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第13話 セイバツ

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「ギリ間に合った!そこのあなた、今のうちに逃げてください。」

トーシンは、女性プレイヤー…シズクに逃げるように伝える。

「でも…。」

「いいから、早く!」

「は、はい!ありがとうございます!」

シズクは、そうお礼を言ってその場を走って逃げる。

「なんだい、こいつは!」

突然現れ、ラオンの片手斧を盾で防いだトーシンを見て、リビアはトーシンを槍で攻撃しながら言う。

だがリビアの槍は、トーシンに届く前にザングリウスによって弾かれる。

「ザングリウス!?まさか、私たちのギルドを裏切るつもりかい?」

「裏切るも何も、俺はついさっきギルドを追放されたばかりだ。」

「追放?てことは、もう私たちの敵ってことね!」

そう言ってリビアは、今度は標的をザングリウスに変更する。

「トーシン!こっちを先に片付けるから、その間そっちの方を何とか抑えていてくれ。」

ザングリウスが、リビアの攻撃を捌きながら言う。

「だってさ。レベル10の君に、僕の攻撃が耐えられるかな!」

ラオンが、片手斧を振り下ろし攻撃してくるが、トーシンの盾のよって防がれる。そして、今回はカウンターシールドの効果によってラオンのHPが削られる。

「僕のHPが減った!?」

(いいぞこれは、使える!)

トーシンは、カウンターシールドの効果でHPが減ったのを驚いているラオンを見て1つの作戦を思いつく。

「今のは、俺のスキルです。1分間、この盾で防いだ攻撃を相手に反射させるというスキルです。」

(こう言っておけば、相手も迂闊に攻撃できないはずだ。)

トーシンの作戦とは、ハッタリで相手の攻撃を牽制するという作戦だ。

だが、そんなトーシンの作戦は無駄に終わる。

「なるほど。それなら、盾で防がれなければいいってことですね。」

「へ?あ、いや、その、あっそうだ盾以外のとこ攻撃しても1分間は反射されますよ。」

「へぇ、それじゃあ試してみましょうかね。僕はまだHPに余裕がありますし。」

「いやいや、やめといた方がいいですって。マジで無駄にHP減らすだけですから。ね?」

「ハハ。わざわざ敵に気を遣わなくていいですよ。1回試してみるだけですから!」

言い終えると同時にラオンの片手斧による攻撃が繰り出される。

「うおっ、あぶねっ!」

トーシンは、それを何とか避ける。

(あっぶねー。リアルだったら今のでやられてたわ。でも、こっからどうする?ハッタリは、通じない。ザングリウスさんは…。)

ザングリウスの方を確認すると、戦況はザングリウス有利で未だに交戦中であった。

(ザングリウスさんは、もう少しかかりそうだな。ザングリウスさんの方が片付くまでこいつの攻撃を防ぐか避けるかするしかないか?)

「よそ見してる暇があるんですか!」

再び、ラオンの片手斧が襲いかかってくる。

(いや、無理じゃね?それなら、どうする?どうやって、時間を稼ぐ?)

ラオンの攻撃を避けながらトーシンは時間を稼ぐ方法を考える。

「今、どう時間稼ぎしようか考えてますよね?」

「えぇ。でも、時間稼ぎをする方法が見つからなくて困ってますよ。」

「見つからなくても大丈夫ですよ。もうすぐで、ここに他の仲間が到着しますからね。」

「何それ、笑えないんですけど?」

今はリビアの方をザングリウスが対応してくれているおかげで、まだなんとかなっている。だが、ここに新たなPKerが増えるとなれば状況は絶望的である。

「それに、実を言うとここには僕達2人の他にあと3人いたんですよ。彼らは今頃、さっき逃げたプレイヤーをPKして戻ってきてる頃ですよ。」

(そんな、あのプレイヤーだけは助けられたと思ったのに…。)

「噂をすれば来たみたいですね。」

そう言ってラオンはトーシンの後方を指さす。そして、トーシンはその方向を向くと確かにそこには走ってこっちに向かって来るプレイヤーが1人いた。

(もう来たのか、これは流石に詰みかな?いや、待て。確か3人いたって言ってたよな?じゃあなんで1人しかいないんだ?しかも、あれは戻って来たというより逃げて来たって感じじゃないか?)

そう考えながらこちらに走って来るプレイヤーを見ていた。すると、何かがそのプレイヤーの後ろから飛んできて命中する。そして、そのプレイヤーが消滅して大量のアイテムをドロップする。

(どうなってんだ?)

何かが飛んできた方向をずっと見ているとまた、何かが飛んでくる。そして、それはトーシンの隣を過ぎ去って、ラオンに向かって行く。

ラオンは飛んできた何かを片手斧で撃ち落とす。そして、飛んできた物の正体が明らかになる。それは、矢だった。

「なんで矢が!?」

ラオンが、呟く。

その呟きの答えが矢の飛んできた方からやってくる。

それは、2人の男性プレイヤーだった。そして、トーシンの元に向かってくる。

「君がトーシンだね。ついさっき、シズクというプレイヤーが襲われているところを助けたら、ここに自分を助けてくれたプレイヤーがいるからその人を助けてくれと頼まれたんだ。」

そういう男性プレイヤーの頭上には、ブルーベリーナイトというPNが表示されていた。もう1人の方には、セイントフィストと表示されていた。

「あぁ、だからもう安心していいぞ、トーシン君。」

そうセイントフィストが言う。

「ありがとうございます!」

「さて、PKerは3人のようだね。」

「あ、いや。ザングリウスさんは違います。」

ブルーベリーナイトが、ザングリウスも敵のPKerと勘違いしたので訂正する。

「そうなのか!?よし、わかった。じゃあ後は、私たちに任せなさい。」

「はい、お願いします。あと、ここにもうすぐで他のPKerも合流するみたいです。」

トーシンが、そう言い終わると同時に奥の方から6人ぐらいのPKerの集団がやってくる。

「噂をすればなんとやらだな。トーシン君、ザングリウス君、俺たちの後ろに下がっていなさい。」

そこからは、圧倒的であった。PKer達が次々とブルーベリーナイトとセイントフィストの手によって倒されていった。途中から、そこにアントスも加わり、さらに圧倒的な展開となったのであった。

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