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第21話 コボルトメタル

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キングコボルトとの激戦を制したトーシン達は、ドロップアイテムの採取をしていた。

ATOでは、パーティでボスを倒した場合ドロップアイテムは、パーティ内のプレイヤー毎でドロップするシステムになっている。そのため、ボスドロップでパーティ内で揉める事はあまり無いようになっている。

(さてと、俺のドロップアイテムはと。)

トーシンは、自身のドロップした3つのアイテムを確認する。

(えーと。キングコボルトの毛皮と、キングコボルトの爪と、コボルトメタルか。毛皮と爪はいいとして、コボルトメタルってなんだ?)

そう思い、コボルトメタルのアイテム詳細を確認する。

ーーーーーーーーーーーーーー
アイテム名:コボルトメタル
種類:素材アイテム
個数:1
<取り出す>
<閉じる>
詳細
限られたコボルト種の体内でごく稀に生成される綺麗な青色の鉱物。とても希少。加工が非常に困難。売却不可。
ーーーーーーーーーーーーーー

(これは、レアアイテムっぽいな。けど、加工が非常に困難ってフェルリア村で加工できるのか?まぁ、村で聞けばわかるか。)

「じゃあ、そろそろ村に戻りましょうか。」

「そうですね。」

そうして、2人は村に帰ろうとボス部屋を出ようとする。扉には、入ってきた時は気づかなかったが青白い宝石の様な物が埋め込まれていた。

(そういえば、ゼエルさんが扉の宝石に触れるとダンジョンの外に転移できるって言ってたな。)

ここに来る前に、ゼエルから聞いていた情報を思い出す。

トーシンが、扉の宝石に触れるとダンジョンの外に転移するかどうかの画面が表示され、YESを選択する。

トーシンとシズクの体が光に包まれ、光が収まるとダンジョンの外に転移していた。

「えっ?あれ?なんでダンジョンの外に?」

突然ダンジョンの外に転移して、シズクが驚く。

「あ、すみません。ダンジョンの外に転移する方法をゼエルさんから聞いてたんで試して見ました。」

「あー、そうだったんですか。」

「先に、伝えて置くべきでしたね。すみません。」

「いえいえ、大丈夫です。ちょっと驚いただけですので。それより、早く村に戻って報告しちゃいましょう。」

「はい。本当にすみませんでした。」

そうして、2人は再び村への帰り道につく。

道中、運営からの緊急メッセージが届いた。その内容は、不具合が見つかった為に緊急メンテナンスを実施するというものだった。

「この後、緊急メンテナンスがあるみたいですね。」

シズクが、運営からのメッセージを見てトーシンに言う。

「はい。なので残念ですけどクエストの報告したら今日は遊んでる時間がもうなさそうですね。」

「ですよね。」

シズクは、少し残念そうな顔をしていた。

「良かったらなんですけど、これからも都合がいい時に一緒にパーティ組んで遊びませんか?」
 
シズクの目が輝く。

「はひゃい!!私で良ければいくらでもお付き合いさせていただきましゅっ!」

そう言って、シズクは噛んだのが恥ずかしかったのか顔を赤くする。

「ハハ。じゃあ、これからもお願いします。」

その後も、2人は雑談をしながら村に帰っていく。

◆◇◆◇◆

村に着き、トーシンとシズクはクエストの報告を済ませる。そして、新しくクエストを受けたのだが、このクエストをクリアすることで次の街に行けるようになるようだった。

クエストの名前は「次なる街」。内容は、次の街につながる道に現れたモンスターを倒して欲しいとの事だった。

このクエストを2人は迷うことなく受けた。

「ありがとうございます。では、ご武運をお祈りしております。」

ゼエルのその言葉を聞き、2人はその場を後にする。

ちなみに、今回のクエストクリアの報酬とキングコボルトの戦いで獲得した経験値で2人ともレベルアップした。トーシンは4上がり、シズクは5上がる。

「じゃあ、俺はこの後武具屋に用事があるのでここで失礼します。お疲れ様でした。」

「はい、お疲れ様でした。私はもうこのままログアウトします。今日は、ありがとうございました。」

「いえ、こちらこそありがとうございました。それでは、また。」

そう言ってトーシンは武具屋の親父のもとへと向かう。

(一応まだ時間あるし、コボルトメタルの加工ができるかだけでも聞いておこう。)

そう、用事とはコボルトメタルの加工が可能かどうかを聞くためだったのだった。

◆◇◆◇◆

「すみません。」

武具屋に着いたトーシンは、武具屋の親父に話しかける。

「おぉ!兄ちゃんどうしたんだよ?」

「実は、このアイテムの加工が可能かどうか知りたくて。」

そう言ってトーシンは、アイテムボックスからコボルトメタルを取り出し武具屋のカウンターの上に置く。

「ん?なんだこれ?」

武具屋が置かれたコボルトメタルをじっくり見る。

「っておいおい!これ、コボルトメタルじゃねぇか!」

武具屋の親父が驚く。

「はい、そうです。キングコボルトを倒したら手に入ったんですけどやっぱりレアなんですか?」

「あぁ、それもかなりな。俺も実物を見たのはこれが初めてだ。」

武具屋の親父が興奮した様子で言う。

「そんなに、レアなんですね。」

「あぁ。えーと、それでこいつの加工が可能かどうかだったな?」

武具屋の親父が落ち着きを取り戻して聞いてくる。

「はい。出来ますかね?」

「結論から言うと、今は絶対無理だな。」

「そうですか。」

トーシンは、せっかくのレアアイテムが加工出来ないと知り落ち込む。

「まぁ、待て。俺は今は絶対無理だと言ったんだよ。コボルトメタルについての情報があればもしかしたら出来るかもしれねぇ。」

「そうなんですか!」

「あぁ。けど、出来るかもしれねぇってだけだ。そこで、相談なんだがこいつを俺に預けてみてくれねぇか?」

「はい!お願いします!」

武具屋の親父からの提案に、トーシンは即答する。

「おいおい、いいのかよ。そんなすぐに決めちまって。」

「はい。俺は、あなたのことを信じてるので。」

「ハハ。こりゃあ、その信頼にきっちり答えねぇといけねぇな。よっしゃ、じゃあこいつのことはしっかり調べとくぜ。」

「はい。お願いします。」

「おう!任されたぜ!」

そう言って、武具屋の親父は自分の胸を叩く。

「あっ!そういえば!」

武具屋の親父が何かを思い出した様に言う。

「どうしたんですか?」

「そういえば、兄ちゃんにまだ名乗ってなかったと思ってな。」

「あー、そういえば。」

(てっきり、名前が設定されてないだけだと思ってた。)

「それじゃあ今更だが、俺はラリウスだ。これからもよろしくな兄ちゃん!」

「はい!そういえば、俺も名乗ってなかったですね。俺は、トーシンです。よろしくお願いします!」

「おう!」

こうして、トーシンはフェルリア村の武具屋の親父の名前を初めて知ったプレイヤーになった。
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