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第一章 未来異星世界
006 戦闘と変化
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二体の狼型アニマロイド(?)が眼前の道を塞ぎ、威嚇の電子音を放つ。
当然と言うべきか、男の時代には高性能なAIが搭載されたペット型のロボットも一般に販売されていた。
しかし、こうも獰猛な意匠はさすがにフィクションでしか見たことがない。
人に害を与えかねない凶悪なカスタマイズは法律で禁止されていたからだ。
……いずれにしても、眼前の存在が男達に友好的な存在である可能性はない。
「来ます!」
男の五感では感じ取れなかった駆動音や重心の移動から判断したのだろう。
アテラが叫んだ直後、二体のアニマロイドが男達に各々襲いかかってきた。
「アテラッ!」
「私は大丈夫です! 旦那様は御自身を!」
それらの動きは生身の狼と同程度。
二人のやり取りは致命的な隙となってもおかしくはなかった。
だが――。
「遅い……?」
機械的な硬さを僅かに残す動きを男は目で捉え、余裕を持って回避できていた。
ただ単に肉体が若返っただけでは考えられない反応速度だ。
「何だ、これは」
大きな感覚の違いに戸惑い、思わずアテラを見る。
すると、彼女は男など比ではない速度で相手を翻弄していた。
かと思えば、交差するように放った僅か一発の蹴りが対象の胴体を粉砕する。
その一撃を受け、機械の獣は内部パーツを草原に撒き散らしながら沈黙した。
元が介護用であるが故に、アテラの運動性能は人間と比べれば高めではあった。
だが、グレードとしては廉価版に当たる彼女に本来可能な動きではない。
男同様、アテラもまた身体能力が大幅に向上していると見て間違いない。
残る一体の攻撃をかわし続けながら、男はそんな風に分析していた。
もっとも、運動性能が上がっていても所詮は武器も持たぬ生身の人間。
破壊するには至らず、男にできるのは時間稼ぎが精々だったが……。
この場ではそれで十分。
「GAAAAAAAAA!!」
「うるさいですね!」
苛立ったように電子の咆哮を上げて襲いかかってくる狼型アニマロイド。
その前に躍り出たアテラが拳で狼の頭部を叩き割った。
続けて、息をつく間もなく胴体を蹴り砕き、二体目もまた完全に動かなくなる。
全く危なげのない鮮やかな手並み。
それを見て男は僅かに緊張を和らげ、ホッと息を吐いた。
しかし、その直後。
「旦那様っ!!」
振り返ったアテラが、悲鳴のような声を上げて手を伸ばしてくる。
そんな彼女の目元のディスプレイには、戦いを切り抜けた後の油断を狙ったかのように現れた伏兵、三体目の狼型アニマロイドの姿が映っていて……。
男の首に食らいつかんとする顎門が、先程の比ではない速度で迫ってきていた。
当然と言うべきか、男の時代には高性能なAIが搭載されたペット型のロボットも一般に販売されていた。
しかし、こうも獰猛な意匠はさすがにフィクションでしか見たことがない。
人に害を与えかねない凶悪なカスタマイズは法律で禁止されていたからだ。
……いずれにしても、眼前の存在が男達に友好的な存在である可能性はない。
「来ます!」
男の五感では感じ取れなかった駆動音や重心の移動から判断したのだろう。
アテラが叫んだ直後、二体のアニマロイドが男達に各々襲いかかってきた。
「アテラッ!」
「私は大丈夫です! 旦那様は御自身を!」
それらの動きは生身の狼と同程度。
二人のやり取りは致命的な隙となってもおかしくはなかった。
だが――。
「遅い……?」
機械的な硬さを僅かに残す動きを男は目で捉え、余裕を持って回避できていた。
ただ単に肉体が若返っただけでは考えられない反応速度だ。
「何だ、これは」
大きな感覚の違いに戸惑い、思わずアテラを見る。
すると、彼女は男など比ではない速度で相手を翻弄していた。
かと思えば、交差するように放った僅か一発の蹴りが対象の胴体を粉砕する。
その一撃を受け、機械の獣は内部パーツを草原に撒き散らしながら沈黙した。
元が介護用であるが故に、アテラの運動性能は人間と比べれば高めではあった。
だが、グレードとしては廉価版に当たる彼女に本来可能な動きではない。
男同様、アテラもまた身体能力が大幅に向上していると見て間違いない。
残る一体の攻撃をかわし続けながら、男はそんな風に分析していた。
もっとも、運動性能が上がっていても所詮は武器も持たぬ生身の人間。
破壊するには至らず、男にできるのは時間稼ぎが精々だったが……。
この場ではそれで十分。
「GAAAAAAAAA!!」
「うるさいですね!」
苛立ったように電子の咆哮を上げて襲いかかってくる狼型アニマロイド。
その前に躍り出たアテラが拳で狼の頭部を叩き割った。
続けて、息をつく間もなく胴体を蹴り砕き、二体目もまた完全に動かなくなる。
全く危なげのない鮮やかな手並み。
それを見て男は僅かに緊張を和らげ、ホッと息を吐いた。
しかし、その直後。
「旦那様っ!!」
振り返ったアテラが、悲鳴のような声を上げて手を伸ばしてくる。
そんな彼女の目元のディスプレイには、戦いを切り抜けた後の油断を狙ったかのように現れた伏兵、三体目の狼型アニマロイドの姿が映っていて……。
男の首に食らいつかんとする顎門が、先程の比ではない速度で迫ってきていた。
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