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一 非日常への陥穽⑩
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「黒壁!」
正にその瞬間、聞き覚えのある凛とした声が耳に届いた。
同時に銃弾を金属板が防いような甲高い音が連続して響き、恐る恐る目を開く。
すると、周囲には黒い壁が朔耶を守るように展開されていた。
「君、大丈夫っ!?」
「己刃……先輩」
黒い壁が消滅すると同時に、あの日と同じく朔耶を庇うように眼前に立ち、廊下に現れた黒衣の男達と対峙しているのは、やはり己刃だった。
その背中が何よりも頼もしく、だからこそ彼女が助けてくれれば、と今は恨まずにはいられない。
だが、それがどこまでも不当な八つ当たりに過ぎないことも理解していて、朔耶は俯いてしまった。
「え? 私の名前――」
「鳴瀬、今はそれどころじゃない!」
光輝の叫びに己刃ははっとしたように厳しい表情に戻った。
そして、彼女は敵意に方向を与えるように、右手を前に突き出す。
「黒塊!」
そう己刃が叫ぶと共に、彼女の前方に巨大な黒い塊が一つ発生した。
その直径は廊下の幅とほぼ同じぐらいだ。
対して長身の男も己刃と同様に右手を掲げ、巨大な氷の壁を生み出す。
「砕けっ!」
己刃の合図と共に黒塊は廊下にある全てを押し潰していくかのように男へと向かい、氷壁とぶつかり合った。そのまま、黒塊は氷を削り取りながら彼等に襲いかかろうと少しずつ進んでいく。
しかし、氷の角度や密度、強度を部分毎に緻密に変えているのか、黒塊は氷の壁を砕きながらも徐々に進路を変えてしまう。遂には廊下の壁を破壊してグラウンドへと飛び出していってしまった。
「公彦。デュナミスが異様に少ない。二割程度だ。どうやら雑魚に掠め取られたようだ」
氷を放った男の後方で何かを拾う素振りを見せていたスキンヘッドの男が、野太い声で苛立ちを表す。
「タナトスか。仕方ない。今はここにあるものだけを回収しておけばいい。宗則、一先ず帰るぞ。時間的にそろそろ余計な奴等が集まってくる頃だ」
公彦と呼ばれた痩躯にして長髪の男は、宗則という名らしい禿頭の屈強な男につまらなそうに告げた。
それに対し、宗則は同意するように頷く。
「ま、待ちなさい!」
己刃が必死な様子で叫ぶ。
そんな彼女を公彦は蔑むように見下し、ぱちんと指を鳴らした。
すると、逆再生のように削られた氷の壁が一瞬にして復元され、更に分厚くなっていく。
そのためか急激に氷が不透明になっていき、公彦達の姿が見えなくなってしまった。
「……逃げられた、ようですね」
いつの間にか脇に立っていた智治が忌々しそうに呟く。
その表情は、聖書の授業で教鞭を取っていた時とは余りにもかけ離れた厳しい色を湛えている。
やがて、廊下を塞いでいた氷は早回しの映像を見ているかのように溶けて消え去った。
それは彼等が既にこの場から完全に離れたことを示しているのだろう。
「鳴瀬。とにかく残るデュナミスを集めよう」
「……はい」
光輝に促され、己刃は悔しそうに俯きながら、その場を離れていった。
「さて……まず、お前は誰だ?」
それを見送ってから、光輝が朔耶を訝しげな視線と共に尋ねてきた。
そこでジンに似た姿のままでいたことに気づき、元に戻るように念じる。
その効果があったのか、窓に映る朔耶の姿は元の通りに戻っていた。
どうやら自分の意思で変身も解除も可能なようだ。設定の通りに。
「お前……朝日奈じゃないか」
驚いた表情に続いて、憐れむような表情が彼の顔に浮かぶ。
「そうか。力を、得てしまったんだな」
光輝がそんな顔をする理由は、初めてのアノミアで神父に聞いた話にあるのだろう。
もはや力を得たのなら、非日常を日常とすることを覚悟しなければならないのだから。
「先生。やっぱり一割ぐらいしか残っていません。後はタナトスが取り込んだか、彼等に奪われたか――あれ、君は……」
虹色の不思議な輝きを放つ欠片、まだ残っていたらしい千影の欠片をその両腕に抱えた己刃が光輝以上の驚愕を見せる。
「先輩……」
「知り合いなのか?」
「いえ、その、しばらく前のアノミアで助けた子です。それなのにどうして、また――」
そして、ハッとしたように彼女は抱えている欠片を見詰めた。
「そ、っか。この子に引きずられたんだね」
己刃が何を言っているのかよく分からなかった。
だが、それよりも朔耶は彼女の手にある千影の欠片が気になっていた。
「どうしたの?」
余りにも真剣に見詰め過ぎていたようで己刃に不審に思われてしまったようだ。
「あ、あの、それ、どうするんですか?」
「え? これ? 教会の奥で安置して、世界に還元されるのを待つんだけど……それがどうかしたの?」
「えっと、その、それを俺に下さい! お願いします」
「は、はい?」
朔耶が頭を深々と下げて言うと、己刃は一瞬何を言われたのか分からないという感じで間の抜けた声を出した。
「ちょ、ちょっと待って。一体どうして? ……じゃなくて、これがどれだけ重要なものなのか、分かって言っているの?」
「いえ……それは分かりませんけど。でも、それは千影の、欠片だから」
彼女の半ば怒りで満ちかけた表情がその言葉を聞いた途端に消え、代わりに悲哀の色で染まっていく。
「千影、というと、照屋千影か? そう言えば、朝日奈は彼女と非常に仲がよかったな」
憐憫を含んだ光輝の言葉に小さく首を縦に振る。
それを聞いた己刃の悲しみの度合いがさらに大きくなった。
「その、もしかして、大切な人、だったの?」
おずおずと尋ねてくる己刃に、一瞬だけ躊躇ってから、はい、と肯定すると、彼女は今にも泣き出しそうな表情になってしまった。
その手はきつく、爪が皮膚を破るのではないか、という程に握り締められている。
「ごめん、ね。守れなくて。私がもっと強かったら」
己刃の姿とその口調から、彼女が心の底から深く後悔し、自分の弱さに対して激しい怒りを抱いていることが、ひしひしと伝わってきた。
朔耶はそんな己刃をもう責める気にはなれなかった。
自分自身の弱さに腹が立っているのは、朔耶も同じだったから。
そもそも彼女を恨むのは筋違いだ。
「それは――」
だから、慰めの言葉をかけようと口を開いたが、朔耶はすぐに言葉を止めた。
今、そんなものを口に出しても彼女を逆に苦しめるだけだ。
それは単なる自己満足に過ぎないだろう。軽薄な慰めなど口にするべきではない。
「いや、今はそれよりも」
立ち尽くす彼女に一歩近づき、その両腕に抱えられた千影の欠片に左の掌を向ける。
瞬間、やはりそれは輝きを強めると瞬く間に分解され、虹色の粒子となって左手に吸い込まれた。
心に生まれた不思議な充足感がさらに強まる。
どこまでも強い悲しみも後悔も確かにそこにはあったが、ただ喪失感だけは薄れていた。
やはり、千影がこの手に宿ってくれているのかもしれない。そんな考えが強まる。
「朝日奈……これは、一体何をしたんだ?」
驚いたように目を見開いた光輝が、警戒を隠すことなく厳しい視線を向けてくる。
「い、いえ、俺にも、よく分かりません。ただ、こうすれば千影が傍にいてくれるような気がして……」
尻すぼみに小さくなってしまった朔耶の声に、光輝は困惑したように智治を見る。
「恐らく、彼の力の一端なのでしょう。ともあれ、とりあえず教会で話しませんか? 彼等相手の戦闘は昔に比べ、どうも精神力が持たない」
先程までとは対照的に智治は穏やかな口調で言った。
その提案に光輝は頷き、俯いたままでいる己刃の肩を軽く叩く。
彼女は力なく頷いて、ゆっくりと歩き出した。
朔耶もまたタナトスに投げつけた上履きを回収してからその後に続いた。
そして、氷柱と黒塊によって無惨に破壊された廊下の壁からグラウンドに出る。
力を得たその瞬間から世界は確かな色彩を取り戻していた。
しかし、それは決して現実の世界と同じではなかった。
どこか穢れて歪んでいる。それがその全ての色から受ける印象だった。
見上げた空は今日の通学路で見たものと同じ空色なのに。
校舎は相変わらず清潔感に溢れる白で塗られているのに。
広大なグラウンドの一部には私立らしく金のかかった人工芝の緑も見て取れるのに。
全ての彩りに忌避すべき穢れが紛れ込んでいるのだ。
朔耶はその穢れがタナトスと由来を同じくするものだと直感していた。
そんな中で元の世界と同じような正しい色彩を有しているのは、人間。その力によって具現した事象。
そして、あの千影の欠片だけだった。
正にその瞬間、聞き覚えのある凛とした声が耳に届いた。
同時に銃弾を金属板が防いような甲高い音が連続して響き、恐る恐る目を開く。
すると、周囲には黒い壁が朔耶を守るように展開されていた。
「君、大丈夫っ!?」
「己刃……先輩」
黒い壁が消滅すると同時に、あの日と同じく朔耶を庇うように眼前に立ち、廊下に現れた黒衣の男達と対峙しているのは、やはり己刃だった。
その背中が何よりも頼もしく、だからこそ彼女が助けてくれれば、と今は恨まずにはいられない。
だが、それがどこまでも不当な八つ当たりに過ぎないことも理解していて、朔耶は俯いてしまった。
「え? 私の名前――」
「鳴瀬、今はそれどころじゃない!」
光輝の叫びに己刃ははっとしたように厳しい表情に戻った。
そして、彼女は敵意に方向を与えるように、右手を前に突き出す。
「黒塊!」
そう己刃が叫ぶと共に、彼女の前方に巨大な黒い塊が一つ発生した。
その直径は廊下の幅とほぼ同じぐらいだ。
対して長身の男も己刃と同様に右手を掲げ、巨大な氷の壁を生み出す。
「砕けっ!」
己刃の合図と共に黒塊は廊下にある全てを押し潰していくかのように男へと向かい、氷壁とぶつかり合った。そのまま、黒塊は氷を削り取りながら彼等に襲いかかろうと少しずつ進んでいく。
しかし、氷の角度や密度、強度を部分毎に緻密に変えているのか、黒塊は氷の壁を砕きながらも徐々に進路を変えてしまう。遂には廊下の壁を破壊してグラウンドへと飛び出していってしまった。
「公彦。デュナミスが異様に少ない。二割程度だ。どうやら雑魚に掠め取られたようだ」
氷を放った男の後方で何かを拾う素振りを見せていたスキンヘッドの男が、野太い声で苛立ちを表す。
「タナトスか。仕方ない。今はここにあるものだけを回収しておけばいい。宗則、一先ず帰るぞ。時間的にそろそろ余計な奴等が集まってくる頃だ」
公彦と呼ばれた痩躯にして長髪の男は、宗則という名らしい禿頭の屈強な男につまらなそうに告げた。
それに対し、宗則は同意するように頷く。
「ま、待ちなさい!」
己刃が必死な様子で叫ぶ。
そんな彼女を公彦は蔑むように見下し、ぱちんと指を鳴らした。
すると、逆再生のように削られた氷の壁が一瞬にして復元され、更に分厚くなっていく。
そのためか急激に氷が不透明になっていき、公彦達の姿が見えなくなってしまった。
「……逃げられた、ようですね」
いつの間にか脇に立っていた智治が忌々しそうに呟く。
その表情は、聖書の授業で教鞭を取っていた時とは余りにもかけ離れた厳しい色を湛えている。
やがて、廊下を塞いでいた氷は早回しの映像を見ているかのように溶けて消え去った。
それは彼等が既にこの場から完全に離れたことを示しているのだろう。
「鳴瀬。とにかく残るデュナミスを集めよう」
「……はい」
光輝に促され、己刃は悔しそうに俯きながら、その場を離れていった。
「さて……まず、お前は誰だ?」
それを見送ってから、光輝が朔耶を訝しげな視線と共に尋ねてきた。
そこでジンに似た姿のままでいたことに気づき、元に戻るように念じる。
その効果があったのか、窓に映る朔耶の姿は元の通りに戻っていた。
どうやら自分の意思で変身も解除も可能なようだ。設定の通りに。
「お前……朝日奈じゃないか」
驚いた表情に続いて、憐れむような表情が彼の顔に浮かぶ。
「そうか。力を、得てしまったんだな」
光輝がそんな顔をする理由は、初めてのアノミアで神父に聞いた話にあるのだろう。
もはや力を得たのなら、非日常を日常とすることを覚悟しなければならないのだから。
「先生。やっぱり一割ぐらいしか残っていません。後はタナトスが取り込んだか、彼等に奪われたか――あれ、君は……」
虹色の不思議な輝きを放つ欠片、まだ残っていたらしい千影の欠片をその両腕に抱えた己刃が光輝以上の驚愕を見せる。
「先輩……」
「知り合いなのか?」
「いえ、その、しばらく前のアノミアで助けた子です。それなのにどうして、また――」
そして、ハッとしたように彼女は抱えている欠片を見詰めた。
「そ、っか。この子に引きずられたんだね」
己刃が何を言っているのかよく分からなかった。
だが、それよりも朔耶は彼女の手にある千影の欠片が気になっていた。
「どうしたの?」
余りにも真剣に見詰め過ぎていたようで己刃に不審に思われてしまったようだ。
「あ、あの、それ、どうするんですか?」
「え? これ? 教会の奥で安置して、世界に還元されるのを待つんだけど……それがどうかしたの?」
「えっと、その、それを俺に下さい! お願いします」
「は、はい?」
朔耶が頭を深々と下げて言うと、己刃は一瞬何を言われたのか分からないという感じで間の抜けた声を出した。
「ちょ、ちょっと待って。一体どうして? ……じゃなくて、これがどれだけ重要なものなのか、分かって言っているの?」
「いえ……それは分かりませんけど。でも、それは千影の、欠片だから」
彼女の半ば怒りで満ちかけた表情がその言葉を聞いた途端に消え、代わりに悲哀の色で染まっていく。
「千影、というと、照屋千影か? そう言えば、朝日奈は彼女と非常に仲がよかったな」
憐憫を含んだ光輝の言葉に小さく首を縦に振る。
それを聞いた己刃の悲しみの度合いがさらに大きくなった。
「その、もしかして、大切な人、だったの?」
おずおずと尋ねてくる己刃に、一瞬だけ躊躇ってから、はい、と肯定すると、彼女は今にも泣き出しそうな表情になってしまった。
その手はきつく、爪が皮膚を破るのではないか、という程に握り締められている。
「ごめん、ね。守れなくて。私がもっと強かったら」
己刃の姿とその口調から、彼女が心の底から深く後悔し、自分の弱さに対して激しい怒りを抱いていることが、ひしひしと伝わってきた。
朔耶はそんな己刃をもう責める気にはなれなかった。
自分自身の弱さに腹が立っているのは、朔耶も同じだったから。
そもそも彼女を恨むのは筋違いだ。
「それは――」
だから、慰めの言葉をかけようと口を開いたが、朔耶はすぐに言葉を止めた。
今、そんなものを口に出しても彼女を逆に苦しめるだけだ。
それは単なる自己満足に過ぎないだろう。軽薄な慰めなど口にするべきではない。
「いや、今はそれよりも」
立ち尽くす彼女に一歩近づき、その両腕に抱えられた千影の欠片に左の掌を向ける。
瞬間、やはりそれは輝きを強めると瞬く間に分解され、虹色の粒子となって左手に吸い込まれた。
心に生まれた不思議な充足感がさらに強まる。
どこまでも強い悲しみも後悔も確かにそこにはあったが、ただ喪失感だけは薄れていた。
やはり、千影がこの手に宿ってくれているのかもしれない。そんな考えが強まる。
「朝日奈……これは、一体何をしたんだ?」
驚いたように目を見開いた光輝が、警戒を隠すことなく厳しい視線を向けてくる。
「い、いえ、俺にも、よく分かりません。ただ、こうすれば千影が傍にいてくれるような気がして……」
尻すぼみに小さくなってしまった朔耶の声に、光輝は困惑したように智治を見る。
「恐らく、彼の力の一端なのでしょう。ともあれ、とりあえず教会で話しませんか? 彼等相手の戦闘は昔に比べ、どうも精神力が持たない」
先程までとは対照的に智治は穏やかな口調で言った。
その提案に光輝は頷き、俯いたままでいる己刃の肩を軽く叩く。
彼女は力なく頷いて、ゆっくりと歩き出した。
朔耶もまたタナトスに投げつけた上履きを回収してからその後に続いた。
そして、氷柱と黒塊によって無惨に破壊された廊下の壁からグラウンドに出る。
力を得たその瞬間から世界は確かな色彩を取り戻していた。
しかし、それは決して現実の世界と同じではなかった。
どこか穢れて歪んでいる。それがその全ての色から受ける印象だった。
見上げた空は今日の通学路で見たものと同じ空色なのに。
校舎は相変わらず清潔感に溢れる白で塗られているのに。
広大なグラウンドの一部には私立らしく金のかかった人工芝の緑も見て取れるのに。
全ての彩りに忌避すべき穢れが紛れ込んでいるのだ。
朔耶はその穢れがタナトスと由来を同じくするものだと直感していた。
そんな中で元の世界と同じような正しい色彩を有しているのは、人間。その力によって具現した事象。
そして、あの千影の欠片だけだった。
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