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第6章 終末を告げる音と最後のピース
292 雉も鳴かずば
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「フェリト、サユキ、アスカ。起きがけで悪いけど、もう一度狂化隷属の矢を使ってくれ! フェリトは循環共鳴も頼む!」
「え? あ、う、うん。分かった、わ」
「うぅ、はーい……」
「承知……致しまして、ございまする」
間違いなく状況を正確には把握できていないだろうに、俺の要請に対して特に説明を求めることも、文句を言うこともせず、即座に従ってくれる三人。
改めて強い信頼を感じると共に、敵の力に関する推測が確信に変わる。
やはり彼女達は〈響く音色は本性を暴き立てる〉の干渉に耐えることができるようだ。イリュファよりも影響が軽微なのは暴走の経験の多さ故か。
あるいは、敵視している存在が周囲にいないことも一つの要因かもしれない。
「準備、できたよ」
それでも影響が皆無ではないのは、声の端々に感じられる不快さから分かる。
負担を少しでも軽くするためにも、可能な限り早く終わらせる必要がある。
俺の中に渦巻く負の感情も徐々に大きくなってきていて、そのせいか極めて暴力的な気持ちも強くなってきているしな。
まだそうやって自分を客観視できるだけマシだが、割と危険な兆候だ。
「……じゃあ、まずはレンリからだ」
だから、俺は一つ息を吐いて意識的に己の昂りを鎮めようとしながら、頭の中で攻略の順序を整理し、それから改めて彼女と向き直った。
「ああああああっ! 【ガラテア】アアアアアアッ!!」
そのレンリは、未だに【ガラテア】の名を叫びながら攻撃を仕かけてきていた。
しかし、その責め方は乱雑で単調。
もはや子供が癇癪を起して暴れているようにしか見えない。
強大な力もこれでは宝の持ち腐れだ。
あのレンリが、と思うと正直、哀れみの感情を抱かざるを得ない。
彼女自身も俺にそんな姿を見られるのは本意ではないだろう。
これ以上、黒歴史を増やさないためにも、早く解放してあげなければ。
「レンリ……今、助けるからな」
加えて、状況を打開するために想定した手順としても。
次の一手が何であれ、第一に彼女を無力化しておかなければならない。
それがレンリ自身の安全にも繋がるのだから。
「アアアアアアアアアアッ!!」
絶叫する彼女の体は三大特異思念集積体が一体、リヴァイアサンの少女化魔物たるラハさんとの真・複合発露〈制海神龍・轟渦〉による身体強化で守られている。
アクエリアル帝国の国宝、第六位階の祈望之器アガートラムによる上乗せもあるが、それによって真・暴走・複合発露の域まで強化されることはない。
対するは、一般的な少女化魔物であるサユキの〈万有凍結・封緘〉。
如何に救世の転生者たる俺が使用したとしても、それだけでは三大特異思念集積体には及ばない。
しかし、狂化隷属の矢によって真・暴走・複合発露に至っており、フェリトとの循環共鳴の効果で更に強化されている。
まだ最大威力ではないが、レンリを氷漬けにすることは十分に可能だ。
「……今は、休め」
「【ガラテア】アアア――」
だから俺は、そう労わるように告げながら彼女を一切の躊躇なく凍結させた。
時間をかけるのは事態解決のためにも、レンリのためにもならない。
そして、凍結が破られる予兆がないことを確認してから、彼女を内包した氷の塊を一先ず影の中に入れておく。
「よし。次は……」
そうしながら俺は、同じく真・暴走・複合発露となり、循環共鳴を以って強化された三大特異思念集積体ジズの少女化魔物たるアスカの〈支天神鳥・煌翼〉の力を全て解放して風を超広域に展開させた。
喇叭の人形化魔物【終末を告げる音】に対処するために。
未だ脳内で鳴り響く喇叭の、急き立てるような不快なメロディ。
これは無意識領域から聞こえてくる部分もあるが、この戦場に実際に音として響き渡っているものでもある。
広域に届くように増幅されているにせよ、物理的に。
ならば、無音結界を解除した上で十二分に強化された状態の〈支天神鳥・煌翼〉を使用すれば、正にその音から逆探知をかけて居場所を探ることも可能だ。
……俺にかの力への耐性があると分かっていたなら、最初からそうしていれば話は早かった訳だが、生憎とそれを見通せる目は持ち合わせていない。
その時々における最善を模索し続ける以外にない。
そして――。
「そっちかっ!!」
まず方向が定まり、俺はテアをしっかりと体に固定しながら〈裂雲雷鳥・不羈〉を以って全速力で一直線に空を翔けた。
時間にして数秒。
その間に対象との距離が縮まり、ハッキリと位置が分かる。
こいつを先に始末しなくては、他が解決したとしてもしこりが残る。
と言うか、不愉快な干渉を受けたまま普段通り生活することなどできない。
逃亡されない内に、この場で確実に討つ必要がある。
「見えたっ!」
更に数瞬の後、強化された視覚に移ったのは、金属の管を捻じ曲げて人の形をなしたものの頭部に巨大な喇叭がくっついたような奇怪な存在の姿。
よくよく見ると、背中には骨組みだけの羽のようなものが見て取れる。
元ネタを考えると、あるいは天使を模してもいるのかもしれない。
何にせよ、あれこそ喇叭の人形化魔物【終末を告げる音】と見て間違いない。
「悪趣味な遊びは終わりだっ!」
その存在が雷速で接近する俺の存在に気づいた時には、もはや手遅れ。
こちらの射程圏内に入った段階で間髪容れずに俺が放った風の刃が、問答無用で金管の集合体の如き対象を縦横斜めに断ち切っていく。
三大特異思念集積体の真・暴走・複合発露に共鳴循環による強化を加え、救世の転生者が使用した攻撃だ。
それを防ぐことのできる者は、この世にそういないだろう。
勿論その威力故に、おいそれと使うことはできないが。
『な、何故……私の力が効かない』
と、一瞬遅れて喇叭の名残りのあるパーツの前に降り立った俺に、【終末を告げる音】がバラバラの状態でそう愕然と問うてくる。
発声器官があったとしても切り裂かれているはずだから、滅尽・複合発露の力を応用して無意識領域からテレパシーのように意思を伝えてきたのだろう。
「…………別に効いてない訳じゃない。耐えただけだ」
一瞬、倒し切れていないのか、と警戒しながら冷淡に応じる。
『馬鹿、な。只の人間に、そのようなことが、できるはずが……』
対して【終末を告げる音】は、呆然としたように言葉を発したのを最後に赤黒いヘドロのようになって消えていった。
人形化魔物が滅ぶ際の現象。無事、討伐完了したようだ。
呆気ない幕切れにも程があるが、この人形化魔物は戦闘タイプのそれではない。
救世の転生者に目をつけられ、その所在が明らかになってしまった時点で敗北の結末以外が訪れることなどなかった。
……正直に言えば、俺も二言三言罵倒しながら嬲ってやりたい程度には〈響く音色は本性を暴き立てる〉によって破壊衝動が胸の中に渦巻いている。
だが、この場でそんな非合理的な真似はしていられないし――。
「あ……っと」
かの人形化魔物が完全に消滅した今、その力の影響も霧散し、何にそんなに苛立っていたのか分からないぐらい気分がスッキリしてしまった。
そうなった後では尚一層のこと、正しい判断だったと胸を張って言える。
人々を争いに駆り立てて高みの見物を決め込むタチの悪い存在。
一々対話したところで、人形化魔物は元々は人間の破滅欲求や悪意がどうのこうのと屁理屈を並び立てるだけだろうから、問答の余地はない。
そこまで大層な因縁も別にない。
ハッキリ言って、俺の仕事の邪魔をしてきた方が悪いとしか言いようがない。
雉も鳴かずば撃たれまい、という奴だ。
「さて。最後は、お前だ。オルギス」
妙な自己弁護をしながらも速やかに最後に残った問題の元へと戻り、口を開く。
彼は既に、フェニックスの少女化魔物の時よりも更に肥大化してしまっていた。
同時にその身に宿している身体強化のおかげで、彼女より許容値が高いのだ。
しかし、いずれにしても、その大きさは短くない時間の経過を示している。
アクエリアル帝国の者達はまだ猶予がありそうだが、最初に巻き込まれた者達はもう限界だろう。猶予はそう残されていないと見るべきだ。
……もっとも――。
「だ、だずげでぐれ」
既に〈響く音色は本性を暴き立てる〉の効果が消え、精神状態が元に戻ったオルギスに戦意はない。彼は恐怖に彩られた声で助けを乞うのみだ。
他の肉塊と化した者達についてもそう。
【終末を告げる音】を討った時点で、この最後の問題は解決したも同然だ。
と言うか、その横槍さえなければ、そもそもフェリト達の目覚めを待っているだけで済んだ話だったのだから。
「お前が死ねば、何人かの少女化魔物に命の危険が及ぶ。お前が助かるのは彼女達の存在のおかげだ。精々感謝することだな」
「あ゛、あ゛あ゛……」
一時のことかもしれないが、俺の戒めに頷くオルギス。
その姿に僅かながら留飲を下げ、それから俺はフェニックスの少女化魔物の時と同様に、アスカと共に彼に取り込まれた者達を選り分け始めた。
そうして十分な循環共鳴によって最大限に強化された〈万有凍結・封緘〉でそれぞれ氷漬けにしていく。
仕上げに、再生して王都バーンデイトを覆ったフェニックスの少女化魔物よりも肥大化していたオルギスの全身を凍結し尽くし……。
その巨躯よりも一回り以上大きな氷塊は重力に引かれて落下し、轟音と共に地面を抉った。それを以って地上に動くものがなくなる。
「ふぅ……」
俺はその事実を確認し、今度こそ一息ついた。
クピドの金の矢の回収や隷属の矢によって真性少女契約させられた少女化魔物達の今後についてなど、まだまだ問題は山積している。
しかし一先ず、妹誕生から始まった一連の事件は、こうしてフレギウス王国各地に多量の巨大な氷塊を残す形で一区切りとなったのだった。
「え? あ、う、うん。分かった、わ」
「うぅ、はーい……」
「承知……致しまして、ございまする」
間違いなく状況を正確には把握できていないだろうに、俺の要請に対して特に説明を求めることも、文句を言うこともせず、即座に従ってくれる三人。
改めて強い信頼を感じると共に、敵の力に関する推測が確信に変わる。
やはり彼女達は〈響く音色は本性を暴き立てる〉の干渉に耐えることができるようだ。イリュファよりも影響が軽微なのは暴走の経験の多さ故か。
あるいは、敵視している存在が周囲にいないことも一つの要因かもしれない。
「準備、できたよ」
それでも影響が皆無ではないのは、声の端々に感じられる不快さから分かる。
負担を少しでも軽くするためにも、可能な限り早く終わらせる必要がある。
俺の中に渦巻く負の感情も徐々に大きくなってきていて、そのせいか極めて暴力的な気持ちも強くなってきているしな。
まだそうやって自分を客観視できるだけマシだが、割と危険な兆候だ。
「……じゃあ、まずはレンリからだ」
だから、俺は一つ息を吐いて意識的に己の昂りを鎮めようとしながら、頭の中で攻略の順序を整理し、それから改めて彼女と向き直った。
「ああああああっ! 【ガラテア】アアアアアアッ!!」
そのレンリは、未だに【ガラテア】の名を叫びながら攻撃を仕かけてきていた。
しかし、その責め方は乱雑で単調。
もはや子供が癇癪を起して暴れているようにしか見えない。
強大な力もこれでは宝の持ち腐れだ。
あのレンリが、と思うと正直、哀れみの感情を抱かざるを得ない。
彼女自身も俺にそんな姿を見られるのは本意ではないだろう。
これ以上、黒歴史を増やさないためにも、早く解放してあげなければ。
「レンリ……今、助けるからな」
加えて、状況を打開するために想定した手順としても。
次の一手が何であれ、第一に彼女を無力化しておかなければならない。
それがレンリ自身の安全にも繋がるのだから。
「アアアアアアアアアアッ!!」
絶叫する彼女の体は三大特異思念集積体が一体、リヴァイアサンの少女化魔物たるラハさんとの真・複合発露〈制海神龍・轟渦〉による身体強化で守られている。
アクエリアル帝国の国宝、第六位階の祈望之器アガートラムによる上乗せもあるが、それによって真・暴走・複合発露の域まで強化されることはない。
対するは、一般的な少女化魔物であるサユキの〈万有凍結・封緘〉。
如何に救世の転生者たる俺が使用したとしても、それだけでは三大特異思念集積体には及ばない。
しかし、狂化隷属の矢によって真・暴走・複合発露に至っており、フェリトとの循環共鳴の効果で更に強化されている。
まだ最大威力ではないが、レンリを氷漬けにすることは十分に可能だ。
「……今は、休め」
「【ガラテア】アアア――」
だから俺は、そう労わるように告げながら彼女を一切の躊躇なく凍結させた。
時間をかけるのは事態解決のためにも、レンリのためにもならない。
そして、凍結が破られる予兆がないことを確認してから、彼女を内包した氷の塊を一先ず影の中に入れておく。
「よし。次は……」
そうしながら俺は、同じく真・暴走・複合発露となり、循環共鳴を以って強化された三大特異思念集積体ジズの少女化魔物たるアスカの〈支天神鳥・煌翼〉の力を全て解放して風を超広域に展開させた。
喇叭の人形化魔物【終末を告げる音】に対処するために。
未だ脳内で鳴り響く喇叭の、急き立てるような不快なメロディ。
これは無意識領域から聞こえてくる部分もあるが、この戦場に実際に音として響き渡っているものでもある。
広域に届くように増幅されているにせよ、物理的に。
ならば、無音結界を解除した上で十二分に強化された状態の〈支天神鳥・煌翼〉を使用すれば、正にその音から逆探知をかけて居場所を探ることも可能だ。
……俺にかの力への耐性があると分かっていたなら、最初からそうしていれば話は早かった訳だが、生憎とそれを見通せる目は持ち合わせていない。
その時々における最善を模索し続ける以外にない。
そして――。
「そっちかっ!!」
まず方向が定まり、俺はテアをしっかりと体に固定しながら〈裂雲雷鳥・不羈〉を以って全速力で一直線に空を翔けた。
時間にして数秒。
その間に対象との距離が縮まり、ハッキリと位置が分かる。
こいつを先に始末しなくては、他が解決したとしてもしこりが残る。
と言うか、不愉快な干渉を受けたまま普段通り生活することなどできない。
逃亡されない内に、この場で確実に討つ必要がある。
「見えたっ!」
更に数瞬の後、強化された視覚に移ったのは、金属の管を捻じ曲げて人の形をなしたものの頭部に巨大な喇叭がくっついたような奇怪な存在の姿。
よくよく見ると、背中には骨組みだけの羽のようなものが見て取れる。
元ネタを考えると、あるいは天使を模してもいるのかもしれない。
何にせよ、あれこそ喇叭の人形化魔物【終末を告げる音】と見て間違いない。
「悪趣味な遊びは終わりだっ!」
その存在が雷速で接近する俺の存在に気づいた時には、もはや手遅れ。
こちらの射程圏内に入った段階で間髪容れずに俺が放った風の刃が、問答無用で金管の集合体の如き対象を縦横斜めに断ち切っていく。
三大特異思念集積体の真・暴走・複合発露に共鳴循環による強化を加え、救世の転生者が使用した攻撃だ。
それを防ぐことのできる者は、この世にそういないだろう。
勿論その威力故に、おいそれと使うことはできないが。
『な、何故……私の力が効かない』
と、一瞬遅れて喇叭の名残りのあるパーツの前に降り立った俺に、【終末を告げる音】がバラバラの状態でそう愕然と問うてくる。
発声器官があったとしても切り裂かれているはずだから、滅尽・複合発露の力を応用して無意識領域からテレパシーのように意思を伝えてきたのだろう。
「…………別に効いてない訳じゃない。耐えただけだ」
一瞬、倒し切れていないのか、と警戒しながら冷淡に応じる。
『馬鹿、な。只の人間に、そのようなことが、できるはずが……』
対して【終末を告げる音】は、呆然としたように言葉を発したのを最後に赤黒いヘドロのようになって消えていった。
人形化魔物が滅ぶ際の現象。無事、討伐完了したようだ。
呆気ない幕切れにも程があるが、この人形化魔物は戦闘タイプのそれではない。
救世の転生者に目をつけられ、その所在が明らかになってしまった時点で敗北の結末以外が訪れることなどなかった。
……正直に言えば、俺も二言三言罵倒しながら嬲ってやりたい程度には〈響く音色は本性を暴き立てる〉によって破壊衝動が胸の中に渦巻いている。
だが、この場でそんな非合理的な真似はしていられないし――。
「あ……っと」
かの人形化魔物が完全に消滅した今、その力の影響も霧散し、何にそんなに苛立っていたのか分からないぐらい気分がスッキリしてしまった。
そうなった後では尚一層のこと、正しい判断だったと胸を張って言える。
人々を争いに駆り立てて高みの見物を決め込むタチの悪い存在。
一々対話したところで、人形化魔物は元々は人間の破滅欲求や悪意がどうのこうのと屁理屈を並び立てるだけだろうから、問答の余地はない。
そこまで大層な因縁も別にない。
ハッキリ言って、俺の仕事の邪魔をしてきた方が悪いとしか言いようがない。
雉も鳴かずば撃たれまい、という奴だ。
「さて。最後は、お前だ。オルギス」
妙な自己弁護をしながらも速やかに最後に残った問題の元へと戻り、口を開く。
彼は既に、フェニックスの少女化魔物の時よりも更に肥大化してしまっていた。
同時にその身に宿している身体強化のおかげで、彼女より許容値が高いのだ。
しかし、いずれにしても、その大きさは短くない時間の経過を示している。
アクエリアル帝国の者達はまだ猶予がありそうだが、最初に巻き込まれた者達はもう限界だろう。猶予はそう残されていないと見るべきだ。
……もっとも――。
「だ、だずげでぐれ」
既に〈響く音色は本性を暴き立てる〉の効果が消え、精神状態が元に戻ったオルギスに戦意はない。彼は恐怖に彩られた声で助けを乞うのみだ。
他の肉塊と化した者達についてもそう。
【終末を告げる音】を討った時点で、この最後の問題は解決したも同然だ。
と言うか、その横槍さえなければ、そもそもフェリト達の目覚めを待っているだけで済んだ話だったのだから。
「お前が死ねば、何人かの少女化魔物に命の危険が及ぶ。お前が助かるのは彼女達の存在のおかげだ。精々感謝することだな」
「あ゛、あ゛あ゛……」
一時のことかもしれないが、俺の戒めに頷くオルギス。
その姿に僅かながら留飲を下げ、それから俺はフェニックスの少女化魔物の時と同様に、アスカと共に彼に取り込まれた者達を選り分け始めた。
そうして十分な循環共鳴によって最大限に強化された〈万有凍結・封緘〉でそれぞれ氷漬けにしていく。
仕上げに、再生して王都バーンデイトを覆ったフェニックスの少女化魔物よりも肥大化していたオルギスの全身を凍結し尽くし……。
その巨躯よりも一回り以上大きな氷塊は重力に引かれて落下し、轟音と共に地面を抉った。それを以って地上に動くものがなくなる。
「ふぅ……」
俺はその事実を確認し、今度こそ一息ついた。
クピドの金の矢の回収や隷属の矢によって真性少女契約させられた少女化魔物達の今後についてなど、まだまだ問題は山積している。
しかし一先ず、妹誕生から始まった一連の事件は、こうしてフレギウス王国各地に多量の巨大な氷塊を残す形で一区切りとなったのだった。
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