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第14話
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旅行先で、堀木はたかひろがいつになく深刻な顔をしているのが心配だった。
二人で一緒に渡りたいと言っていた吊り橋。
そこにたどり着いた時、つないだ手が一気に冷たくなるのを感じた。
「どうした?さっきから顔色悪いけど、気分悪いのか?」
「…あんたのせいだ」
たかひろは震える声で呟いた。
「全部あんたのせいだ、あんたばかりいつもいい思いして…
何が愛してるだ喋る豚野郎、あんたがいなけりゃこんなに惨めな気持ちにならずに済んだのに」
橋の欄干で、全体重をかけて堀木の首を絞め落とそうとするたかひろの目には涙が浮かんでいた。
今までとは全く違う表情を見て、堀木はたかひろが自分を本当に殺そうとしていると瞬時に悟った。
「ちょっとヤバイよお前、どういうつもりだ」
堀木はたかひろの手を振りほどこうと必死にもがいた。
たかひろは怯むことなく、額に汗をかきながら、なおも手に力を込め続けている。
「あなたが昔、僕に言ったこと覚えてますか?
何でもするって言いましたよね。だからこのまま死んでください」
ぼやけていく景色の中で、堀木は自分が殺された後のたかひろの行く末に思いを巡らせた。
彼は殺人犯として晒し者にされ、後ろ指をさされながら一生その罪を背負って行かねばならぬのだ。
たかひろがそんな思いをするのだけは耐えられない、彼には綺麗なままでいてほしい。
―それならば、いっそのこと、自分が彼を殺すしかない。
堀木の頭の中は不思議と冴え渡っていた。
遠くの方でカッコウが静かに鳴いていることに、この時になってようやく気がついた。
堀木はたかひろを思い切り突き飛ばすと、尻もちをついた彼に馬乗りに跨り、無言でそのか細い首に手を掛けた。
全身の力を込めて首を絞め上げると、彼は驚いたように目を見開き、やがて眠ったように静かに、動かなくなった。
二人で一緒に渡りたいと言っていた吊り橋。
そこにたどり着いた時、つないだ手が一気に冷たくなるのを感じた。
「どうした?さっきから顔色悪いけど、気分悪いのか?」
「…あんたのせいだ」
たかひろは震える声で呟いた。
「全部あんたのせいだ、あんたばかりいつもいい思いして…
何が愛してるだ喋る豚野郎、あんたがいなけりゃこんなに惨めな気持ちにならずに済んだのに」
橋の欄干で、全体重をかけて堀木の首を絞め落とそうとするたかひろの目には涙が浮かんでいた。
今までとは全く違う表情を見て、堀木はたかひろが自分を本当に殺そうとしていると瞬時に悟った。
「ちょっとヤバイよお前、どういうつもりだ」
堀木はたかひろの手を振りほどこうと必死にもがいた。
たかひろは怯むことなく、額に汗をかきながら、なおも手に力を込め続けている。
「あなたが昔、僕に言ったこと覚えてますか?
何でもするって言いましたよね。だからこのまま死んでください」
ぼやけていく景色の中で、堀木は自分が殺された後のたかひろの行く末に思いを巡らせた。
彼は殺人犯として晒し者にされ、後ろ指をさされながら一生その罪を背負って行かねばならぬのだ。
たかひろがそんな思いをするのだけは耐えられない、彼には綺麗なままでいてほしい。
―それならば、いっそのこと、自分が彼を殺すしかない。
堀木の頭の中は不思議と冴え渡っていた。
遠くの方でカッコウが静かに鳴いていることに、この時になってようやく気がついた。
堀木はたかひろを思い切り突き飛ばすと、尻もちをついた彼に馬乗りに跨り、無言でそのか細い首に手を掛けた。
全身の力を込めて首を絞め上げると、彼は驚いたように目を見開き、やがて眠ったように静かに、動かなくなった。
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