EX級アーティファクト化した介護用ガイノイドと行く未来異星世界遺跡探索~君と添い遂げるために~

青空顎門

文字の大きさ
上 下
20 / 128
第一章 未来異星世界

020 出土品修復屋

しおりを挟む
 腕輪型端末に搭載された地図のナビゲーションに従って歩くこと十数分。
 マグ達は人気の少ない裏路地へと導かれ、やがて目的地へと至った。

「ここか」
「…………随分とこじんまりしていますね」

 想像と違ったのか、首を傾げてディスプレイに【(゚_。)?】と表示させるアテラ。
 求人票にあった待遇のよさから大規模な修理工場をイメージしていたのだろう。
 しかし、視界の中にあったのは比較的小さな一軒家。
 雰囲気としては、街の時計修理屋さん、といった感じだ。
 入り口脇のショーウインドウには用途の分からない謎パーツが並んでいるが。

「まあ、入ってみよう」
「はい。旦那様」

 ドアベルを鳴らしながら扉を開ける。
 だが、店舗部分に人の姿はなかった。
 とりあえず、店主が来るまで待とうと陳列された商品を眺めることにする。

「…………見ても何が何だか分からないな」
「商品説明も値段も書いてませんね」

 マグの呟きに応じてアテラが告げた通り。
 店内には販促を放棄したかの如く品物のみが不規則に並べられていた。
 タグもポップも何もない。
 単なるインテリアのようにも思えてしまう。
 こうなると店というよりも展示場と言った方が正しいかもしれない。
 マグが内心でそう評価をしていると、その辺りの理由を答える声が響く。

「値段やどういった機能を持つかが分かると、盗まれる危険性が高まる故な」

 振り返ると、一人の小柄な女性が店の奥から現れた。
 金髪碧眼の美少女と言って差し支えない容姿だ。
 しかし、鋭過ぎる眼光と野暮ったい作業着のせいか幼さは薄れてしまっている。

「貴方が……クリル・ベージさんですか?」

 マグが職業斡旋所で見た情報を基に確認すると、彼女は「ああ」と頷く。

「我がこの出土品PTデバイス修復屋の主、クリル・ベージで間違いない」
出土品PTデバイス?」
「時空間転移システム暴走に伴って失われた文明、その遺跡から出土される超技術を有した装置のことだ。大概破損している故、我のような者が修復しているのだ」
「成程」

 つまるところ、ここにあるものは全てがそれという訳だ。
 マグからすると遥か未来の物品。
 一目で用途が分からなくても不思議はない。

「さて、汝が今回求人に応じてくれた稀人のマグで間違いないな?」
「はい。マグ・アド・マキナです」
「よろしい。では、早速テストを受けて貰おう」

 そう告げると、クリルはついてこいと言わんばかりに店の奥へと踵を返す。

「すみません。その前に一つお聞きしたいのですが」

 と、その背中にアテラが声をかけた。
 対してクリルは、面倒臭そうにしながらも立ち止まって「何だ?」と応じた。

「他の求人に比べ、異様に待遇がよかった理由をお教え下さい。余り危険なことを旦那様にさせたくはありませんので」
「……ふむ。骨董品のような見かけに反して中々頭の回る機人だ」

 アテラの問いに、クリルは感心したように呟いてから一呼吸置いて答えを返す。

「待遇がいいのはそれだけ珍しく、需要のあるものを修復しているからだ。いわゆる先史兵装PTアーマメント出土品PTデバイスの中でも戦闘用の機能を持つと目されるものだな」
「戦闘用……」

 マグは超越現象PBPも戦闘系能力の需要が高いと聞いたことを思い出した。
 やはりこの時代、この場所は殺伐とした問題を抱えているようだ。
 しかし、そういうことであれば、あの厚遇も理解できなくはない。

「まあ、それだけに扱いを誤れば危険はなくはない。だが、それは我が日々行っていることだ。それ以上でも以下でもない。勿論、選択権は君達にもある」

 クリルはそう告げると「それでもテストを受けたければ、ついてきたまえ」と続けながらカウンター奥のバックヤードへと再び歩き出した。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)

排他的経済水域
ファンタジー
12歳の誕生日 冒険者になる事が憧れのケインは、教会にて スキル適性値とオリジナルスキルが告げられる 強いスキルを望むケインであったが、 スキル適性値はG オリジナルスキルも『スキル重複』というよくわからない物 友人からも家族からも馬鹿にされ、 尚最強の冒険者になる事をあきらめないケイン そんなある日、 『スキル重複』の本来の効果を知る事となる。 その効果とは、 同じスキルを2つ以上持つ事ができ、 同系統の効果のスキルは効果が重複するという 恐ろしい物であった。 このスキルをもって、ケインの下剋上は今始まる。      HOTランキング 1位!(2023年2月21日) ファンタジー24hポイントランキング 3位!(2023年2月21日)

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

処理中です...