ロリコン村の転生英雄~少女化した魔物達の最強ハーレムで世界救済~

青空顎門

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第3章 絡み合う道

154 束の間の休息

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 掟に従ってホウゲツ学園へと通うことになった弟のセト達と共に四月にヨスキ村を出て、学園都市トコハに来てから一ヶ月と少し。
 ホウゲツ学園の嘱託補導員となって暴走する少女化魔物ロリータ達を鎮静化する仕事を始めたり、弟の同級生の乱心を収めたり、その裏で暗躍していた兄の友人の勘違いを正したり、他国に出張したり、ゾンビパニックが世界に広がることを防いだり。
 正直、ヨスキ村にいた時とは比べものにならない密度の日々を過ごしてきたが、どうやら一段落着いたらしく、ここ数日は穏やかな生活を送ることができていた。
 穏やか過ぎて、補導員としての仕事も全くないぐらいだ。
 とは言え、それは俺や俺の影の中にいる子達ぐらいのもので――。

「はあ……やっと終わった」

 弟分のダンが、疲れ果てたように嘆息する。
 学生達は全く以って暇ではなく、弟達は今日まで中間試験を受けていた。
 初めての試験ということでテスト勉強を頑張ったらしく、一様に疲労の色が濃い。

「お疲れ様。今日は好きなだけ、好きなものを食べていいからな」
「やった!」

 現在。俺はそんな彼らとホウゲツ学園近くにある焼肉屋の座敷席にいた。
 以前、形としては上司に当たる学園長のトリリス様に奢って貰った店だ。
 中間試験を乗り越えた打ち上げとして、彼らを連れてきた訳だ。
 勿論と言うべきか、セト達と仲よくしてくれているラクラちゃんもいる。
 最凶の人形化魔物ピグマリオンガラテアの肉体とされるテアを外に出す訳にはいかず、また、一人にするのも忍びないとイリュファ達は影の中から出てきていないが。

「そう言えば、試験が終わったら次にあるのはホウシュン祭、だったか?」

 一通り注文を終え、一段落したところで問う。
 すると――。

「はい。今年の開催日は五月三十日と三十一日だそうですよ。二週間切ってますね」

 折角試験が終わったのに何故か微妙な表情をしていたラクラちゃんが、切り替えるように顔を上げて愛想をよくしながら口を開いた。

 ホウシュン祭というのは、前世で言う学園祭のような行事だ。
 この系統の行事は年に二度開催され、春に行われるものがホウシュン祭、秋に行われるものがシュウゲツ祭と呼ばれるらしい。
 前世の学園祭と同様に生徒も催しものを行ったりするそうだが、ホウシュン祭に限っては一年生は純粋に客として参加するのみだとトリリス様から聞いている。
 目玉は、学園で教育を受けている少女化魔物達による複合発露エクスコンプレックスのパフォーマンス。
 彼女達の就職活動も兼ねているロリータコンテストとのことだ。

「楽しみだな」
「ボクもです」

 俺の言葉に応じ、また小さな笑みと共に言うラクラちゃん。
 多分、彼女はお祭り的な部分に期待しているのだろう。
 俺の興味は勿論、人外ロリのパフォーマンスの方だ。

「お待たせしました」

 そんな風に心の内は微妙に食い違わせながらラクラちゃんと話をしていると、大量の肉が運ばれてきて焼肉テーブルの上が隙間なく埋め尽くされた。

「よし。焼け焼け」
「「「うん!」」」

 店員が下がると、セト達は待っていましたとばかりに一心不乱に焼き始める。
 俺とラクラちゃんの会話に参加してこなかったのは、空腹と店内に漂っていた香ばしい匂いに意識を完全に奪われていたからのようだ。

「「「いただきます!」」」

 そして自分の前の肉達がいい頃合いになったところで手を合わせてそう言うと、三人は身体強化全開の素早い動きで貪るように食べ始めた。
 少々行儀は悪いが、こうも夢中になってくれると連れてきた甲斐があるというものだ。
 試験の後も自主的な鍛錬を行っていたようなので、激しく動いた分だけ本能的にカロリーを補給しようとしているのだろう。

「ほら、ラクラちゃんも」
「あ、はい。えっと、いただきます」

 まだ声色には微妙に躊躇が残っているが、俺に促されて彼女もまた自分で肉を焼いて幼い女の子らしい小さな口へと運び始める。
 あくまでも俺が好きでやっていることだから遠慮は無用だが、口にはしないでおく。
 これぐらいが丁度いいバランスだろう。
 遠慮するなと余りにも言い過ぎて罷り間違って過度に厚かましい方に振れてしまったりしては、将来の彼女が困ることになりかねないし。

「おいしい……」

 そのラクラちゃんは、セト達と比べると大分遅いペースで箸を動かしながら、驚愕で目を見開きながら感嘆の言葉を口にした。
 少しずつペースも速くなっていっている。
 いっぱい食べて、いっぱい勉強して運動して、いい大人になって欲しいものだ。

「ところで……最近、学園はどうだ?」
「中間試験はどうだった、じゃなくて?」
「そこは別に心配していないからな。問題なんてなかっただろう?」

 中間試験直後というタイミング的にそこを尋ねられるとトバルは思ったようだが、ヨスキ村の英才教育を受けたセト達だ。
 ケアレスミスさえなければ、優秀な成績を収めているに決まっている。
 ヨスキ村出身でなくとも、入学試験の結果しっかりA組に選ばれた上、ちょくちょく弟達の鍛錬にも参加しているラクラちゃんにしてもそうだ。
 一年生の、それも最初の中間試験など屁でもないだろう。

「うーん……」

 しかし、トバルは余り芳しくないような声を出す。

「何だ。焦って失敗でもしたのか?」

 そんな彼の様子に、半ばケアレスミスと決めてかかりながら尋ねる。
 初めての試験だった訳だし、こればかりは多少は仕方がない。
 今度から気をつければいいだけの話だが……。

「えっと」

 中途半端な反応を見る限り、どうやら別に理由がありそうだ。

「そういう訳じゃないんだけど、拍子抜けしたと言うか……」
「正直、簡単過ぎてさ」
「学園の試験ってあんなものなのかなって」
「ボクも実技とかは特に、セト君達との鍛錬の方がきついぐらいでした」

 一人ずつ順に言う四人に「ああ」と納得する。
 ヨスキ村の常識は世界の非常識という奴か。
 セト達も直面してしまったらしい。

「まあ、一般的なところは多分そんなもんなんじゃないか?」
「そうなのかな?」
「皆、ホウゲツ学園に入学するために祈念魔法を使う練習ぐらいはしてきたかもしれないけど、祈念魔法で戦う訓練をしてきた子は一握りだろうしな」

 複合発露まで使った戦闘訓練ともなれば、セト達ぐらいのものだろう。
 少なくとも一年生の段階では、天と地程の差があって然るべきだ。

「けど、そこで慢心すると他の子達に追い抜かれてしまうから、努力し続けないとな」
「そんな、慢心なんてできる訳ないよ……」

 俺をジッと見詰めるセト。ダンやトバルの目もこちらに向いている。
 ……まあ、それはそうか。
 一先ず俺のことは棚に上げておくにしても、父さんや母さん、ヨスキ村の近所のおじさん達を見ていれば、自分達がどれだけ未熟かはすぐに分かる。
 セト達はその辺りを理解できない程、愚かではない。
 逆に、物分かりがよ過ぎて度々卑屈になってしまうぐらいだ。

「もっと色々勉強しないと駄目なんじゃないかって……」

 授業のレベルが低過ぎて、目標が遠ざかるのではないかと不安になっているようだ。
 一年生の一学期。それも一ヶ月と少しでの授業内容など高が知れているはずだが。

「まあ、先へ先へと予習することを否定するつもりはないけどな。一旦立ち止まって、同い年ぐらいの普通を知るってのも悪くはないと思うぞ。もっと周りに目を向けろって前に言っただろ? どんなものであれ、気づきがあれば学びになるんだから」
「気づき……学び……」

 俺の言葉を受け、食事の手を止めて考え込むセト達。
 折角の中間試験の打ち上げなのに、また説教臭くなってしまったな。
 話題を変えよう。

「そう言えば、トリリス様から聞いたけど一年A組に転校生が加わるらしいな。クラスで噂になってるんじゃないか?」
「……いえ」

 わざと軽い口調で言った俺に、まだ聞いていないことを簡潔に示すラクラちゃん。
 微妙な空気を変えることに失敗してしまったようだ。
 ちょっと、と言うか、大分、話が飛び過ぎたかもしれないな。
 もう少し関連性のある話を選んで、矛先を変える感じで再トライしよう。

「そうだ、皆。明日からの試験休み、暇か?」
「いつも通り、皆で鍛錬しようかと思ってたけど……」

 俺の問いにセトが答え、それに残る三人が頷いて肯定する。

「何で?」

 それから彼ら四人は、意図が分からないという風に疑問の色を表情に滲ませた。
 少し前。視野を広げるようにと告げた時に頭の中で考えていたことだ。
 先達として、思い悩む後進には様々な道を示してやらねばならない。
 そういう訳で――。

「じゃあ、一緒に社会科見学にでも行こうか」

 俺は端的に自身の心積もりを表すと共に、少々強引に約束を取りつけたのだった。
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