とある友人の話

Lilly/カナコ

文字の大きさ
上 下
14 / 17

第14話

しおりを挟む
旅行先で、堀木はたかひろがいつになく深刻な顔をしているのが心配だった。


二人で一緒に渡りたいと言っていた吊り橋。


そこにたどり着いた時、つないだ手が一気に冷たくなるのを感じた。


「どうした?さっきから顔色悪いけど、気分悪いのか?」


「…あんたのせいだ」


たかひろは震える声で呟いた。


「全部あんたのせいだ、あんたばかりいつもいい思いして…

何が愛してるだ喋る豚野郎、あんたがいなけりゃこんなに惨めな気持ちにならずに済んだのに」


橋の欄干で、全体重をかけて堀木の首を絞め落とそうとするたかひろの目には涙が浮かんでいた。


今までとは全く違う表情を見て、堀木はたかひろが自分を本当に殺そうとしていると瞬時に悟った。


「ちょっとヤバイよお前、どういうつもりだ」


堀木はたかひろの手を振りほどこうと必死にもがいた。


たかひろは怯むことなく、額に汗をかきながら、なおも手に力を込め続けている。


「あなたが昔、僕に言ったこと覚えてますか?

何でもするって言いましたよね。だからこのまま死んでください」


ぼやけていく景色の中で、堀木は自分が殺された後のたかひろの行く末に思いを巡らせた。


彼は殺人犯として晒し者にされ、後ろ指をさされながら一生その罪を背負って行かねばならぬのだ。


たかひろがそんな思いをするのだけは耐えられない、彼には綺麗なままでいてほしい。


―それならば、いっそのこと、自分が彼を殺すしかない。


堀木の頭の中は不思議と冴え渡っていた。


遠くの方でカッコウが静かに鳴いていることに、この時になってようやく気がついた。


堀木はたかひろを思い切り突き飛ばすと、尻もちをついた彼に馬乗りに跨り、無言でそのか細い首に手を掛けた。


全身の力を込めて首を絞め上げると、彼は驚いたように目を見開き、やがて眠ったように静かに、動かなくなった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性的イジメ

ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。 作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。 全二話 毎週日曜日正午にUPされます。

風邪をひいてフラフラの大学生がトイレ行きたくなる話

こじらせた処女
BL
 風邪でフラフラの大学生がトイレに行きたくなるけど、体が思い通りに動かない話

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

おしっこ8分目を守りましょう

こじらせた処女
BL
 海里(24)がルームシェアをしている新(24)のおしっこ我慢癖を矯正させるためにとあるルールを設ける話。

性奴の夜

くねひと
BL
Sのセイヤ、そしてMのユウキ……。マッチングアプリで知り合った二人のSMプレイがユウキの視点で語られる。この日も、ユウキはいつものように素裸で緊縛され、セイヤの前にひざまずいていた。でもいつもと少し勝手が違う。なぜって、二人の他に、少年がいるから………。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

嫌がる繊細くんを連続絶頂させる話

てけてとん
BL
同じクラスの人気者な繊細くんの弱みにつけこんで何度も絶頂させる話です。結構鬼畜です。長すぎたので2話に分割しています。

【R18】気持ちいいのがバレるまで

葉住 純/Hasumi Jun
BL
【注意】 ◆R18作品です。18歳未満の方はお控えください。 ◆BLです。本当にお気をつけください。 ◆4話まで予定しています。 【あらすじ】 ちょっとしたことでも大袈裟なくらいくすぐったがる拓海を見て、奏のイタズラ心に火が点き⋯⋯。 王道です。 【要素】 ◆くすぐり ◆寸止め ◆亀頭責め(ちょっと) 【本文抜粋】 (こんな感じで書いてあります)  奏は俺の肩に顔を近づけ、耳元で言う。そしてそのまま俺の首に唇を這わせた。いつの間にか奏の両手は俺の腰に巻きつき、ぎゅっと抱きしめられている。 「ちょっ、まじでくすぐったいんだって」  俺は首を動かし、奏から逃れようとした。しかし奏は 「耳も? 拓海お耳好きだもんね?」 と言いながら、今度は耳に唇を寄せた。 「んっ⋯⋯だから、やめ⋯⋯」

処理中です...