召還社畜と魔法の豪邸

紫 十的

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第三十四章 途方も無い企み

閑話 リーダの願い

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「ノアちゃんも少し休んでおいて。朝になったら、きっとリーダと一緒に、いろんなところへ行くことになるだろうから」

 リーダが広間から出て行ったのを確認した後、カガミはノアに向かって言った。
 穏やかなカガミの声に、ノアは頷きロンロを伴って、広間から出て行く。

「私達は何かすることがありますか?」
「そうしたら、フラケーテアさん達には朝ごはんの準備をお願いしたいと思います。チッキー達も起こしてごめんなさいね」
「かしこまりました」
「おいら達もできることがあったら何でもします」
「では、皆には、もう少し経って朝日が上がったらお願いしたいと思います」

 ハイエルフの双子を始め、獣人達3人も広間から出て行く。
 だだっ広い広間には、カガミとミズキ、そしてサムソンの三人が残った。

「カガミ氏が積極的に賛成すると思わなかったぞ。何か勝算があるん?」
「勝算は……分かりません」

 サムソンがカガミに対してした質問に、彼女はゆっくりと首を横に振った。

「だったらどうして?」
「私たちは、こちらに来てから、とっても楽しく過ごせました。でもそれって、リーダがいたからで、もしいなかったら……こんなに楽しく過ごすことはできなかったと思います。思いません?」
「そうかもしれないな」
「それにリーダは、いつだって私達の頼みを聞いてくれました。時にはそれはしぶしぶだったかもしれませんが、それでもいつだってリーダは私たちの望みを聞いて何とかしてくれたんです」
「そうだよね」
「確かにカガミ氏の言う通りかもしれない」
「ノアちゃんの事だって。私だって、魔神が復活するっていうことが決まっているのに、ノアちゃんや皆を残して帰りたくはないです」
「うん」

 静かに言葉を続けるカガミに、サムソンは腕を組んだまま、ミズキは小さく頷きながら聞き入っていた。
 2人の様子を視界に入れて、カガミは言葉を続ける。

「だから私は、リーダの計画に参加したいと思っています。それが途方もないことであったとしても、きっと、その理想に近づけるために私達ができることはあると思っています」
「そういうことか」
「サムソンは反対なんですか?」
「俺は、反対したいわけじゃない。怖いだけだ。1億枚の積層魔法陣もそうだが、何よりリーダの案は、魔神を復活させるって話だぞ。大災害の引き金を俺達が引くってことだ。それに、これは、魔神だけでなく、もっとヤバい奴も起こすって話だ」
「サムソンの言いたいことは分かります。私も怖くないかといえば、違いますし」
「でもカガミ氏の言うとおりだ。俺だって、リーダには助けてもらった。いや今でも助けてもらってるのかな」

 そこまで言ってサムソンが大きく息を吐き、そして上を見上げた。

「じゃあやるか。技術面を詰めなきゃな。魔法の究極をリーダが寝てるうちに使って、コントロール権が奪えるかどうかを確認しとかなきゃな。無理だったら別の手を考えなきゃならない」
「そうですね。サムソン頼りにしてます」
「私も、リーダに頼り切りは、ダメだしね」
「そうですねミズキ。みんなでやりましょう」

 前向きになったサムソンと、そして元気を取り戻したミズキに対し、カガミは微笑みリーダの部屋の方を向き頷いた。
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