第3次パワフル転生野球大戦ACE

青空顎門

文字の大きさ
上 下
29 / 318
第1章 雌伏の幼少期編

026 授業開始(歴史と体育)

しおりを挟む
 小学1年生の授業が始まって数日が経った。
 正直、児童向けの内容を再び学び直すことに最初は辟易していたが……。
 子供に興味を持たせようと色々工夫がなされているおかげだろう。
 意外と問題なく過ごすことができていた。

 大人の試行錯誤を分析しながらだと教科書も面白い。
 生活、図工、道徳とかは特に、純粋に懐かしくて楽しめる部分もある。
 最悪、柔らかいボールでもニギニギして握力強化に努めていればいいしな。
 書き取りや単純計算も、速さを意識して行えば微量ながら【経験ポイント】を得ることができる。
 そう考えれば、2度目の義務教育もやっていけそうだ。

「さて、皆さんは世界野球大戦WBWがどのようにして始まったのか知っていますか?」

 そして今は生活の授業。
 今日はその中でも大分歴史に寄った内容のようだ。

「分かる人、手を挙げて下さい」

 すなお先生の呼びかけに、何人かの生徒が手を挙げる。

「では、浜中さん」
「はい! せんそうはわるいことでひとがしんじゃうけど、やきゅうならひとがしなないからです!」
「そうですね。よくできました」

 褒められた浜中美海ちゃんは、満足そうな笑顔で席につく。
 ちょっと論が飛躍してる感もある。
 けど、こちらの世界の住人だと割と繋がってる話なのだ。
 その辺り、すなお先生は一呼吸置いてから説明を始めた。

「今から100年程前。世界大戦と呼ばれる大きな戦争がありました。それまでも色々な場所で戦争はありましたが、あれ程数多くの国が参加した戦争は後にも先にも1回だけです」

 野球狂神も軽く触れていたことだが、この世界は途中まで前世の歴史を踏襲しているらしい。野球を存在させるために。
 すなお先生の言う世界大戦というのは、前世で言う第1次世界大戦のことだ。
 しかし、彼女が言った通り。その後は世界の覇権は勿論のこと、ちょっとした国家間のいざこざも野球で決着をつけるように意識を改変された。
 そのため、第2次世界大戦は起きていない。
 だから、第1次世界大戦ではなく、単なる世界大戦と呼ばれている。

「多くの犠牲者が出て、ようやく人々は戦争の愚かさを知り、野球という人類の英知の結晶で争いごとを収めるようになった訳ですね」

 まあ、前世の価値観を残す俺からすると違和感が凄いけど……。
 全ては神の強制力のせいだ。
 コ〇コ〇コミックとかで、玩具が世界に対して意味不明な程の影響力を持ってたりするのと似たようなもんだろう。

 ちなみに第1次世界大戦は前世よりも早い段階で終戦を迎えたのだが、この時に神の強制力によって国境線は21世紀仕様で引き直されたようだ。
 歴史の積み重ねもなく、段階を踏むこともなく突然そうなったことで起こった混乱もあったらしいが、それはまた別の話だ。
 いずれにしても、全て野球で解決したとだけ言っておこう。

 ……おっとチャイムだ。
 生活の時間は終わりだな。
 次は――。

「さて、次の時間は体育です。
 皆さん、体操着に着替えてグラウンドに行きましょう」
「「「はーい!」」」

 着替えは男女別。
 男子は体操着を持って空き教室で着替えてくる。
 まだ授業が始まって数日だが、もう慣れたものだ。
 と言うのも、前世よりも明らかに体育の回数が多いからだ。
 野球の重要性が高過ぎるせいで、教育の指針も前世とは別ものなのだろう。

「今日からはティーボールをするための練習をします。1人1個グローブを取っていって下さい」

 グラウンドに芋っぽいジャージ姿で現れたすなお先生は、グローブが乱雑に入った籠を運んできていた。
 1年生用と書かれたラベルが見える。
 体育用の備品のようで、ちょっとボロい。
 横に置かれた箱の中に収められたボールも何だか汚れている。

「では、キャッチボールをしてみましょう」

 む。まさか2人組を作れとか言い出すのか?
 まあ、今の俺にはあーちゃんがいるけど……。
 このクラスの人数は29人。
 奇数だから、下手をすると誰かが泣くことになりかねないぞ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スコップ1つで異世界征服

葦元狐雪
ファンタジー
超健康生活を送っているニートの戸賀勇希の元へ、ある日突然赤い手紙が届く。 その中には、誰も知らないゲームが記録されている謎のUSBメモリ。 怪しいと思いながらも、戸賀勇希は夢中でそのゲームをクリアするが、何者かの手によってPCの中に引き込まれてしまい...... ※グロテスクにチェックを入れるのを忘れていました。申し訳ありません。 ※クズな主人公が試行錯誤しながら現状を打開していく成長もののストーリーです。 ※ヒロインが死ぬ? 大丈夫、死にません。 ※矛盾点などがないよう配慮しているつもりですが、もしありましたら申し訳ございません。すぐに修正いたします。

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

処理中です...