206 / 287
第2章 雄飛の青少年期編
177 最後の夏の決勝戦へ
しおりを挟む
夏の甲子園準々決勝での正樹の195球は物議を醸し、大炎上しかけた。
しかし、その日の第4試合終了時点で下火になり、今ではほぼ鎮火していた。
試合後のメディカルチェックで肘は特に問題ないと判断され、それを東京プレスギガンテスユースの広報が速やかに公式HPやSNSで報告したこと。
インタビューで自ら強く志願して続投したと正樹自身の口から語られたこと。
準決勝戦でセンターとして出場した正樹が、溌溂としたプレーを見せたこと。
それらのおかげだろう。
勿論、ネット上には未だに薪をくべようとしている者もいるにはいる。
個人的な心情としては俺も割とそちら側に近い。
ただ、当人にああもキッパリ己の意思だと断言されたら口を噤むしかない。
夏の甲子園という特別な場でのことでもあるからな。
決勝戦で同じような状況にでもならない限り、再び燃え上がる可能性は低い。
……といったところで東京プレスギガンテスユースの準決勝戦の結果も察しがつくだろうけれども、かのチームは決勝戦に進出することができた。
同じ優勝候補の兵庫ブルーヴォルテックスユースを下してきたのだから当然の結果という意見が多かったが、実際には準決勝の相手に結構てこずっていた。
連投禁止の規則のため、正樹は先に述べた通りセンターで出場。
東京プレスギガンテスユースは2番手ピッチャーを登板させたが、明らかに調子が悪く、細かく失点を重ねてしまう。
対して、投手の層の厚さに定評がある相手チームは前の試合では登板していなかったエースピッチャーをここぞとばかりに投入。
決勝戦で投げられなくなるが、まずここを突破しなければ何の意味もない。
そういった判断での起用法だったに違いないが、結果として割とうまくはまった。
程々に優秀なピッチャーを前にして打線は微妙に繋がらず、正樹が全打席申告敬遠と徹底的に勝負を避けられたことで中々得点できない。
色々な要素が嚙み合って正樹達は苦戦してしまった。
それでも、勝利したのは東京プレスギガンテスユースだった。
要所要所で正樹がプレーで魅せ、自らの力で流れを引き寄せたおかげだ。
いつか俺のように、ランナーが前にいなければ即座に盗塁してチャンス拡大。
積極走塁で1つ先の塁を目指すなど、打たせて貰えない鬱憤を足で晴らす。
守備でも、センターに陣取った正樹は聖域を作り出す勢いの活躍振り。
ポテンヒットになりそうなフライに全力で突っ込んでダイビングキャッチ。
フェンスを僅かに越える大飛球をジャンピングキャッチでもぎ取る。
犠牲フライをレーザービームの如きダイレクト送球で防ぐ。
野球というものはバッティングとピッチングだけではない。
それを彼の手でも証明してくれるような暴れっぷりだった。
決勝戦前日の特番でも正樹の活躍は大きく取り上げられ、番組の中で元プロ野球選手のコメンテーター達に絶賛されていたぐらいだ。
こう懸命なプレーをされると贔屓したくなってくる。
それが人情というものだろう。
実際、世間は旧神童の復活とその活躍に沸いた。
ちょっと炎上しかけたのも、むしろいいスパイスになっているぐらいだった。
明らかに追い風が吹いている。
前世でも、そうした大衆が作り上げる特有の空気が甲子園にはあった。
特定のチームを世の中全体で後押ししているかのような独特の雰囲気だ。
そして今回の大会では間違いなく、正樹と彼を擁する東京プレスギガンテスユースがその恩恵を受ける主人公枠に収まっていた。
そんな彼らの前に、物語上の障害の如く立ち塞がる決勝戦の相手。
我が母校、山形県立向上冠高校。
こちらは大松君と美海ちゃんの二枚看板で順当に勝ち進んできた。
準決勝戦もフルタイムナックルボーラー美海ちゃんと倉本さんの通称美少女バッテリーの活躍によって危なげなく勝利を飾り、決勝に進出。
こうして全国高校生硬式野球選手権大会決勝戦の組み合わせは、山形県立向上冠高校対東京プレスギガンテスユースに決まったのだが……。
その段階で一部過激なマスコミは、かつての補助金詐欺を持ち出して山形県立向上冠高校をヒール枠に押し込めて煽ろうとした気配があった。
もっとも、公立高校の元弱小野球部が2年連続で甲子園に出場して決勝戦に進んだ功績は、さすがにその類の悪評でくすんだりするものではない。
ネット上にも未だに悪く言う者がいるが、逆に白眼視されているぐらいだ。
今出場している選手に罪はないからな。
基本的に好試合を期待する声が大半だ。
しかし、順調に勝ち進み過ぎたせいか、主役っぽさはどうしても乏しい。
結果、あくまでも東京プレスギガンテスユースが主人公枠。
山形県立向上冠高校は好敵手枠で、引き立て役のポジション。
そんな立ち位置になってしまっているのが目に見えて分かった。
「それでも、わたしはみなみーのいる山形県立向上冠高校を応援する」
決勝戦開始直前の13時55分。
遠征先のホテルの2人部屋に備えられたテレビの前で。
寸前まで放送されていた東京プレスギガンテスユース贔屓の特番に大層不満げな様子のあーちゃんが、口をへの字にしながら言う。
「そうだな。俺達はそうしよう」
「むしろ、それ以外にない」
迷いなく断言する彼女に思わず苦笑する。
あーちゃんの場合はいわゆる判官贔屓でも何でもなく。
出身校だからという理由でも全くなく。
ただ単純に、1番の友達がいるチームだから味方しているだけだ。
別に、普段から正樹に辛辣な態度を取っていることは関係ない……はずだ。
多分。
「まあ、朝から慌ただしかったけど、落ち着いて生中継を見れそうでよかったな」
「ん。しかも夫婦水入らず」
備えつけのソファで隣に座るあーちゃんは俺にくっついて上機嫌。
人目を気にしなくていいので、思う存分スリスリしている。
相変わらず好感度がバグってるな。
可愛らしいけど。
それはともかくとして。
夏の甲子園決勝戦が行われる今日は水曜日。
盆休みは明けているので、多くの社会人にとっては既に普通の平日だ。
村山マダーレッドサフフラワーズも当然ビジターで試合がある。
いや、あった。
過去形だ。
今年の夏の甲子園決勝戦は14時丁度の開始予定。
通常デーゲームで行われる2部リーグと3部リーグの試合は時間が被る。
まあ、準決勝までもそうなる試合はあったが、次は決勝戦。
話題性が段違いだ。
例年、同時間帯のテレビやネット配信の視聴率は大部分がかっさらわれる。
かと言ってナイトゲームにすると、今度は1部リーグの試合と重なってしまう。
スポンサーとの兼ね合いもあり、機構側もそれは回避したい。
そんなこんなで、2部リーグと3部リーグの今日の試合は前世では片手で数えられるぐらいしか前例のないモーニングゲームで開催される運びとなっていた。
で、俺達は既に勝利して滞在先に戻ってきた訳だ。
前日は通常のデーゲームで、翌日はモーニングゲーム。
まあ、ナイトゲームからのデーゲームと似たようなものではあるけれども、無計画に夜更かしでもしたのかチームメイトはキツイキツイの大合唱だった。
とは言え、ダブルヘッダーよりは余程マシだろう。
前世よりもチームの数が多い関係で、こちらの世界は試合数が多い。
そのせいで、悪天候で中止が続くとダブルヘッダーも割と普通に起こるからな。
「始まる」
頭の中で今日の振り返りをしていると、クイクイと腕を引っ張られる。
時計は間もなく14時丁度を指し示そうとしているところ。
刻限だ。
意識をテレビ画面へと移す。
「みなみー、頑張れ」
そこに美海ちゃんの姿が映り、あーちゃんが応援の言葉を口にした。
他の面々の顔も目に入る。
昇二、大松君、倉本さん。そして正樹も。
画面越しながら皆、程よい緊張状態で試合に臨んでいるように見える。
これなら実力を発揮できずに終わるといったことはないだろう。
先攻は山形県立向上冠高校。
後攻が東京プレスギガンテスユース。
マウンドにはまず準々決勝戦195球の熱投から中3日の正樹が上がる。
投球練習を見た限りでは、調子も悪くはなさそうだ。
何球かの後、審判が試合開始のコールを口にする。
サイレンが鳴り響く。
それを合図にするように、正樹が大きく振りかぶった。
高校3年の総決算。
全国高校生硬式野球選手権大会決勝戦の幕が切って落とされた。
しかし、その日の第4試合終了時点で下火になり、今ではほぼ鎮火していた。
試合後のメディカルチェックで肘は特に問題ないと判断され、それを東京プレスギガンテスユースの広報が速やかに公式HPやSNSで報告したこと。
インタビューで自ら強く志願して続投したと正樹自身の口から語られたこと。
準決勝戦でセンターとして出場した正樹が、溌溂としたプレーを見せたこと。
それらのおかげだろう。
勿論、ネット上には未だに薪をくべようとしている者もいるにはいる。
個人的な心情としては俺も割とそちら側に近い。
ただ、当人にああもキッパリ己の意思だと断言されたら口を噤むしかない。
夏の甲子園という特別な場でのことでもあるからな。
決勝戦で同じような状況にでもならない限り、再び燃え上がる可能性は低い。
……といったところで東京プレスギガンテスユースの準決勝戦の結果も察しがつくだろうけれども、かのチームは決勝戦に進出することができた。
同じ優勝候補の兵庫ブルーヴォルテックスユースを下してきたのだから当然の結果という意見が多かったが、実際には準決勝の相手に結構てこずっていた。
連投禁止の規則のため、正樹は先に述べた通りセンターで出場。
東京プレスギガンテスユースは2番手ピッチャーを登板させたが、明らかに調子が悪く、細かく失点を重ねてしまう。
対して、投手の層の厚さに定評がある相手チームは前の試合では登板していなかったエースピッチャーをここぞとばかりに投入。
決勝戦で投げられなくなるが、まずここを突破しなければ何の意味もない。
そういった判断での起用法だったに違いないが、結果として割とうまくはまった。
程々に優秀なピッチャーを前にして打線は微妙に繋がらず、正樹が全打席申告敬遠と徹底的に勝負を避けられたことで中々得点できない。
色々な要素が嚙み合って正樹達は苦戦してしまった。
それでも、勝利したのは東京プレスギガンテスユースだった。
要所要所で正樹がプレーで魅せ、自らの力で流れを引き寄せたおかげだ。
いつか俺のように、ランナーが前にいなければ即座に盗塁してチャンス拡大。
積極走塁で1つ先の塁を目指すなど、打たせて貰えない鬱憤を足で晴らす。
守備でも、センターに陣取った正樹は聖域を作り出す勢いの活躍振り。
ポテンヒットになりそうなフライに全力で突っ込んでダイビングキャッチ。
フェンスを僅かに越える大飛球をジャンピングキャッチでもぎ取る。
犠牲フライをレーザービームの如きダイレクト送球で防ぐ。
野球というものはバッティングとピッチングだけではない。
それを彼の手でも証明してくれるような暴れっぷりだった。
決勝戦前日の特番でも正樹の活躍は大きく取り上げられ、番組の中で元プロ野球選手のコメンテーター達に絶賛されていたぐらいだ。
こう懸命なプレーをされると贔屓したくなってくる。
それが人情というものだろう。
実際、世間は旧神童の復活とその活躍に沸いた。
ちょっと炎上しかけたのも、むしろいいスパイスになっているぐらいだった。
明らかに追い風が吹いている。
前世でも、そうした大衆が作り上げる特有の空気が甲子園にはあった。
特定のチームを世の中全体で後押ししているかのような独特の雰囲気だ。
そして今回の大会では間違いなく、正樹と彼を擁する東京プレスギガンテスユースがその恩恵を受ける主人公枠に収まっていた。
そんな彼らの前に、物語上の障害の如く立ち塞がる決勝戦の相手。
我が母校、山形県立向上冠高校。
こちらは大松君と美海ちゃんの二枚看板で順当に勝ち進んできた。
準決勝戦もフルタイムナックルボーラー美海ちゃんと倉本さんの通称美少女バッテリーの活躍によって危なげなく勝利を飾り、決勝に進出。
こうして全国高校生硬式野球選手権大会決勝戦の組み合わせは、山形県立向上冠高校対東京プレスギガンテスユースに決まったのだが……。
その段階で一部過激なマスコミは、かつての補助金詐欺を持ち出して山形県立向上冠高校をヒール枠に押し込めて煽ろうとした気配があった。
もっとも、公立高校の元弱小野球部が2年連続で甲子園に出場して決勝戦に進んだ功績は、さすがにその類の悪評でくすんだりするものではない。
ネット上にも未だに悪く言う者がいるが、逆に白眼視されているぐらいだ。
今出場している選手に罪はないからな。
基本的に好試合を期待する声が大半だ。
しかし、順調に勝ち進み過ぎたせいか、主役っぽさはどうしても乏しい。
結果、あくまでも東京プレスギガンテスユースが主人公枠。
山形県立向上冠高校は好敵手枠で、引き立て役のポジション。
そんな立ち位置になってしまっているのが目に見えて分かった。
「それでも、わたしはみなみーのいる山形県立向上冠高校を応援する」
決勝戦開始直前の13時55分。
遠征先のホテルの2人部屋に備えられたテレビの前で。
寸前まで放送されていた東京プレスギガンテスユース贔屓の特番に大層不満げな様子のあーちゃんが、口をへの字にしながら言う。
「そうだな。俺達はそうしよう」
「むしろ、それ以外にない」
迷いなく断言する彼女に思わず苦笑する。
あーちゃんの場合はいわゆる判官贔屓でも何でもなく。
出身校だからという理由でも全くなく。
ただ単純に、1番の友達がいるチームだから味方しているだけだ。
別に、普段から正樹に辛辣な態度を取っていることは関係ない……はずだ。
多分。
「まあ、朝から慌ただしかったけど、落ち着いて生中継を見れそうでよかったな」
「ん。しかも夫婦水入らず」
備えつけのソファで隣に座るあーちゃんは俺にくっついて上機嫌。
人目を気にしなくていいので、思う存分スリスリしている。
相変わらず好感度がバグってるな。
可愛らしいけど。
それはともかくとして。
夏の甲子園決勝戦が行われる今日は水曜日。
盆休みは明けているので、多くの社会人にとっては既に普通の平日だ。
村山マダーレッドサフフラワーズも当然ビジターで試合がある。
いや、あった。
過去形だ。
今年の夏の甲子園決勝戦は14時丁度の開始予定。
通常デーゲームで行われる2部リーグと3部リーグの試合は時間が被る。
まあ、準決勝までもそうなる試合はあったが、次は決勝戦。
話題性が段違いだ。
例年、同時間帯のテレビやネット配信の視聴率は大部分がかっさらわれる。
かと言ってナイトゲームにすると、今度は1部リーグの試合と重なってしまう。
スポンサーとの兼ね合いもあり、機構側もそれは回避したい。
そんなこんなで、2部リーグと3部リーグの今日の試合は前世では片手で数えられるぐらいしか前例のないモーニングゲームで開催される運びとなっていた。
で、俺達は既に勝利して滞在先に戻ってきた訳だ。
前日は通常のデーゲームで、翌日はモーニングゲーム。
まあ、ナイトゲームからのデーゲームと似たようなものではあるけれども、無計画に夜更かしでもしたのかチームメイトはキツイキツイの大合唱だった。
とは言え、ダブルヘッダーよりは余程マシだろう。
前世よりもチームの数が多い関係で、こちらの世界は試合数が多い。
そのせいで、悪天候で中止が続くとダブルヘッダーも割と普通に起こるからな。
「始まる」
頭の中で今日の振り返りをしていると、クイクイと腕を引っ張られる。
時計は間もなく14時丁度を指し示そうとしているところ。
刻限だ。
意識をテレビ画面へと移す。
「みなみー、頑張れ」
そこに美海ちゃんの姿が映り、あーちゃんが応援の言葉を口にした。
他の面々の顔も目に入る。
昇二、大松君、倉本さん。そして正樹も。
画面越しながら皆、程よい緊張状態で試合に臨んでいるように見える。
これなら実力を発揮できずに終わるといったことはないだろう。
先攻は山形県立向上冠高校。
後攻が東京プレスギガンテスユース。
マウンドにはまず準々決勝戦195球の熱投から中3日の正樹が上がる。
投球練習を見た限りでは、調子も悪くはなさそうだ。
何球かの後、審判が試合開始のコールを口にする。
サイレンが鳴り響く。
それを合図にするように、正樹が大きく振りかぶった。
高校3年の総決算。
全国高校生硬式野球選手権大会決勝戦の幕が切って落とされた。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる