華ノ道標-華罪捜査官-

山茶花

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訳華、のちに

切磋琢磨の夜

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全ての試験が終わり、再び塾生たちが教室へ集められた。
梅乃は知識試験で10段階の8評価、護身術では7評価だった。

そしてこの結果を集計し、海藤が階級分けを発表する。



「お疲れ様でした。
 早速、階級を発表します。まずは、青ね」



塾生たちは固唾を飲んでその時を待つ。

梅乃はそっと目を閉じた。



「…銀壱。あなたは二部門合わせて満点。青色よ」

「ありがとうございます!」



訳華学校合格に最も近い青色階級に初めに選ばれたのは、海藤の信頼する銀壱だった。

勉強も要領良くこなし、護身術も長年修行してきただけあって成績は非常に優秀だ。



「もう一人いるわ。
 ……梅乃さん、あなたよ」

「はい…!」

「あなたには未来性があるわ。
 きっともう少し頑張ればもっと伸びるはずよ」

「ありがとうございます!
 よろしくお願いします!」



青色階級となった銀壱と梅乃、また他の塾生もそれぞれ階級別に教室へ戻り各々の課題に取り掛かる。



「梅乃さん、凄いです…!
 こんなにすぐ青色階級に選ばれるなんて」

「そんな事ないですよ。
 …ただ早く訳華学校に行きたい、それだけです」



銀壱は梅乃に模擬試験の解けなかった問題を教えたり、護身術の立ち回りを互いに確認し合った。

時折、海藤も様子を見に来ていた。



「お疲れ様。調子はどう?」

「銀壱さんに教えて貰って、順調です」

「そう、良かったわ。
 講義も必要ないかもしれないわね」



銀壱は、何度も訳華学校を受験して試験の傾向も彼なりに分析していた。

海藤が教えることも必要ないほど、銀壱は梅乃に真剣に教えていたのだ。

海藤は安心して、青色階級の講義はしないことにした。
きっと梅乃の才能も見抜いていたのだろう。


梅乃も今まで自分で勉強してきた事よりも更にたくさんの情報を知ることができ、それだけでもとても満足げだった。

しかし目的は一つ。
訳華学校で犯罪心理学や歴史を勉強し、両親を救い出す手掛かりを見つけ出すこと。

銀壱は梅乃の目標を応援し、自分も華罪捜査官になって協力したいと願った。



青・赤・黄 の三階級に分けられた塾生たちは海藤の言葉通り、切磋琢磨して勉強や特訓に励んだ。




――そして運命の訳華学校試験は翌日に迫る。
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