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第二十七章 伝説の、真相
ふたりのれいじょう
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まったく。
連れてこられた先の会議室。
そこは、シルフィーナと同士達のたまり場だった。
質素ながらも、整った室内にあるテーブル。
彼女達は、テーブルを囲み、真剣に話し合いをしていた。
そんな彼女達が、部屋に入ったサムソンを見て、笑顔を見せる。
いつの間にやら、サムソンはずいぶんと信頼を得ていたらしい。
「先方が資金力を武器にしても、資金で戦うのは得策ではありません」
明るいオレンジ色の髪をした子爵令嬢シルフィーナを前にして、サムソンはそう切り出した。
年は、高校生くらいかな。
取り巻きの女性陣に囲まれて、彼女は静かに微笑んでいた。ちょっとした高貴の人特有のオーラを纏っている。人望がありそうだ。
そして目の前の子爵令嬢と生徒会長を争うのは、レンケッタ男爵令嬢。なんでも軍港の町として有名なアロントットの町で、有名な商家の娘らしい。お金の力で爵位を買ったのだとか。
「えぇ、わたくしもかの者には負けるわけには参りません。サムソン様の言うとおりお金でどうこうしようとは思いません。平等な学び舎で、親のお金を認めると、秩序が乱れてしまいますもの」
「そこで、シルフィーナ様は……シルフィーナ様のご自身の強みを持って事にあたるべきかと」
「わたくしの強み……ですか?」
「左様です。学校を思う、その思い。人望。そして歌にございます」
「あの歌は、少しでも多くの人を集めたくて、苦し紛れの策だったのですが……。リーダ様も同じ考えですか?」
「はい。サムソンと同じ考えでございます」
よくわかんないから、サムソンに合わせることにした。
あんまり深く関わりたくない。
サムソンと同じ考えだから、気になる事はサムソンに聞いてねという路線で進めたい。
というか、先ほどから自信満々でサムソンは話をしているが、コイツはどうするつもりなのだろうか。
「あの者は、お金の力で生徒会長の座すら買おうとしております。許せませんわ」
シルフィーナの取り巻きも、さきほどから同じ調子で憤るだけで、特に方針があるわけでもなさそうだし、大丈夫か心配になる。
まぁ、どうでもいいけれど。
話は、オレがボーッとしている間に終わった。
「リーダ様、サムソン様、頼りにしていますわ」
会議室から出る直前、シルフィーナが言った。
「はい。私は、少し多忙なのでこの場に顔を出せませんが、サムソンならば大丈夫です」
よくわかんないから、適当に返事する。どうせ、全部、サムソンに丸投げなのだ。
「で、サムソン、どうするんだ? 大丈夫なのか?」
会議室を出て、サムソンと分かれる直前、少し心配になったので聞いてみることにした。
「問題ない。選挙運動なら、何度か経験があるからな」
そう言ったサムソンは、見るからに自信満々だ。
へぇ。こいつが選挙運動か……全然、そんな印象は無いのに、意外だ。
「応援演説とか、そういうの?」
「そうだぞ。全国的な運動になると、知り合いの手伝いしかしたことがないが、ローカルな関係だと中心で動いたことがあるぞ」
結構、本格的だ。全国的な運動とか……すごいな。
「その経験を生かして行動するわけだ」
「あぁ。すでに方針は決めている」
「方針?」
「彼女を慕う人は多い。だが、統一した組織が無い。だから、そこから始めようと思う」
「組織?」
「ファンクラブと、あとは彼女を応援するグッズだな。まとまりが出来れば、やりようはある」
ファンクラブとか、不穏なキーワードがでたけれど、本当に大丈夫か……。
なんと言えばいいのか。いわゆる嫌な予感がした。
もっとも、オレは選挙関係の知識が無いため、何とも言えないわけではあるけど。
「本当に、大丈夫なんだろうな? 面倒な事にならない?」
「大丈夫だ。まかせろ。ところでリーダはどうなんだ?」
「オレ?」
「明日テストだろ?」
「テストって?」
「年4回だろ? つい最近にテストを受けたばかりじゃないか」
「あれは入学時の振り分けテストだ。明日が通常の定期昇級テストだ」
マジで?
何もしていない。早期の卒業のためには確実に昇級する必要がある。
そんなわけで、オレは教養の科目を突破するため、一夜漬け……つまり大学に泊まり込みし勉強することにした。
連れてこられた先の会議室。
そこは、シルフィーナと同士達のたまり場だった。
質素ながらも、整った室内にあるテーブル。
彼女達は、テーブルを囲み、真剣に話し合いをしていた。
そんな彼女達が、部屋に入ったサムソンを見て、笑顔を見せる。
いつの間にやら、サムソンはずいぶんと信頼を得ていたらしい。
「先方が資金力を武器にしても、資金で戦うのは得策ではありません」
明るいオレンジ色の髪をした子爵令嬢シルフィーナを前にして、サムソンはそう切り出した。
年は、高校生くらいかな。
取り巻きの女性陣に囲まれて、彼女は静かに微笑んでいた。ちょっとした高貴の人特有のオーラを纏っている。人望がありそうだ。
そして目の前の子爵令嬢と生徒会長を争うのは、レンケッタ男爵令嬢。なんでも軍港の町として有名なアロントットの町で、有名な商家の娘らしい。お金の力で爵位を買ったのだとか。
「えぇ、わたくしもかの者には負けるわけには参りません。サムソン様の言うとおりお金でどうこうしようとは思いません。平等な学び舎で、親のお金を認めると、秩序が乱れてしまいますもの」
「そこで、シルフィーナ様は……シルフィーナ様のご自身の強みを持って事にあたるべきかと」
「わたくしの強み……ですか?」
「左様です。学校を思う、その思い。人望。そして歌にございます」
「あの歌は、少しでも多くの人を集めたくて、苦し紛れの策だったのですが……。リーダ様も同じ考えですか?」
「はい。サムソンと同じ考えでございます」
よくわかんないから、サムソンに合わせることにした。
あんまり深く関わりたくない。
サムソンと同じ考えだから、気になる事はサムソンに聞いてねという路線で進めたい。
というか、先ほどから自信満々でサムソンは話をしているが、コイツはどうするつもりなのだろうか。
「あの者は、お金の力で生徒会長の座すら買おうとしております。許せませんわ」
シルフィーナの取り巻きも、さきほどから同じ調子で憤るだけで、特に方針があるわけでもなさそうだし、大丈夫か心配になる。
まぁ、どうでもいいけれど。
話は、オレがボーッとしている間に終わった。
「リーダ様、サムソン様、頼りにしていますわ」
会議室から出る直前、シルフィーナが言った。
「はい。私は、少し多忙なのでこの場に顔を出せませんが、サムソンならば大丈夫です」
よくわかんないから、適当に返事する。どうせ、全部、サムソンに丸投げなのだ。
「で、サムソン、どうするんだ? 大丈夫なのか?」
会議室を出て、サムソンと分かれる直前、少し心配になったので聞いてみることにした。
「問題ない。選挙運動なら、何度か経験があるからな」
そう言ったサムソンは、見るからに自信満々だ。
へぇ。こいつが選挙運動か……全然、そんな印象は無いのに、意外だ。
「応援演説とか、そういうの?」
「そうだぞ。全国的な運動になると、知り合いの手伝いしかしたことがないが、ローカルな関係だと中心で動いたことがあるぞ」
結構、本格的だ。全国的な運動とか……すごいな。
「その経験を生かして行動するわけだ」
「あぁ。すでに方針は決めている」
「方針?」
「彼女を慕う人は多い。だが、統一した組織が無い。だから、そこから始めようと思う」
「組織?」
「ファンクラブと、あとは彼女を応援するグッズだな。まとまりが出来れば、やりようはある」
ファンクラブとか、不穏なキーワードがでたけれど、本当に大丈夫か……。
なんと言えばいいのか。いわゆる嫌な予感がした。
もっとも、オレは選挙関係の知識が無いため、何とも言えないわけではあるけど。
「本当に、大丈夫なんだろうな? 面倒な事にならない?」
「大丈夫だ。まかせろ。ところでリーダはどうなんだ?」
「オレ?」
「明日テストだろ?」
「テストって?」
「年4回だろ? つい最近にテストを受けたばかりじゃないか」
「あれは入学時の振り分けテストだ。明日が通常の定期昇級テストだ」
マジで?
何もしていない。早期の卒業のためには確実に昇級する必要がある。
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