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第一章 未来異星世界
024 襲撃者達
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「一体、何ごとだっ!?」
作業部屋から飛び出したクリルの後に続き、マグとアテラも店舗部分に向かう。
すると――。
「何だ。汝らは」
そこには深いフードを被った集団の姿があった。
どうやら入口のガラス戸を叩き割って押し入ってきたらしい。
わざわざ破壊行為に出た辺り、何かしらセキュリティが作動していたのだろう。
侵入者の数は六人。どう見ても堅気とは思えない。
「そこの機人を渡して貰おうか」
体格からして男であろう彼らの内の一人がアテラを指差して言う。
どうやら目的な彼女らしい。
「……まさか、ヒンドランの部下か?」
その要求を根拠にマグがそう考えたのは無理もないことだろう。
そもそも実力行使に出てきそうな人物は、彼以外には知らないのだから。
顔を隠した男達は何も答えない。
だが、マグはその推測が正しいと確信した。
「……何であろうとアテラは渡さない。とっとと帰れ」
「ふん。大人しく従った方が身のためだぞ。痛い目を見たくなければな」
「こうも派手に罪を犯して。ただで済むと思っているのか?」
手首の端末に視線をやりながら問いかける。
役所でのレセの言動を顧みる限り、既に治安組織に伝わっていて然るべきだ。
「ふっ。残念だが、妨害する手段ぐらいあるんだよ」
しかし、リーダー格らしき男はそう鼻で笑いながら言い、懐から何かを取り出す。
形状は拳大の正二十面体のクリスタル。
その中心には全てを吸い込むような漆黒の何かが囚われている。
「あれは……【アブソーバー】か!」
それを見て、クリルは忌々しげにその正体を口にした。
「【アブソーバー】?」
「空間の放出された原炎を無尽蔵に吸収する先史兵装だ」
「……原炎というのは?」
「超越現象や出土品の源たるエネルギーと思え」
さしものクリルも緊急事態故か簡潔に早口で答える。
超越現象を魔法と置き換えるなら、原炎は魔力というところだろう。
「放出系の力は勿論、原炎を用いた通信も不可能となる。端末も圏外だ」
「確かに。ネットワークに接続できません」
自ら通報しようとして、できなかったのだろう。
アテラがクリルの言葉を肯定する事実を告げた。
「状況を理解したか? 加えて【アブソーバー】に干渉系の力を制限する機能はなく、俺達は皆、干渉系の中でも身体強化の超越現象の持ち主だ」
得意げに告げる男。他の五人も同じ雰囲気だ。
優位に立って気が大きくなっているようだ。
獲物を前にお喋りになる姿からは小物の気配しかないが……。
力を持ったチンピラは、極めてたちが悪い。慎重な対象が必要になる。
にもかかわらず。
「黙れ。割のいい仕事にはありつけない程度のレベルの低い身体強化だから、このような真似をしているのだろう。下らないゴロツキ共め」
挑発するようにクリルは侮蔑のこもった声で言う。
図星だったのか、侵入者達は雰囲気を一変させる。
一瞬にして空気が張り詰める。そして。
「……気が変わった。泣いて許しを乞うまで痛めつけてやろう」
声にドスを利かせたリーダー格の男に同調するように、彼らは一様に強い害意を顕にしながらにじり寄ってきた。
作業部屋から飛び出したクリルの後に続き、マグとアテラも店舗部分に向かう。
すると――。
「何だ。汝らは」
そこには深いフードを被った集団の姿があった。
どうやら入口のガラス戸を叩き割って押し入ってきたらしい。
わざわざ破壊行為に出た辺り、何かしらセキュリティが作動していたのだろう。
侵入者の数は六人。どう見ても堅気とは思えない。
「そこの機人を渡して貰おうか」
体格からして男であろう彼らの内の一人がアテラを指差して言う。
どうやら目的な彼女らしい。
「……まさか、ヒンドランの部下か?」
その要求を根拠にマグがそう考えたのは無理もないことだろう。
そもそも実力行使に出てきそうな人物は、彼以外には知らないのだから。
顔を隠した男達は何も答えない。
だが、マグはその推測が正しいと確信した。
「……何であろうとアテラは渡さない。とっとと帰れ」
「ふん。大人しく従った方が身のためだぞ。痛い目を見たくなければな」
「こうも派手に罪を犯して。ただで済むと思っているのか?」
手首の端末に視線をやりながら問いかける。
役所でのレセの言動を顧みる限り、既に治安組織に伝わっていて然るべきだ。
「ふっ。残念だが、妨害する手段ぐらいあるんだよ」
しかし、リーダー格らしき男はそう鼻で笑いながら言い、懐から何かを取り出す。
形状は拳大の正二十面体のクリスタル。
その中心には全てを吸い込むような漆黒の何かが囚われている。
「あれは……【アブソーバー】か!」
それを見て、クリルは忌々しげにその正体を口にした。
「【アブソーバー】?」
「空間の放出された原炎を無尽蔵に吸収する先史兵装だ」
「……原炎というのは?」
「超越現象や出土品の源たるエネルギーと思え」
さしものクリルも緊急事態故か簡潔に早口で答える。
超越現象を魔法と置き換えるなら、原炎は魔力というところだろう。
「放出系の力は勿論、原炎を用いた通信も不可能となる。端末も圏外だ」
「確かに。ネットワークに接続できません」
自ら通報しようとして、できなかったのだろう。
アテラがクリルの言葉を肯定する事実を告げた。
「状況を理解したか? 加えて【アブソーバー】に干渉系の力を制限する機能はなく、俺達は皆、干渉系の中でも身体強化の超越現象の持ち主だ」
得意げに告げる男。他の五人も同じ雰囲気だ。
優位に立って気が大きくなっているようだ。
獲物を前にお喋りになる姿からは小物の気配しかないが……。
力を持ったチンピラは、極めてたちが悪い。慎重な対象が必要になる。
にもかかわらず。
「黙れ。割のいい仕事にはありつけない程度のレベルの低い身体強化だから、このような真似をしているのだろう。下らないゴロツキ共め」
挑発するようにクリルは侮蔑のこもった声で言う。
図星だったのか、侵入者達は雰囲気を一変させる。
一瞬にして空気が張り詰める。そして。
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