻撃?それとも、距離を詰めて爪で攻撃か?)

トーシンは、ヴェルプスのしうる攻撃を予測する。

(とりあえず、あいつのモーションをしっかり見極めろ。)

トーシンが、ヴェルプスの動きを注意しながら見ていると、ヴェルプスが動き出す。

まっすぐ、トーシンの方へと走り出す。

(まっすぐ来た!てことは、爪か牙のどっちかだ!どっちだ?爪か?牙か?)

トーシンは、見極める。再びの攻撃チャンスを得るために。

だが、トーシンの爪か牙かの2択という考えは間違っていた。

トーシンがその間違いに気づくのは数秒後の事だった。

距離を詰めていたヴェルプスとトーシンの距離は1メートルもないくらいまで近づいていた。

(ここまで、近づいてもどちらの攻撃モーションをとらない?まさか!?こいつの攻撃は、爪でもなければ牙でもない!?)

トーシンの脳裏にとある攻撃の可能性が浮かび上がり、咄嗟にその攻撃を防ぐ為に盾を構えようとする。

だが、その瞬間。

ヴェルプスは走った勢いをそのままに体当たりをしたのだった。

「グゥッ!」

トーシンが咄嗟に構えた盾は、ギリギリのところで間に合った。

しかし、足にまで力を入れることが出来ずトーシンは吹っ飛ばされ、地面に転がる。

「おいおい、なんて威力してんだよ。盾でガードしたのにHPがかなり減ってるじゃん。」

トーシンが立ち上がりながらHPバーを確認すると、8割近くあったHPが一気に残り2割程まで減っていたのだ。

すぐにでもHPを回復させておきたいトーシンだが、そんなことはお構い無しにヴェルプスの猛攻が襲いかかる。

そんな猛攻を回避し、わずかにできた隙を狙いHPを回復させていく。

(さてと、HPは大体回復したことだし反撃といこうか!)

トーシンは回避するのをやめ、迫り来る攻撃を盾で防ぐ。そして、先程ヴェルプスに攻撃を当てた時と同じく距離を取るのと同タイミング同方向に距離を詰め自身の攻撃をヒットさせる。

(よし、やっぱりこの方法なら攻撃を当てられる。なら、突進にさえ気をつければこの調子でHPを削れる。)

トーシンの考え通り、現状のヴェルプスで気をつけるのは爪や牙による攻撃でなければ、毒でもなく、盾でガードしてなお8割近くあったHPを残り2割まで一気に削った突進攻撃である。

(けど、突進攻撃はあいつもそんな何回も使えないだろう。さっき、ガードした時に一瞬だけどHPが減ってるの見えたからな。)

そう、先程突進を受け吹っ飛ばされたトーシンは吹っ飛ばされながらも一瞬ではあるが、ヴェルプスのHPが減少するのを確認していたのである。

(それに、多分だけど突進攻撃する時も見分けられるはず。さっき、突進攻撃をする時あいつは通常よりもかなり多く距離をとった。多分、突進攻撃する時は助走つけるために距離が必要なんだろ?だったら、あいつがどれだけ距離をとるかしっかり見極めれば、突進攻撃か、爪や牙の攻撃かの判断はできるはずだ。)

トーシンは、突進攻撃をそう考察しながらヴェルプスと戦い続ける。
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