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第9話 サクセンカイギ
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(修斗は、待ち合わせの噴水前に来るまで少し時間かかるって言ってたし先に道具屋に向かうか。)
そう考え、昨日クエストを受けるだけ受けていたメインクエスト、道具屋の頼み事を進めるため道具屋に向かうことにした。
「すいません、頼み事があると聞いたのですが。」
「あぁ、探索者さんお待ちしておりました。早速で悪いのですが、アルカドラ大平原に生息する、ラメイ草という薬草を5本ほど取ってきて欲しいのです。頼めますか?」
「はい、大丈夫ですよ。」
「ありがとうございます。では、こちらをお使いください。」
道具屋はそういってカウンターの上に、何かの薬品を置く。そして、採取の目薬を入手したという表示が現れる。
「そちらは、採取の目薬と言って使用することで採取可能な場所が光って見えるようになるのです。あとは、植物であればその植物を摘み取り、鉱物であれば私の店でも取り扱っているピッケルを使用し取れた鉱物を拾うことで採取ができます。」
(なるほど、どうやってラメイ草を採取すればいいか聞くつもりだったけど、この目薬を使うのか。)
「ありがとうございます。でも、この目薬本当に貰っちゃってよかったんですか?」
「構いませんよ。そもそも、私からお願いしていることなのですから、このくらいはさせてください。」
そう言う道具屋にトーシンは再度お礼をいい立ち去る。道具屋は「お気をつけて」と見送ってくれた。
そして、次にトーシンが向かうのは、修斗との待ち合わせ場所にしていた噴水前へと向かう。
(着いたけど、修斗の奴まだ来てないみたいだな。)
花宮は、高レベルのプレイヤーなので最初の村であるフェルリア村に来ていれば装備を見れば1発でわかるはずなのである。だが、今周りを見回してもレザーシリーズのプレイヤーばかりなのである。
(まぁ、ゆっくり待つとしようかな。)
そう考え、噴水前で待つこと数分。こちらに向かってくる男性プレイヤーがいた。が、装備はただのレザーシリーズだった。
(この人も、誰かとの待ち合わせ場所にここを選んだのかな。)
そう思い再び、花宮を待っていると先程の男性プレイヤーがどんどん近づいて来る。そして
「トーシンお待たせ。」
そう声をかけられ、驚いてその男性プレイヤーの頭上を見ると事前に教えて貰っていた花宮のPN、アントスと表示されていた。
「お前かよ!てか、なんでそんな…。」
「まぁ待て。とりあえず着いてきてくれ。」
トーシンが、「なんでそんな装備なんだよ」と言おうとしたのを遮るように言う。
「着いて来いってどこに?」
「こっちだ。」
そう言ってアントスに案内されたのは、宿屋の一室だった。
「で、なんでこんなとこまで連れて来たんだよ?なんで、お前はレザーシリーズを装備してんだよ。」
「落ち着け、順番に説明する。まず、ここに連れてきたのは、他のプレイヤーに話を聞かれないためだ。宿屋は、部屋の中にいる限り、部屋の外のプレイヤーに会話を聞かれることがないからな。」
「そういう事か。じゃあ、レザーシリーズなのはPKerに高レベルプレイヤーがいるとバレないようにするためか?」
「正解!話が早くて助かる。PKerがどこで獲物を見繕ってるかわからんからな。」
確かに、PKerの目を誤魔化すなら、装備を変えるのは有効だろう。だが、トーシンはひとつ気になることがあった。
「でも、名前の横に表示されてるレベルでバレるんじゃね?」
「なんだ、気づいてなかったのかよ。まだ、ギリギリ効果時間内だな。ほれ、俺のレベルを見てみろよ。」
そう言われ、アントスのレベルを見るとそこには「Lv10」と表示されていた。
「えっ!?なんで…!?」
目を疑い、しばらくの間見ているとレベルの表示が「Lv100」に変わった。
「うえ!?」
トーシンは、さらに驚く。
「フフッ、ハハハ。いやー、いい反応をありがとう。どうだ?驚いたか?」
そう言って、イタズラが成功した子供のような顔で聞いてくる。
「どうなってんの、それ?」
「これはな、嘘獣ミルガってモンスターの体液をインクにして作られる、虚偽の万年筆ってアイテムの効果なんだよ。これで、自分のレベルとPNの表示を一時的に変えられるんだよ。」
「はぁ、そんなアイテムがあるんだな。」
「まぁ、こんな時くらいしか使い道はないけどな。じゃあ、一通り質問に答えたところで本題に入ってもいいか?」
「そっか、そういえばPKerに一泡吹かせる為の作戦会議だったな。虚偽の万年筆の効果に驚かされて忘れてたよ。」
「忘れんなよ。まぁ、いいや。まずは、フレンド登録だ。」
そう言って、アントスは手を動かし操作をする。すると、トーシンの目の前にアントスからのフレンド申請を許可するかどうかの表示が現れる。それを、YESを選択して許可する。
「あとは、俺は普通にプレイをして、PKerが現れたら救援をお前に送ればいいんだよな?」
救援は、プレイヤーがフレンド登録しているプレイヤーに助けを求められるシステムで、救援が送られてきたプレイヤーは許可することで即座に救援を送ったプレイヤーの元に転移することができるのである。
「あぁ、それで大丈夫だ。いつ、PKerが引っかかるかは分からないが頼んだぜ。」
「任せろ。なら、これで作戦会議…ってより打ち合わせは終了だな。じゃあ早速、俺はアルカドラ大平原に行ってくるよ。」
そう言って、トーシンは宿屋の部屋から出ていきアルカドラ大平原に向かう。そしてアントスは、トーシンからの救援が来るまで宿屋で待機することにした。
そう考え、昨日クエストを受けるだけ受けていたメインクエスト、道具屋の頼み事を進めるため道具屋に向かうことにした。
「すいません、頼み事があると聞いたのですが。」
「あぁ、探索者さんお待ちしておりました。早速で悪いのですが、アルカドラ大平原に生息する、ラメイ草という薬草を5本ほど取ってきて欲しいのです。頼めますか?」
「はい、大丈夫ですよ。」
「ありがとうございます。では、こちらをお使いください。」
道具屋はそういってカウンターの上に、何かの薬品を置く。そして、採取の目薬を入手したという表示が現れる。
「そちらは、採取の目薬と言って使用することで採取可能な場所が光って見えるようになるのです。あとは、植物であればその植物を摘み取り、鉱物であれば私の店でも取り扱っているピッケルを使用し取れた鉱物を拾うことで採取ができます。」
(なるほど、どうやってラメイ草を採取すればいいか聞くつもりだったけど、この目薬を使うのか。)
「ありがとうございます。でも、この目薬本当に貰っちゃってよかったんですか?」
「構いませんよ。そもそも、私からお願いしていることなのですから、このくらいはさせてください。」
そう言う道具屋にトーシンは再度お礼をいい立ち去る。道具屋は「お気をつけて」と見送ってくれた。
そして、次にトーシンが向かうのは、修斗との待ち合わせ場所にしていた噴水前へと向かう。
(着いたけど、修斗の奴まだ来てないみたいだな。)
花宮は、高レベルのプレイヤーなので最初の村であるフェルリア村に来ていれば装備を見れば1発でわかるはずなのである。だが、今周りを見回してもレザーシリーズのプレイヤーばかりなのである。
(まぁ、ゆっくり待つとしようかな。)
そう考え、噴水前で待つこと数分。こちらに向かってくる男性プレイヤーがいた。が、装備はただのレザーシリーズだった。
(この人も、誰かとの待ち合わせ場所にここを選んだのかな。)
そう思い再び、花宮を待っていると先程の男性プレイヤーがどんどん近づいて来る。そして
「トーシンお待たせ。」
そう声をかけられ、驚いてその男性プレイヤーの頭上を見ると事前に教えて貰っていた花宮のPN、アントスと表示されていた。
「お前かよ!てか、なんでそんな…。」
「まぁ待て。とりあえず着いてきてくれ。」
トーシンが、「なんでそんな装備なんだよ」と言おうとしたのを遮るように言う。
「着いて来いってどこに?」
「こっちだ。」
そう言ってアントスに案内されたのは、宿屋の一室だった。
「で、なんでこんなとこまで連れて来たんだよ?なんで、お前はレザーシリーズを装備してんだよ。」
「落ち着け、順番に説明する。まず、ここに連れてきたのは、他のプレイヤーに話を聞かれないためだ。宿屋は、部屋の中にいる限り、部屋の外のプレイヤーに会話を聞かれることがないからな。」
「そういう事か。じゃあ、レザーシリーズなのはPKerに高レベルプレイヤーがいるとバレないようにするためか?」
「正解!話が早くて助かる。PKerがどこで獲物を見繕ってるかわからんからな。」
確かに、PKerの目を誤魔化すなら、装備を変えるのは有効だろう。だが、トーシンはひとつ気になることがあった。
「でも、名前の横に表示されてるレベルでバレるんじゃね?」
「なんだ、気づいてなかったのかよ。まだ、ギリギリ効果時間内だな。ほれ、俺のレベルを見てみろよ。」
そう言われ、アントスのレベルを見るとそこには「Lv10」と表示されていた。
「えっ!?なんで…!?」
目を疑い、しばらくの間見ているとレベルの表示が「Lv100」に変わった。
「うえ!?」
トーシンは、さらに驚く。
「フフッ、ハハハ。いやー、いい反応をありがとう。どうだ?驚いたか?」
そう言って、イタズラが成功した子供のような顔で聞いてくる。
「どうなってんの、それ?」
「これはな、嘘獣ミルガってモンスターの体液をインクにして作られる、虚偽の万年筆ってアイテムの効果なんだよ。これで、自分のレベルとPNの表示を一時的に変えられるんだよ。」
「はぁ、そんなアイテムがあるんだな。」
「まぁ、こんな時くらいしか使い道はないけどな。じゃあ、一通り質問に答えたところで本題に入ってもいいか?」
「そっか、そういえばPKerに一泡吹かせる為の作戦会議だったな。虚偽の万年筆の効果に驚かされて忘れてたよ。」
「忘れんなよ。まぁ、いいや。まずは、フレンド登録だ。」
そう言って、アントスは手を動かし操作をする。すると、トーシンの目の前にアントスからのフレンド申請を許可するかどうかの表示が現れる。それを、YESを選択して許可する。
「あとは、俺は普通にプレイをして、PKerが現れたら救援をお前に送ればいいんだよな?」
救援は、プレイヤーがフレンド登録しているプレイヤーに助けを求められるシステムで、救援が送られてきたプレイヤーは許可することで即座に救援を送ったプレイヤーの元に転移することができるのである。
「あぁ、それで大丈夫だ。いつ、PKerが引っかかるかは分からないが頼んだぜ。」
「任せろ。なら、これで作戦会議…ってより打ち合わせは終了だな。じゃあ早速、俺はアルカドラ大平原に行ってくるよ。」
そう言って、トーシンは宿屋の部屋から出ていきアルカドラ大平原に向かう。そしてアントスは、トーシンからの救援が来るまで宿屋で待機することにした。
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