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第一章 未来異星世界
045 遺跡探索の開始
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「では、行ってきます」
「うむ。気をつけるのだぞ」
「はい」
装備の割り振りと最低限の動作確認を済ませてから。
マグ達はクリルの店を辞去し、まず街の表門を目指した。
まだ日が高く通行人の姿は多いが、街の外へと向かう流れは乏しい。
この時代。この星。何より、ここ秩序の街・多迷宮都市ラヴィリアでは。
生活は街の中だけで完結し、外に出なければならない状況はそうないのだろう。
それこそASHギルドの登録者ぐらいのものか。
ともあれ城壁……と言うよりも、砦のような構造物に至り、門番の脇を軽く頭を下げながら通り抜けてコンパクトな自動扉から中に入る。
まるで顔パスだが、端末で確認を取っていて呼びとめる必要がないだけだ。
「……ルクス迷宮遺跡まで十五分か。割と近いな」
「とは言え、移動手段があれですからね」
ナビゲーションを確認しながら呟いたマグに、アテラが苦笑気味に言う。
視線の先。城壁の中のスペースには四輪駆動の装甲車が何台も駐車していた。
目的地が遠い場合、あれを借りて向かうのだ。
見ての通り馬車ではない。周囲もファンタジーではなくミリタリーな雰囲気だ。
マグ達が最初に入ってきた側の門とは何もかもが違う。
街中の雰囲気を完全に投げ捨てているのは、ここから先は実用性を重視しなければならない領域である証左なのかもしれない。
「どれでもいいんだよな」
「そのようです」
マグは端末をスマートキーのように使って鍵を開け、適当な一台に乗り込んだ。
運転は完全自動制御なので、過去の普通免許が失効していても何ら問題ない。
「フィア、真ん中がいいです!」
どこかはしゃいだように言い、マグの後に続いて隣の席に座るフィア。
ハンドルやアクセル、ブレーキ、シフトレバーもないため、前列にも三人余裕を持って座ることができる。三×二で最大乗車定員六名の仕様だ。
「フィアは元気いっぱいですね」
どこか和んだようにディスプレイを淡い緑色にしながら、最後にアテラが乗る。
三人横並び。フィアはマグとアテラの間で嬉しそうに笑っている。
外見相応に幼い振る舞いだが、真ん中の方がシールドを用いて守り易いという理由もあるのかもしれない。表層的な思考ではなく、根っこにある原理として。
そんな邪推をしながらフィアを見たマグに、彼女は無邪気な笑顔を浮かべる。
いずれにせよ、親愛の情が理由の大半であることに間違いはないだろう。
「さて、出発しようか」
意識を切り替えて告げたマグの言葉を合図に、装甲車が自動的に走り出す。
街を出た途端、ぐんぐんと加速していくが、揺れはほとんどない。
ある程度、道が整っていることもあるが、この車自体に出土品がいくつか組み込まれており、走行と同時に整地も行っているかららしい。
感覚としては新幹線にでも乗っているような気分だ。
そうして予測時間通り丁度十五分後。
マグ達は目的地に到着した。
「ここが、ルクス迷宮遺跡みたいだな」
「……VRシミュレーターの時も思いましたが、遺跡とは名ばかりですね」
アテラが言う通り、目前のそれの外観は小綺麗な工場以外の何ものでもない。
管理コンピューターが上空からの侵入や攻撃を想定して地下を複雑怪奇に拡張しているとのことなので、迷宮という部分に関しては嘘偽りない表現ではあるが。
ライトファンタジー的なダンジョンアタックというより、スパイ映画などでよく見るセキュリティ万全な施設への潜入のように認識した方がいいだろう。
「旦那様、降りる前に装備を」
「そうだな」
アテラの提言を受け、マグはクリルから与えられた先史兵装の内の一つ【エクソスケルトン】を起動させた。
直後、軍事用の強化外骨格が生成され、マグの全身を覆っていく。
気分は変身ヒーローだ。
「おとー様、カッコイイです!」
しかし、そうキラキラした目と共に称賛されると少し気恥ずかしい。
マグは誤魔化すように彼女の頭を柔らかく撫でた。
それから一つ深く息を吐いて気持ちを整える。
「落ち着いて、慎重に行こう」
「はい。旦那様」
周囲に注意を払いつつ、まずアテラから装甲車を降りる。
その彼女が振り返って頷いてから、フィア、マグと続いた。
「フィアが先導します!」
そこから光の膜を纏った彼女が先んじ、ルクス迷宮遺跡の入口の扉を開ける。
正にその瞬間。
愚かな侵入者を待ち構えていたかのように、何本ものレーザーが照射された。
「うおっ」
これは確かに生半可な超越現象や出土品では対処できなかっただろう。
しかし――。
「おとー様、おかー様。ピッタリついてきて下さい!」
一瞬ヒヤッとしたマグとは対照的に。
フィアはそう元気よく言うと、散歩するような足取りで進み始めた。
シールドは形状を変え、三人全員を包み込んでいる。
未だに迷宮遺跡は侵入者を焼き切らんとレーザーを放ち続けているが……。
「平気へっちゃらです!」
彼女の防御壁は光も熱も完全に遮断し、マグ達を脅かすことはなかった。
護衛ロボットの本領発揮だ。
そうして三人、本来なら一歩も進めない通路を強引に突き抜けていった。
「うむ。気をつけるのだぞ」
「はい」
装備の割り振りと最低限の動作確認を済ませてから。
マグ達はクリルの店を辞去し、まず街の表門を目指した。
まだ日が高く通行人の姿は多いが、街の外へと向かう流れは乏しい。
この時代。この星。何より、ここ秩序の街・多迷宮都市ラヴィリアでは。
生活は街の中だけで完結し、外に出なければならない状況はそうないのだろう。
それこそASHギルドの登録者ぐらいのものか。
ともあれ城壁……と言うよりも、砦のような構造物に至り、門番の脇を軽く頭を下げながら通り抜けてコンパクトな自動扉から中に入る。
まるで顔パスだが、端末で確認を取っていて呼びとめる必要がないだけだ。
「……ルクス迷宮遺跡まで十五分か。割と近いな」
「とは言え、移動手段があれですからね」
ナビゲーションを確認しながら呟いたマグに、アテラが苦笑気味に言う。
視線の先。城壁の中のスペースには四輪駆動の装甲車が何台も駐車していた。
目的地が遠い場合、あれを借りて向かうのだ。
見ての通り馬車ではない。周囲もファンタジーではなくミリタリーな雰囲気だ。
マグ達が最初に入ってきた側の門とは何もかもが違う。
街中の雰囲気を完全に投げ捨てているのは、ここから先は実用性を重視しなければならない領域である証左なのかもしれない。
「どれでもいいんだよな」
「そのようです」
マグは端末をスマートキーのように使って鍵を開け、適当な一台に乗り込んだ。
運転は完全自動制御なので、過去の普通免許が失効していても何ら問題ない。
「フィア、真ん中がいいです!」
どこかはしゃいだように言い、マグの後に続いて隣の席に座るフィア。
ハンドルやアクセル、ブレーキ、シフトレバーもないため、前列にも三人余裕を持って座ることができる。三×二で最大乗車定員六名の仕様だ。
「フィアは元気いっぱいですね」
どこか和んだようにディスプレイを淡い緑色にしながら、最後にアテラが乗る。
三人横並び。フィアはマグとアテラの間で嬉しそうに笑っている。
外見相応に幼い振る舞いだが、真ん中の方がシールドを用いて守り易いという理由もあるのかもしれない。表層的な思考ではなく、根っこにある原理として。
そんな邪推をしながらフィアを見たマグに、彼女は無邪気な笑顔を浮かべる。
いずれにせよ、親愛の情が理由の大半であることに間違いはないだろう。
「さて、出発しようか」
意識を切り替えて告げたマグの言葉を合図に、装甲車が自動的に走り出す。
街を出た途端、ぐんぐんと加速していくが、揺れはほとんどない。
ある程度、道が整っていることもあるが、この車自体に出土品がいくつか組み込まれており、走行と同時に整地も行っているかららしい。
感覚としては新幹線にでも乗っているような気分だ。
そうして予測時間通り丁度十五分後。
マグ達は目的地に到着した。
「ここが、ルクス迷宮遺跡みたいだな」
「……VRシミュレーターの時も思いましたが、遺跡とは名ばかりですね」
アテラが言う通り、目前のそれの外観は小綺麗な工場以外の何ものでもない。
管理コンピューターが上空からの侵入や攻撃を想定して地下を複雑怪奇に拡張しているとのことなので、迷宮という部分に関しては嘘偽りない表現ではあるが。
ライトファンタジー的なダンジョンアタックというより、スパイ映画などでよく見るセキュリティ万全な施設への潜入のように認識した方がいいだろう。
「旦那様、降りる前に装備を」
「そうだな」
アテラの提言を受け、マグはクリルから与えられた先史兵装の内の一つ【エクソスケルトン】を起動させた。
直後、軍事用の強化外骨格が生成され、マグの全身を覆っていく。
気分は変身ヒーローだ。
「おとー様、カッコイイです!」
しかし、そうキラキラした目と共に称賛されると少し気恥ずかしい。
マグは誤魔化すように彼女の頭を柔らかく撫でた。
それから一つ深く息を吐いて気持ちを整える。
「落ち着いて、慎重に行こう」
「はい。旦那様」
周囲に注意を払いつつ、まずアテラから装甲車を降りる。
その彼女が振り返って頷いてから、フィア、マグと続いた。
「フィアが先導します!」
そこから光の膜を纏った彼女が先んじ、ルクス迷宮遺跡の入口の扉を開ける。
正にその瞬間。
愚かな侵入者を待ち構えていたかのように、何本ものレーザーが照射された。
「うおっ」
これは確かに生半可な超越現象や出土品では対処できなかっただろう。
しかし――。
「おとー様、おかー様。ピッタリついてきて下さい!」
一瞬ヒヤッとしたマグとは対照的に。
フィアはそう元気よく言うと、散歩するような足取りで進み始めた。
シールドは形状を変え、三人全員を包み込んでいる。
未だに迷宮遺跡は侵入者を焼き切らんとレーザーを放ち続けているが……。
「平気へっちゃらです!」
彼女の防御壁は光も熱も完全に遮断し、マグ達を脅かすことはなかった。
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そうして三人、本来なら一歩も進めない通路を強引に突き抜けていった。
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