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訳華、のちに
青を目指して
しおりを挟む翌朝――
この日、塾生たちはまず校舎の中央にある男女の共有教室へ集められた。
そこへ海藤が姿を見せた。
「皆さん、おはようございます。
新入生も入ったことですので、改めて皆さんの能力を見極めるための模擬試験を行います」
突然の発表であったが、梅乃を含め塾生たちは動揺しなかった。
訳華学校の試験日が近づく中、自分の能力を知る良い機会と捉えたのだろう。
「この試験の結果をみて、皆さんを階級分けします。
階級ごとに一緒に勉強をして切磋琢磨してください」
階級は三つ設けられ、上から 青・赤・黄 と色で分けられる。
試験官は海藤一人で、この日来ていた6名の塾生を一人ずつ観察する。
模擬試験の部門は二つ。
訳華をどれだけ知っているかを見る知識試験。
それから、基本的な護身術ができるかという実技試験。
訳華学校の試験内容を模している為、ここで青色階級に入ることができれば、合格の可能性も高まる。
毎年、抜き打ちでこの模擬試験は行われているが、青色階級に入ることができる者は極めて少ない。
「梅乃ちゃんは得意分野ある?」
「私は…訳華の知識には自信があります」
「すごいね!」
隣の席に座った寿々が元気に話しかけてくる。
梅乃は緊張しながらも、興奮気味に答えた。
桜木に来るまで、梅乃は独学で訳華を必死に勉強していた。
そうは言っても、訳華に隠された本当の意味や人々の傾向など詳細まで知っている訳では無い。
あくまでも華墨に対しての訳華を知識として覚えただけに留まっていて、梅乃自身もどれだけ覚えているかをまだ把握できていないのだ。
「私は体動かすほうが勉強より得意なんだよね」
「じゃあ、護身術も…?」
「自信って程じゃないけど、得意!」
寿々は肩を鳴らしながら話す。
彼女は勉強が苦手なものの運動神経は抜群。
特に素早い動きができるため、護身術は得意分野なのだ。
「では、模擬試験を開始します。
まずは知識試験です。…始めっ!」
海藤の声が教室に響くと、塾生たちは一斉に問題を解き始めた。
各々の真剣な横顔に、海藤の優しい眼差しが注がれていた。
果たして、梅乃はこの模擬試験をどのようにして突破するのか――
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