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第一章 未来異星世界
065 異常窮まれり
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今日も今日とて迷宮遺跡探索。
全ては目標に向かって一歩一歩ステップアップしていくために。
着実に、堅実に経験を積んでいく。
当面はそのつもりだったのだが……。
「異常にも程があるな」
マグは、遺跡の通路のど真ん中で無防備に周りを見回しながら言った。
勿論、無防備とは言いながらもフィアのシールドで守られてはいる。
しかし――。
「ええ。聞いていた以上ですね」
同意するように頷いたアテラもまた、どこか緊張感を欠いていた。
【エコーロケイト】も周囲に脅威となる存在を認めていないのだろう。
「スッカスカのスカです」
護衛に真剣なフィアですら、拍子抜けしたように言う始末だ。
機獣が全く姿を現さない余りに。
先日も機獣の出現頻度の低下がASHギルドで話題に上がってはいた。
しかし、今日に至っては出現頻度が下がるどころか一体も確認できていない。
正に影も形もない。
あるのは罠と出土品だけだ。
「……こんな状態だったら、アタシ達もランク上限ギリギリの迷宮遺跡にでも行った方がよかったんじゃない?」
「まあ、気持ちは分からなくもないけどな」
この明確な異常事態を前にして、しかし、多くの探索者達は出土品を回収する絶好のチャンスだと喜び勇んで迷宮遺跡に挑んでいた。
それも自身のランクではギリギリ挑戦可能な最高難易度の遺跡へと。
機獣が減っているにもかかわらず、出土品は全く変わらないペースで生産されていることに疑問を抱くような素振りもない。
折角のボーナスタイムに余計なことを考える暇はない、というところだろうか。
いずれにしても――。
「俺達は、俺達のペースでやればいいさ」
余所は余所だ。
トリアによると、状況が状況だけに出土品の報酬については支払われるものの、ランクアップに関わる査定は再考されるという話だ。
金に困ってさえいなければ、躍起になる意味はない。
その状況でマグ達が探索に来たのは、探索者が寄りつかない不人気な迷宮遺跡も同じような状態にあるのかを調査する依頼を受けたからだ。
報酬は少ないが、こちらは微々たるものではあれ確実に評価に繋がるとのこと。
より高ランクの迷宮遺跡や未踏破領域の情報を得たいマグ達にとっては、出土品漁りよりはマシな選択肢と言えるだろう。
「けど、ここまで来るとさすがに不気味だな。未だに原因も分かってないようだし」
「もしかしたら、本当は分かってて隠してるんじゃない? 秩序の街・多迷宮都市ラヴィリアを中心に一定範囲で起きている現象って話だし」
軽い口調でドリィが言う。
あり得ない話ではないが……。
「正確には、街を中心に範囲が徐々に広がっている、ですね。まるで感染が拡大していくかのように」
「どっちでもいいけど……案外、街で何か仕組んでたりしてね」
そこまで行くと、さすがに陰謀論臭い。
もっとも、彼女も冗談を口にしているに過ぎないようだが。
「ん?」
まるで、そんな疑いを逸らそうとするかのように。
タイミングよく空中ディスプレイが開く。
「また緊急の依頼か?」
「いえ、これは……」
「緊急連絡と強制招集?」
真っ先に目に飛び込んできたのは、首を傾げたフィアの言葉通り。
見た者の注意を引くためか、そう題目としてデカデカと書かれていた。
加えて空中に浮かぶ半透明のディスプレイの色も緊急性を示すためか、禍々しい感じの赤色になっており、只ならぬ事態であることが一目で分かる。
意識的に緊張感を高め、注意深く内容を確認する。
「緊急連絡……街に、大量の機獣が侵攻!?」
「冒険者、探索者、狩猟者は至急引き上げ、街の防衛に当たるべし、ですか」
緊急連絡とそれに紐づけされた強制招集。
その中身は迷宮遺跡の異変との関連性を疑わざるを得ないものだった。
全ては目標に向かって一歩一歩ステップアップしていくために。
着実に、堅実に経験を積んでいく。
当面はそのつもりだったのだが……。
「異常にも程があるな」
マグは、遺跡の通路のど真ん中で無防備に周りを見回しながら言った。
勿論、無防備とは言いながらもフィアのシールドで守られてはいる。
しかし――。
「ええ。聞いていた以上ですね」
同意するように頷いたアテラもまた、どこか緊張感を欠いていた。
【エコーロケイト】も周囲に脅威となる存在を認めていないのだろう。
「スッカスカのスカです」
護衛に真剣なフィアですら、拍子抜けしたように言う始末だ。
機獣が全く姿を現さない余りに。
先日も機獣の出現頻度の低下がASHギルドで話題に上がってはいた。
しかし、今日に至っては出現頻度が下がるどころか一体も確認できていない。
正に影も形もない。
あるのは罠と出土品だけだ。
「……こんな状態だったら、アタシ達もランク上限ギリギリの迷宮遺跡にでも行った方がよかったんじゃない?」
「まあ、気持ちは分からなくもないけどな」
この明確な異常事態を前にして、しかし、多くの探索者達は出土品を回収する絶好のチャンスだと喜び勇んで迷宮遺跡に挑んでいた。
それも自身のランクではギリギリ挑戦可能な最高難易度の遺跡へと。
機獣が減っているにもかかわらず、出土品は全く変わらないペースで生産されていることに疑問を抱くような素振りもない。
折角のボーナスタイムに余計なことを考える暇はない、というところだろうか。
いずれにしても――。
「俺達は、俺達のペースでやればいいさ」
余所は余所だ。
トリアによると、状況が状況だけに出土品の報酬については支払われるものの、ランクアップに関わる査定は再考されるという話だ。
金に困ってさえいなければ、躍起になる意味はない。
その状況でマグ達が探索に来たのは、探索者が寄りつかない不人気な迷宮遺跡も同じような状態にあるのかを調査する依頼を受けたからだ。
報酬は少ないが、こちらは微々たるものではあれ確実に評価に繋がるとのこと。
より高ランクの迷宮遺跡や未踏破領域の情報を得たいマグ達にとっては、出土品漁りよりはマシな選択肢と言えるだろう。
「けど、ここまで来るとさすがに不気味だな。未だに原因も分かってないようだし」
「もしかしたら、本当は分かってて隠してるんじゃない? 秩序の街・多迷宮都市ラヴィリアを中心に一定範囲で起きている現象って話だし」
軽い口調でドリィが言う。
あり得ない話ではないが……。
「正確には、街を中心に範囲が徐々に広がっている、ですね。まるで感染が拡大していくかのように」
「どっちでもいいけど……案外、街で何か仕組んでたりしてね」
そこまで行くと、さすがに陰謀論臭い。
もっとも、彼女も冗談を口にしているに過ぎないようだが。
「ん?」
まるで、そんな疑いを逸らそうとするかのように。
タイミングよく空中ディスプレイが開く。
「また緊急の依頼か?」
「いえ、これは……」
「緊急連絡と強制招集?」
真っ先に目に飛び込んできたのは、首を傾げたフィアの言葉通り。
見た者の注意を引くためか、そう題目としてデカデカと書かれていた。
加えて空中に浮かぶ半透明のディスプレイの色も緊急性を示すためか、禍々しい感じの赤色になっており、只ならぬ事態であることが一目で分かる。
意識的に緊張感を高め、注意深く内容を確認する。
「緊急連絡……街に、大量の機獣が侵攻!?」
「冒険者、探索者、狩猟者は至急引き上げ、街の防衛に当たるべし、ですか」
緊急連絡とそれに紐づけされた強制招集。
その中身は迷宮遺跡の異変との関連性を疑わざるを得ないものだった。
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