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標的の花
花の番人
しおりを挟む「梅乃さん、もう平気なのですか?」
「はい。お陰様で、体のだるさも抜けました」
「良かった。早河に報告したい事があるんだ」
梅乃は数時間また眠り、薬の効果が切れて体も元通りになったようだ。
医務室から出ようと梅乃が片付けをしているところに、前田と銀壱が来た。
次の事件を未然に防ぐ為、華墨の分布資料を元に警備配置をすること、課長に前田から相談したことを梅乃にも報告した。
課長からの答えは、京との接触を多くしている前田班に今回の指揮を任せる、とのこと。
また、研究室とも協力して、全国の適切な場所に警備を配置せよ、と指示を受けた。
課長が指揮をとる訳ではなく、一捜査官に任せるのは異例のことだ。
「そうだったのですね。
では、早く準備に取り掛かりましょう」
梅乃たちは早速資料室へ。
今日も全国から報告書が寄せられ、情報が更新されていく。
その管理を担当するのが「危機管理課」と呼ばれる捜査官。
華罪捜査官の中で、研究員のように専門的な知識を有し、華墨に関するあらゆる情報に精通した人々の配属先だ。
「初めまして、自由警備課の前田です。
ご協力宜しくお願いします」
「こちらこそ、宜しくお願いします。
私は危機管理課 課長の下総と申します」
「それと新人の早河と佐佐木です。
だいたいの目的は、既に聞いていますか?」
「はい、存じ上げております。
梅の華墨の登録が多い地域を調べる、
そういうことですよね?」
下総という女性捜査官は、徐ろに「華墨分布図」という地図を出してきた。
その冊子の目次には、各華墨の花の名前が載っていて、該当する頁を開くと日本におけるその華墨の分布がだいたい分かるようになっている。
今見たいのは「梅」の頁。
前田が該当する箇所を開く。
見開きで大きく日本地図が載っていて、赤い印が所々についている。
赤い印には番号が振られており、番号ごとに地名が書いてあった。
「印を見ると…この辺りに梅の登録が密集しています」
「間違いなくここは狙われそうだな」
下総が指差す地域は、本部からもほど近い一帯だ。
だが梅の登録が集まっている近辺にはたくさんの村や町がある。
そこを全て警備対象にしていたら、捜査官がいくら居ても足りないくらいだ。
その後も前田たちは、資料室で分布図やその他の資料を元に、警備配置の計画を練った。
そして計画書を課長に提出し、本部長の許可が下りれば、晴れてこの「梅」を守る警備が開始されることとなる。
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