ロリコン村の転生英雄~少女化した魔物達の最強ハーレムで世界救済~

青空顎門

文字の大きさ
396 / 396
最終章 英雄の燔祭と最後の救世

349 幸福な未来のプロローグ

しおりを挟む
「それにしても、あれから早二十年、か。光陰矢の如しとはよく言ったものだ。よもや、ここまで順調に来るとは思わなかった」

 ヒメ様の御所から転移で学園都市トコハに戻り、歩いて帰り道を行く途中。
 リクルの力で俺の体に同化している【ガラテア】がポツリと呟いた。
 最終決戦でヒメ様に複合発露エクスコンプレックスで影を取り払われて以降、同様の干渉を受ける可能性を考慮して、もうずっと影に入る形では彼女達を同行させていない。
 あの時のような状況でさえなければリクルをわざわざ別動隊として残す必要もないので、すっかりこのスタイルが定番だ。
 ……それはともかくとして――。

「気に入らないところでもあるのですか?」

【ガラテア】の発言に対し、同じく同化中のイリュファが険のある声で問うた。
 勿論、彼女も相手が家族の仇とは別の存在であることは重々承知しているし、二十年経って【ガラテア】がいる状況に慣れもしたはずではある。
 しかし、依然として当たりが強いままだ。
 とは言え、決定的に敵対しているという訳ではない。
 単純に、俺を挟み込んで逆の位置に立っているだけという感じだ。
 距離感自体は近い。それが二人にとって収まりのいい関係なのだろう。

「まさか。前にも言ったはずだろう? 私はイサクの味方だと」
「【ガラテア】は胡散臭い。皮肉に聞こえる」
「ふっ、あの弱々しかったテアが言うようになったものだな。しかし、私は純粋に称賛しているだけだ。一片たりとも他意などないさ」
「……言葉に重みがない」

 仰々しく告げた【ガラテア】に、呆れたようにテアが嘆息気味に切り捨てる。
 昔は幼子のようだった彼女も二十年の月日で随分と成長した。
 今では一人前の女の子だ。分類としては素直クール系だろうか。
 そんな益体もないことを考えていると、他の子達も次々と口を開く。

「テアの言う通り、何か別の意図があるように感じるのよね」
「別の意図どころか、二心あるようにしか聞こえませぬな」
「日頃の言動が悪過ぎるのです」
「いやいや、それは穿った見方をしているからだ。フェリト、アスカ、リクル」

 三人の口撃を受けながら【ガラテア】は楽しそうに応じる。
 仲がいいようには聞こえないが、気の置けない関係であることは間違いない。

「私はこんなにもイサクを愛しているというのに、酷いではないか」
「そうだよ、皆。【ガラテア】ちゃんはいい子だよ?」
「ありがとう、サユキ。私の味方をしてくれるのは君だけだな」
「サユキはイサク様に対して好意があれば基本受け入れますからね。その精度が確かなので、私達も貴方が裏切ることはないと理解はしていますが……」

 サユキに受け入れられたことで信用を得た内の一人であるテレサさんが、疲れ気味に言う。常識人枠に入ってしまった彼女は、これからも色々と苦労しそうだ。
 ヒメ様達の下にいた時より、周りの色物度合いが強いせいで。

「でも、【ガラテア】さんは言葉が足りないと思います!」
「うん。まあ……実際のところ。この身が続く限り、イサクと共にこの世界が定めた道に抗い続けるつもりだ。叛意があるように聞こえてしまうのは、私個人としては結果がどちらに転んでも楽しめるからというだけの話だろう」

 間を取り持つように告げたルトアさんの言葉を受け、【ガラテア】は秘密を明かすように演劇めいた口調で告げると更に続けた。

「宿敵たる私が全力で味方しているにもかかわらず失敗に終わり、悔いるイサクを見るのも一興。しかし、【ガラテア】を運命の操り人形にし続けた忌々しいこの世界、かつての観測者共を嘲笑い続けるのもまた至上の喜びと言える」

 こういうことを普段から口にしているのが周囲の不信感を煽る原因なのだが、よく聞けば足を引っ張るような真似は絶対にしないと宣言しているのが分かる。
 それどころか、危機があれば進んで手助けしてくれることだろう。
 サユキのセンサーがなくても、俺はそんな彼女を信じている。
 あの日の夢の世界で味方となってくれた時から。

「そんなことより早く帰ろう?」
「折角のイサク兄様の誕生日会に遅れてしまいます」

 と、ターナとロナがもう飽きたと主張するように急かしてきて、俺は「分かった分かった」と苦笑気味に応じた。
 街並みをちょっとだけ眺めて、後はすぐに会場である自宅に向かうつもりだったが、確かに【ガラテア】の話で意外と時間を食ってしまった。少し急ごう。
 二十年の年月を経て、しっかり二次性徴を迎えた大人の体。
 軽く駆ければ、すぐ目的地に到着し……。
 トリリス様達にホウゲツ学園の近くに建てて貰った大きな屋敷が視界に映った。
 入口に立つ、愛すべき両親と名実共に伴侶となったレンリの姿も。

「遅いぞ、イサク。主役が遅刻してどうする」
「ごめん、母さん。ヒメ様のところに行ってたから」
「……はあ。お前はもう少しロト達を信用してやれ」
「うん。ヒメ様にも似たようなことを言われたよ」

 二人に窘められ、それ以上小言が続かないように反省の表情と共に返す。
 そんな俺の意をくんでか。

「御義母様、御義父様。料理が冷めてしまいます」

 会場の準備をしてくれていたレンリが横から続いた。
 それを受け、母さんは俺達を見て軽く溜息をついてから顔を上げて口を開く。
 意図はバレバレのようだが、流してくれるようだ。

「まあ、そうじゃな。折角ロトのおかげでこうして皆、集まれたのじゃから一分一秒でも早く、長く楽しまなければ」

 そして母さんは父さんと共に家に入っていき、その後に俺達も続く。
 腕を取って隣に寄り添うレンリに促され、大広間の上座の方に導かれる。
 そこで同化している彼女達が一旦離れ、一気に人口密度が高まった。
 これだけの人が俺の誕生日を祝ってくれる訳だ。
 改めて集まった面々を見渡すと、皆一様に笑顔を浮かべている。
 両親は勿論、弟のセトと、彼と結婚して義理の妹となったラクラちゃん。
 アロン兄さんにダンとトバル。
 特別労役を終えて俺達のサポートをしてくれているライムさん。
 各々のパートナーたる少女化魔物ロリータ達も。
 そんな中、代表するように母さんが巨大なホールケーキを俺の前に運んできた。

「さて、イサクよ」

 均等に配置されたロウソクに自身の力で火をつけた母さんは、改まったように一つ咳払いして僅かに頬を紅潮させながら言った。

「今日はお前の誕生日じゃが、じゃからこそ言わせて欲しい」

 少し恥ずかしそうな様子から、本心を口にしようとしていることが分かる。

「妾の子に生まれてきてくれて、ありがとう。お前のような孝行息子を持つことができて、妾は幸せ者じゃ。これからも、健やかに生きてくれ」

 だからこそ、その言葉を耳にして俺は思わず目が潤んでしまった。
 親孝行を人生の目標と定め、生きてきた一つの結果。
 これ程幸福なこともない。
 俺もこの世界に、母さんの子に生まれてきてよかった。
 自然と表情が和らぐ。

「さあ、イサク。火を消すのじゃ」

 よき日に涙は似合わないと笑顔で頷いてから、もう一度皆を見る。
 母さんと父さんが笑っている。イリュファ達も。
 セトも、アロン兄さんも。ここにいる誰もが。
 だから俺は、この瞬間を噛み締めるようにその光景を目に焼きつけてから。
 これからも孝行息子であることと、大切な人々がいるこの世界を守り続けることを心に誓うと共に、皆の幸せを願ってロウソクの火を吹き消したのだった。





「…………しかし、ようやく世界の情勢も見通しが立ってきたことじゃし、そろそろ孫の顔が見たいものじゃな」

 ポツリと呟く母さん。
 親孝行は果てがない。
 けれど、それもまた幸福というものだろう。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
 異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。  億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。  彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。  四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?  道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!  気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?    ※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

異世界亜人熟女ハーレム製作者

†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です 【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

処理中です...