エンシェント・テイル・オンライン

第10話 ヤクソウ

アントスとの作戦会議もとい打ち合わせが終わり、トーシンはアルカドラ大平原に道具屋から頼まれていた、ラメイ草を取りに来ていた。

(まずは、採取の目薬を使わなきゃだな。)

トーシンはアイテムボックスを開き、採取の目薬を選択し、使用するをタッチする。効果は、恒久的に持続するらしい。

(採取可能な場所…要は採取スポットか。そこが光るって言ってたけど、どんな感じなんだろうな。)

そんな事を考えながら、歩き回っていると先の方にぼんやりと光る場所があった。

(もしかして、あれか？)

トーシンは、その場所まで向かう。近づいてみると光る植物が3本生えていた。その植物の内、1本を道具屋に教えて貰った通り摘み取るとアイテムボックスに自動で収納される。

そして、残りの2本も採取してアイテムボックスを開いて確認する。アイテムボックスには、普通の草とラメイ草の2種類のアイテムが追加されており、普通の草の横には×2と表示されていた。

(3分の2がハズレか。というか、普通の草って何に使うんだ？)

普通の草の使い道を調べるため、詳細を見てみることにする。

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アイテム名:普通の草
種類:素材アイテム
個数:2
<取り出す>
<閉じる>
詳細
緑色の普通の草。なんの変哲もない草。ただの草すぎて、草生える。草食のモンスターや、動物の餌くらいにはなるから気を落とすなよ。次頑張れ。
ーーーーーーーーーーーーーー

(なんで、このアイテムの詳細無駄に長いんだよ。しかも、ただの草すぎて、草生えるとか絶対ふざけてんだろ！いや待てよ、もしかしたら植物系のアイテムは全部こんな感じなのかもしれない。)

トーシンは確かめる為にもう1つの植物系アイテム、ラメイ草の詳細を見る。

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アイテム名:ラメイ草
種類:素材アイテム
個数:1
<取り出す>
<閉じる>
詳細
薬草。回復薬の材料に使われる。
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(短い！そして、シンプル！なんだよ、普通じゃん。てことは、長いのは普通の草の詳細だけかよ。なんでだ？)

トーシンは、考える。だが、考えても答えは見つからない。

(もういいや、明日会社で修斗に聞こ。それより、今はラメイ草をあと4本集めなきゃ。)

トーシンは考えるのをやめ、メインクエストを進めるべく次の採取スポットを探す。

しばらく、探しているうちに採取スポットを見つけ、先程と同じく3回採取する。アイテムボックスを確認すると、ラメイ草は増えずに普通の草が2つ増え、新しく枯れた草が1つ増えていた。

(枯れた草？なんか嫌な予感がするぞ。)

トーシンは、枯れた草の詳細を見てみることにした。

ーーーーーーーーーーーーーー
アイテム名:枯れた草
種類:素材アイテム
個数:1
<取り出す>
<閉じる>
詳細
枯れた草。かつてのような緑色は失い、今は茶色くなっている。これは、ひとつの生命がその短い生涯を全うしたということの証明であることを忘れないで欲しい。そして、この草をあなたが有効活用してくれることを願う。
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(なっげっーよ！なんで、こんなどうでもいいようなアイテムの詳細が無駄に長いんだよ！どうせなら、ラメイ草の詳細を長くしろや！もういい、次だ！)

気を取り直して、次の採取スポットを探しに行く。そして、見つけた採取スポットで手に入れたのは、普通の草だけだった。

その後も、トーシンは何度も採取スポットを見つけては採取を繰り返していた。そうしている内に、わかったことが3つあった。1つ目は、1度採取した場所でも一定時間経過することで再度採取できるようになること。2つ目は、採取できる回数は３～５回であること。3つ目は、ラメイ草が意外とレアだということである。

トーシンは、既に20ヶ所以上の採取スポットで採取を行っており、手に入れたラメイ草は最初のも合わせて4つであった。メインクエストの達成にはあと1つ足りないのである。

(こんだけ、採取してもまだ足りないのか。普通の草なら50は余裕で超えてんのに。)

そんな事を考えていると新しい採取スポットを見つける。

(よし、この採取スポットで最後のラメイ草を手に入れてみせる。)

採取回数は、3回だった。そして、採取したアイテムを確認すると、ラメイ草の数が5になっていた。

「よぉしゃぁあ！ついに、手に入れたぞ！」

トーシンは、声に出して喜ぶ。それほどまでに嬉しかったのだ。

ひとしきり喜んだあと、クエストを達成するため道具屋に向かう。

「ちょっと待ちな。」

後ろから声をかけられ、振り向くとレベルの左に赤いバツ印の付いたプレイヤーがいた。

プレイヤーの頭上には、左からレベル、名前という順番で横並びに表示されている。だが、PKを行ったプレイヤーはレベルの左にさらに赤いバツ印が表示されるのだ。つまり、今トーシンの目の前にいるこのプレイヤーは、PKerということである。