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第一章 未来異星世界
050 依頼変更
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「フィア」
「はい、おかー様。シールド出力、通常に移行。形状再設定。対象と同期します」
敵ガイノイドを無力化した後。息を入れることもなく。
アテラに促すように名前を呼ばれたフィアは、即座に光の膜をルクス迷宮遺跡最深部の壁面に添わせるように更に拡大させた。
ただ、先程までとは違ってジェネレーターの発する音は落ち着いていて、彼女の言葉通り出力は安定状態に戻していることが分かる。
同期は何に対してしたかと言えば、床に転がる少女型機械人形の残骸。
アテラが念には念を入れて追加でブツ切りにしていたらしく、倒れた衝撃でいくつかの関節部からばらけてしまっている彼女のパーツ。その全てだ。
ルクス迷宮遺跡の管理コンピューターは、それを取り戻して再接続しようとしてかケーブルを伸ばそうとしているが、シールドによって分断されて叶わずにいる。
彼女に固執している辺り、万策が尽きたのだろう。
ここに至ってようやくマグは少しだけ緊張を和らげた。
「後は管理コンピューターを停止させるだけだな」
「はい。端末のマニュアルを参考に位置を特定して破壊を――」
アテラの言葉を聞きつつ、マグが【アイテールスラッグ】を構え直した瞬間。
それを抑制するように端末が起動し、空中ディスプレイが表示された。
「……依頼の、変更?」
戸惑いながら、書かれている内容を確認する。
迷宮遺跡踏破は中止。行動不能にした機人を回収して帰還するように。
要点を纏めるとそんな感じだ。
「どうやら断片持ちの彼女を排除したことで、ルクス迷宮遺跡そのものの脅威度が大幅に下がったと判断されたようですね」
「つまるところ、形骸遺跡にしてしまうより出土品収集用の迷宮遺跡として残した方がメリットが大きいから、管理コンピューターは稼働したままでいい、と」
随分と現金だが、街の管理者側からすると遺跡は鉱山のようなものなのだろう。
危険性が低くなり、有用な鉱物が取れるとすれば閉山する選択肢はない。
妥当な判断ではある。
ルクス迷宮遺跡それ自体が断片を保有していなかったが故の方針転換だ。
「後は、あの子の回収と……」
「管理者の屋敷への運搬ですね」
断片をその身に宿す機人。
街の管理者メタが欲しているEX級アーティファクトと見なされる存在だ。
間違いなく持ち帰らなければ、信用問題になってしまうだろう。
「【コンプレッシブキャリアー】起動」
そんなことを考えながらマグが取り出したる出土品は、ライトファンタジーで言うところの魔法の袋。アイテムボックスとも表されるものだ。
一見すると平たい板だが、組み立てると箱になる。
空間圧縮技術によって中は数十倍の体積があり、様々なものを保管できる。
「さて」
その【コンプレッシブキャリアー】を手に、ガイノイドの残骸に近づく。
無残にもバラバラになり、無事な頭部も目が明後日の方向を見ていて少し怖い。
あの状況ではアテラも仕方がなかっただろうが、もう少し手心をとも思う。
せめて丁寧に扱おうと一つ一つ慎重に箱に入れていく。
「よし」
そうして最後の一つをしまい込んでから。
「帰ろうか」
「はい。旦那様」
「帰り道もフィアがおとー様とおかー様を守ります!」
最深部の塞がれた出入口を【アイテールスラッグ】で破壊し、来た道を戻る。
断片の恩恵を失った罠や機獣では、もはやフィアのシールドを突破できない。
安全迅速にルクス迷宮遺跡の出口へと向かい……。
こうしてマグ達は初めての遺跡探索を終え、行きと同じく装甲車に乗って秩序の街・多迷宮都市ラヴィリアへと帰ったのだった。
「はい、おかー様。シールド出力、通常に移行。形状再設定。対象と同期します」
敵ガイノイドを無力化した後。息を入れることもなく。
アテラに促すように名前を呼ばれたフィアは、即座に光の膜をルクス迷宮遺跡最深部の壁面に添わせるように更に拡大させた。
ただ、先程までとは違ってジェネレーターの発する音は落ち着いていて、彼女の言葉通り出力は安定状態に戻していることが分かる。
同期は何に対してしたかと言えば、床に転がる少女型機械人形の残骸。
アテラが念には念を入れて追加でブツ切りにしていたらしく、倒れた衝撃でいくつかの関節部からばらけてしまっている彼女のパーツ。その全てだ。
ルクス迷宮遺跡の管理コンピューターは、それを取り戻して再接続しようとしてかケーブルを伸ばそうとしているが、シールドによって分断されて叶わずにいる。
彼女に固執している辺り、万策が尽きたのだろう。
ここに至ってようやくマグは少しだけ緊張を和らげた。
「後は管理コンピューターを停止させるだけだな」
「はい。端末のマニュアルを参考に位置を特定して破壊を――」
アテラの言葉を聞きつつ、マグが【アイテールスラッグ】を構え直した瞬間。
それを抑制するように端末が起動し、空中ディスプレイが表示された。
「……依頼の、変更?」
戸惑いながら、書かれている内容を確認する。
迷宮遺跡踏破は中止。行動不能にした機人を回収して帰還するように。
要点を纏めるとそんな感じだ。
「どうやら断片持ちの彼女を排除したことで、ルクス迷宮遺跡そのものの脅威度が大幅に下がったと判断されたようですね」
「つまるところ、形骸遺跡にしてしまうより出土品収集用の迷宮遺跡として残した方がメリットが大きいから、管理コンピューターは稼働したままでいい、と」
随分と現金だが、街の管理者側からすると遺跡は鉱山のようなものなのだろう。
危険性が低くなり、有用な鉱物が取れるとすれば閉山する選択肢はない。
妥当な判断ではある。
ルクス迷宮遺跡それ自体が断片を保有していなかったが故の方針転換だ。
「後は、あの子の回収と……」
「管理者の屋敷への運搬ですね」
断片をその身に宿す機人。
街の管理者メタが欲しているEX級アーティファクトと見なされる存在だ。
間違いなく持ち帰らなければ、信用問題になってしまうだろう。
「【コンプレッシブキャリアー】起動」
そんなことを考えながらマグが取り出したる出土品は、ライトファンタジーで言うところの魔法の袋。アイテムボックスとも表されるものだ。
一見すると平たい板だが、組み立てると箱になる。
空間圧縮技術によって中は数十倍の体積があり、様々なものを保管できる。
「さて」
その【コンプレッシブキャリアー】を手に、ガイノイドの残骸に近づく。
無残にもバラバラになり、無事な頭部も目が明後日の方向を見ていて少し怖い。
あの状況ではアテラも仕方がなかっただろうが、もう少し手心をとも思う。
せめて丁寧に扱おうと一つ一つ慎重に箱に入れていく。
「よし」
そうして最後の一つをしまい込んでから。
「帰ろうか」
「はい。旦那様」
「帰り道もフィアがおとー様とおかー様を守ります!」
最深部の塞がれた出入口を【アイテールスラッグ】で破壊し、来た道を戻る。
断片の恩恵を失った罠や機獣では、もはやフィアのシールドを突破できない。
安全迅速にルクス迷宮遺跡の出口へと向かい……。
こうしてマグ達は初めての遺跡探索を終え、行きと同じく装甲車に乗って秩序の街・多迷宮都市ラヴィリアへと帰ったのだった。
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