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第一章 未来異星世界
055 これからの方針
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「何はともあれ、これで四人か。それも中々バランスがいい体制になったな」
アテラは近接戦闘寄りオールラウンダー。【エコーロケイト】で周囲の把握も可。
フィアはシールドで味方の守りと敵の妨害。
ドリィは全方位に対する超強力な遠距離攻撃。
マグは三人に比べると戦闘力という点では明らかに劣っているが、修復とリミッター解除状態の維持などのサポートは十分可能。
クリルの言う通り、迷宮遺跡に挑むに当たっては悪くないメンバーだろう。
「それで汝ら、次はどうするつもりだ?」
「次、ですか。そうですね……」
続けて問うた彼女に、マグは少し考えた。
突然、指名で依頼された危険な迷宮遺跡の踏破。
当初の目的とは違う形での達成となったが、最深部まで攻略することはできた。
未踏破の迷宮遺跡の攻略に乗り出すことも不可能ではない気はするが……。
しかし、それはあくまでも不可能ではないだけだ。
「もう少し地に足をつけると言うか、経験を積むべきかなと思います」
マグとアテラがこの惑星ティアフロントに転移してきて、まだ三日。
端末やASHギルドのVRシミュレーターで最低限の情報を頭に詰め込んではいるものの……所詮は最低限に過ぎない。
このまま調子に乗って同じぐらいの難易度の依頼に挑むのは危険過ぎる。
こういう時には往々にして落とし穴が待ち構えているものだ。
「うむ。まあ、妥当な判断だな」
深く頷くクリル。
妥当過ぎて文句のつけようもない、という感じだ。
「しかし、そういうことなら全く別の依頼を受けてみるのもよいかもしれんな」
「別の依頼、ですか?」
「うむ。冒険者や狩猟者の依頼だ。そちらの経験も何かの役に立つかもしれん」
クリルの提案にマグは成程と思った。
メタからの依頼にせよ、マグ自身が望む人間を機人にする装置にせよ。
既存の迷宮遺跡の未踏領域に存在するとは限らない。
基本的に探索者メインでやるつもりではあったが、いずれは未発見の遺跡を探しに行かなければならない時が来るかもしれない。
そうなった時、冒険者や狩猟者の経験は間違いなく生きるだろう。
「そうですね。選択肢の一つとして考えてみます」
「それがいい」
「では、当面は基本的な依頼をこなしていくということでよろしいでしょうか?」
とりあえず今後の方針が決まったと見てか、それまで黙ってマグとクリルのやり取りを見守っていたアテラが確認するように問いかけてくる。
「ああ。アテラもそれでいいか」
「はい。私は旦那様の意思に従います」
「フィアとドリィも」
「フィアは、おとー様とおかー様と一緒です!」
「アタシも異論はないわ。と言うか、異論を出せる程の情報がないわ」
「うん、まあ、そうだな」
素直に受け入れるフィアと、わざわざ一言つけ加えたドリィ。
明確な性格の違いが見て取れる。
これから仲間として、家族として共に歩んでいくならば、その辺りもじっくりとすり合わせていかなければならないだろう。
そう考えると、性急にことを進めようとするのはやはり悪手に違いない。
「何にせよ、随分と急ぎ足な感じだったし、ここらで一旦腰を据えようか」
だからマグは、そう言いながら端末からASHギルドの掲示板を空中ディスプレイに表示させ、一先ずどんな依頼があるのか確認することにした。
アテラは近接戦闘寄りオールラウンダー。【エコーロケイト】で周囲の把握も可。
フィアはシールドで味方の守りと敵の妨害。
ドリィは全方位に対する超強力な遠距離攻撃。
マグは三人に比べると戦闘力という点では明らかに劣っているが、修復とリミッター解除状態の維持などのサポートは十分可能。
クリルの言う通り、迷宮遺跡に挑むに当たっては悪くないメンバーだろう。
「それで汝ら、次はどうするつもりだ?」
「次、ですか。そうですね……」
続けて問うた彼女に、マグは少し考えた。
突然、指名で依頼された危険な迷宮遺跡の踏破。
当初の目的とは違う形での達成となったが、最深部まで攻略することはできた。
未踏破の迷宮遺跡の攻略に乗り出すことも不可能ではない気はするが……。
しかし、それはあくまでも不可能ではないだけだ。
「もう少し地に足をつけると言うか、経験を積むべきかなと思います」
マグとアテラがこの惑星ティアフロントに転移してきて、まだ三日。
端末やASHギルドのVRシミュレーターで最低限の情報を頭に詰め込んではいるものの……所詮は最低限に過ぎない。
このまま調子に乗って同じぐらいの難易度の依頼に挑むのは危険過ぎる。
こういう時には往々にして落とし穴が待ち構えているものだ。
「うむ。まあ、妥当な判断だな」
深く頷くクリル。
妥当過ぎて文句のつけようもない、という感じだ。
「しかし、そういうことなら全く別の依頼を受けてみるのもよいかもしれんな」
「別の依頼、ですか?」
「うむ。冒険者や狩猟者の依頼だ。そちらの経験も何かの役に立つかもしれん」
クリルの提案にマグは成程と思った。
メタからの依頼にせよ、マグ自身が望む人間を機人にする装置にせよ。
既存の迷宮遺跡の未踏領域に存在するとは限らない。
基本的に探索者メインでやるつもりではあったが、いずれは未発見の遺跡を探しに行かなければならない時が来るかもしれない。
そうなった時、冒険者や狩猟者の経験は間違いなく生きるだろう。
「そうですね。選択肢の一つとして考えてみます」
「それがいい」
「では、当面は基本的な依頼をこなしていくということでよろしいでしょうか?」
とりあえず今後の方針が決まったと見てか、それまで黙ってマグとクリルのやり取りを見守っていたアテラが確認するように問いかけてくる。
「ああ。アテラもそれでいいか」
「はい。私は旦那様の意思に従います」
「フィアとドリィも」
「フィアは、おとー様とおかー様と一緒です!」
「アタシも異論はないわ。と言うか、異論を出せる程の情報がないわ」
「うん、まあ、そうだな」
素直に受け入れるフィアと、わざわざ一言つけ加えたドリィ。
明確な性格の違いが見て取れる。
これから仲間として、家族として共に歩んでいくならば、その辺りもじっくりとすり合わせていかなければならないだろう。
そう考えると、性急にことを進めようとするのはやはり悪手に違いない。
「何にせよ、随分と急ぎ足な感じだったし、ここらで一旦腰を据えようか」
だからマグは、そう言いながら端末からASHギルドの掲示板を空中ディスプレイに表示させ、一先ずどんな依頼があるのか確認することにした。
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