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第1章 雌伏の幼少期編
039 【経験ポイント】インフレーションと暗い原動力
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ヤバい。
【生得スキル】【超早熟】がヤバい。
【衰え知らず】もヤバい。
瀬川兄弟を仲間に加えてから半年後。
俺は頭を抱えていた。
理由は正樹のステータスを見れば一目瞭然だ。
状態/戦績/▽関係者/プレイヤースコープ
・瀬川正樹(成長タイプ:マニュアル) 〇能力詳細 〇戦績
BC:200 SP:200 TAG:200 TAC:300 GT:300
PS:110 TV:1000 PA:300
残り経験ポイント:32224 好感度:55/100
徐々に徐々に。いい塩梅にステータスを上げながら日々を送ってきたのだが、【経験ポイント】のインフレが半端ない。
漠然と爆増するとは言ったものの、このペースはちょっと恐ろし過ぎる。
間違いなく4年生の内に基礎ステータスがカンストできるぐらいは貯まる。
当然ながら、この他にも【経験ポイント】の消費先はある。
スキルやポジション適性、変化球。
特にポジション適性と変化球は基礎ステータスとは桁違いに消費が激しい。
具体的にはポジション1つ、変化球1つ当たり9100ポイントでカンストだ。
ステータス1つカンストするには4650必要なので、おおよそ倍だ。
しかし、今のペースだと……。
それも含めて6年生の大会までには9割方取得できるんじゃないか? って程。
少なくともその段階だと俺よりも遥かに強くなっていそうだ。
こんなことになっているのは【衰え知らず】のせいでもある。
本来、上げ過ぎてしまったステータスは自然と目減りしてしまってロスしてしまうはずなのに、それを考慮する必要が全くない。
上がれば上がりっ放しだ。
いや、どうすんの? これ。
小学校でカンストして、一生そのままだぞ?
「………………まあ、いいか」
想像を超えてきたせいで少し焦ってしまったけど、別に悪いことではない。
将来アメリカ代表と戦うことを考えると心強い限りだ。
問題は世の中への影響力だが……。
「よし。正樹には劇薬になって貰おうか」
アメリカ代表に本気で挑もうという気概もない世間に、風穴を開けてやるのだ。
これについては早ければ早い方がいい。
そうすれば俺の手の届かないところから心強い味方が育ってくるかもしれない。
一応、もう少し成長したら俺がやるつもりではいた。
けど、今すぐにとなると能力値的にまだまだ心許ないからな。
正樹の方が適任だ。
他にもメリットはある。
可能な限り目立たないように輝かしい存在の影に隠れていた方が、敵チームから研究されて対策される危険性も低くなる。
しばらくは正樹が日本野球の旗印となり、注目の的、警戒の的となるのだ。
きっと彼も本望だろう。
今までの不遇を思えば。
「正樹、昇二! あんまりやり過ぎるなよ!」
「分かってるって」「大丈夫」
これまでの鬱憤を晴らすように、双子はトレーニングに励み続ける。
勿論【超早熟】と【ゴールデンエイジ】の補正は大きい。
だが、俺が困惑する程までに【経験ポイント】を蓄えることができたのは、それだけ彼らが努力をしたからだ。
その原動力は夢に向かう意思だけではない。
2人の心には、今も長年の清原孝則達の言動が傷痕として残っている。
怒りが、苛立ちが消えることなく渦巻いている。
その負の感情こそが暗い原動力として2人を突き動かしているのだろう。
時として、むしろ後者の方が最大のモチベーションになることもあるのだから。
「そう思うと、活躍させて……見返せるようにしてやりたいよな」
見返す。
説得に使った言葉でもあるけれども、心の底からそう思う。
勝手に計画に組み込んでいるのだから、それぐらいは手伝ってあげたい。
「大会で皆を驚かせてやろうぜ、正樹」
だから俺はそう小さく呟き、美海ちゃんから小言が来る前に練習に戻った。
【生得スキル】【超早熟】がヤバい。
【衰え知らず】もヤバい。
瀬川兄弟を仲間に加えてから半年後。
俺は頭を抱えていた。
理由は正樹のステータスを見れば一目瞭然だ。
状態/戦績/▽関係者/プレイヤースコープ
・瀬川正樹(成長タイプ:マニュアル) 〇能力詳細 〇戦績
BC:200 SP:200 TAG:200 TAC:300 GT:300
PS:110 TV:1000 PA:300
残り経験ポイント:32224 好感度:55/100
徐々に徐々に。いい塩梅にステータスを上げながら日々を送ってきたのだが、【経験ポイント】のインフレが半端ない。
漠然と爆増するとは言ったものの、このペースはちょっと恐ろし過ぎる。
間違いなく4年生の内に基礎ステータスがカンストできるぐらいは貯まる。
当然ながら、この他にも【経験ポイント】の消費先はある。
スキルやポジション適性、変化球。
特にポジション適性と変化球は基礎ステータスとは桁違いに消費が激しい。
具体的にはポジション1つ、変化球1つ当たり9100ポイントでカンストだ。
ステータス1つカンストするには4650必要なので、おおよそ倍だ。
しかし、今のペースだと……。
それも含めて6年生の大会までには9割方取得できるんじゃないか? って程。
少なくともその段階だと俺よりも遥かに強くなっていそうだ。
こんなことになっているのは【衰え知らず】のせいでもある。
本来、上げ過ぎてしまったステータスは自然と目減りしてしまってロスしてしまうはずなのに、それを考慮する必要が全くない。
上がれば上がりっ放しだ。
いや、どうすんの? これ。
小学校でカンストして、一生そのままだぞ?
「………………まあ、いいか」
想像を超えてきたせいで少し焦ってしまったけど、別に悪いことではない。
将来アメリカ代表と戦うことを考えると心強い限りだ。
問題は世の中への影響力だが……。
「よし。正樹には劇薬になって貰おうか」
アメリカ代表に本気で挑もうという気概もない世間に、風穴を開けてやるのだ。
これについては早ければ早い方がいい。
そうすれば俺の手の届かないところから心強い味方が育ってくるかもしれない。
一応、もう少し成長したら俺がやるつもりではいた。
けど、今すぐにとなると能力値的にまだまだ心許ないからな。
正樹の方が適任だ。
他にもメリットはある。
可能な限り目立たないように輝かしい存在の影に隠れていた方が、敵チームから研究されて対策される危険性も低くなる。
しばらくは正樹が日本野球の旗印となり、注目の的、警戒の的となるのだ。
きっと彼も本望だろう。
今までの不遇を思えば。
「正樹、昇二! あんまりやり過ぎるなよ!」
「分かってるって」「大丈夫」
これまでの鬱憤を晴らすように、双子はトレーニングに励み続ける。
勿論【超早熟】と【ゴールデンエイジ】の補正は大きい。
だが、俺が困惑する程までに【経験ポイント】を蓄えることができたのは、それだけ彼らが努力をしたからだ。
その原動力は夢に向かう意思だけではない。
2人の心には、今も長年の清原孝則達の言動が傷痕として残っている。
怒りが、苛立ちが消えることなく渦巻いている。
その負の感情こそが暗い原動力として2人を突き動かしているのだろう。
時として、むしろ後者の方が最大のモチベーションになることもあるのだから。
「そう思うと、活躍させて……見返せるようにしてやりたいよな」
見返す。
説得に使った言葉でもあるけれども、心の底からそう思う。
勝手に計画に組み込んでいるのだから、それぐらいは手伝ってあげたい。
「大会で皆を驚かせてやろうぜ、正樹」
だから俺はそう小さく呟き、美海ちゃんから小言が来る前に練習に戻った。
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