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序章
第8話
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「私は仲良しこよしでやるつもりは一切ないからね」
シオンはいつも通り、クルスたちを突き放すように言い放つ。まるで話し合いにならないようだ。
「いつまでそんなこと言ってるの、せっかくのチャンスなんだからさここで見せないと」
ソフィーナは何とかシオンに話し合いに参加してもらおうと奮闘するも、シオンは一切聞く耳を持たないようだ。
「今回は学園側のせいであんたたちとチームを組まされるけど、あくまでも私1人でやるから」
「そのせいで、前に問題になったでしょ。それにここでチームでいい成績を残せればシオンの...」
「あの人は今は関係ないでしょ!!!」
ソフィーナの言葉を遮るようにシオンは声を荒げた。その大きさは、クルスとソフィーナだけでなく教室中に響き渡り、シオンにクラス中から視線が向けられた。それに気づいたシオンは、一旦深呼吸をすると、
「とにかく、私は自分だけの実力でやりきるから話し合いなんか必要ない」
そういってシオンは教室から出て行ってしまった。教師が急いで追いかけるも、気にするそぶりを見せることなく去った。
「行っちまったか。あれで大丈夫なのか?見た感じ当日休むんじゃないか」
「それは大丈夫だと思う。シオンは慣れあう気はなさそうだけど、それでも何とか勝ちたいという気持ちだけは強いはずだから」
クルスはその言葉を聞いて、腕を組んで考える。
「とはいえチームで組まされている以上はある程度あいつのことを知らないといけないと思うが。あいつはどんな奴なんだ?」
「シオンは魔剣を使う、かなり攻撃的な剣士って感じだね。魔法関係はほとんど使わないから、剣一本で戦うのが基本スタイルといった所」
「聞いた限りではかなり尖った感じだな。(剣士なら、こっちとしても合わせやすいところだが)」
クルスはソフィーナから聞いた情報をなんとなく頭の中で整理し、色々と戦術や起こりうる事象を考え始めた。
「私は弓術と魔法を扱える感じかな。質はそこまで高くはないけど」
「なるほどな、この後どこかで確認できるか?ちょっと見てみたいんだが」
クルスは教師の下に行き、作戦等を考えるため移動できるかどうか確認した。午前中であれば、実践室に空きがあれば構わないという返答だった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
実践室、学園内に何十個とある生徒同士で戦闘や攻撃等の確認ができる場所である。この空間内ではダメージは発生しないため安全に特訓や確認作業を行うことができる。
「初めて入ったがこんなところがあるんだな」
「私たちはDランクだから使うことはめったにないけど、上のランクの人たちほど戦闘でよく使うんだよ。実際に昇格戦だったり、今回の演習でももっと広い実践室を使うんだよ」
クルスは壁をノックするように確認する。そこまで強度があるように感じにくいため、まだ設備に関して半信半疑である。
「それで、ソフィーナは弓術と魔法を扱うんだったな。どんな感じなんだ?」
ソフィーナは魔法で作られた弓、魔弓を発動させその場で矢をつがえる。ソフィーナがすでに準備していた的をめがけて放つ。矢は的に当たりそのままはじけ飛んだ。
「なるほどな、距離はどのくらいまでならいけるんだ」
「大体20メートルぐらいが射程ぎりぎりかな。それより後ろだと、途中で落ちたり威力が下がると思う。あとは水属性の魔法と無属性魔法を初級レベルで扱えるところかな」
ソフィーナが扱える戦術は、魔弓と魔法を絡めた中、遠距離攻撃だ。単独で行動するのは厳しいが、他者と連携ができれば強力な戦法だ。
「クルス君はどんな戦い方をするの?」
「悪いが、今はバリアが使えるってことぐらいしか言えない。言わせるだけ言わせて俺は隠して申し訳ない。だが、演習の時には必ず力になる」
「気にしなくていいよ、なんとなくだけどクルス君は私たちを助けてくれそうな気がするんだ」
「私たち?」
「うん、今回初めて組むことになったけどきっといい形になりそうな気がする」
ソフィーナの言葉を聞いて頭を軽くかく。ソフィーナがどう思っているのかクルスにはわからない。だがソフィーナは真剣な瞳をしていた。
「...まあ期待に添えれるように頑張るさ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そして、2日後。Dランク1年の生徒たちがある1つの集会場に集められた。
「さて、すでに通達してあった演習日だ。現在在籍しているDランク1年68名がそれぞれのチームごとに戦ってもらう。チームごとに分かれてもらい、所定の位置にワープしてもらう」
いよいよ、演習がスタートする。
シオンはいつも通り、クルスたちを突き放すように言い放つ。まるで話し合いにならないようだ。
「いつまでそんなこと言ってるの、せっかくのチャンスなんだからさここで見せないと」
ソフィーナは何とかシオンに話し合いに参加してもらおうと奮闘するも、シオンは一切聞く耳を持たないようだ。
「今回は学園側のせいであんたたちとチームを組まされるけど、あくまでも私1人でやるから」
「そのせいで、前に問題になったでしょ。それにここでチームでいい成績を残せればシオンの...」
「あの人は今は関係ないでしょ!!!」
ソフィーナの言葉を遮るようにシオンは声を荒げた。その大きさは、クルスとソフィーナだけでなく教室中に響き渡り、シオンにクラス中から視線が向けられた。それに気づいたシオンは、一旦深呼吸をすると、
「とにかく、私は自分だけの実力でやりきるから話し合いなんか必要ない」
そういってシオンは教室から出て行ってしまった。教師が急いで追いかけるも、気にするそぶりを見せることなく去った。
「行っちまったか。あれで大丈夫なのか?見た感じ当日休むんじゃないか」
「それは大丈夫だと思う。シオンは慣れあう気はなさそうだけど、それでも何とか勝ちたいという気持ちだけは強いはずだから」
クルスはその言葉を聞いて、腕を組んで考える。
「とはいえチームで組まされている以上はある程度あいつのことを知らないといけないと思うが。あいつはどんな奴なんだ?」
「シオンは魔剣を使う、かなり攻撃的な剣士って感じだね。魔法関係はほとんど使わないから、剣一本で戦うのが基本スタイルといった所」
「聞いた限りではかなり尖った感じだな。(剣士なら、こっちとしても合わせやすいところだが)」
クルスはソフィーナから聞いた情報をなんとなく頭の中で整理し、色々と戦術や起こりうる事象を考え始めた。
「私は弓術と魔法を扱える感じかな。質はそこまで高くはないけど」
「なるほどな、この後どこかで確認できるか?ちょっと見てみたいんだが」
クルスは教師の下に行き、作戦等を考えるため移動できるかどうか確認した。午前中であれば、実践室に空きがあれば構わないという返答だった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
実践室、学園内に何十個とある生徒同士で戦闘や攻撃等の確認ができる場所である。この空間内ではダメージは発生しないため安全に特訓や確認作業を行うことができる。
「初めて入ったがこんなところがあるんだな」
「私たちはDランクだから使うことはめったにないけど、上のランクの人たちほど戦闘でよく使うんだよ。実際に昇格戦だったり、今回の演習でももっと広い実践室を使うんだよ」
クルスは壁をノックするように確認する。そこまで強度があるように感じにくいため、まだ設備に関して半信半疑である。
「それで、ソフィーナは弓術と魔法を扱うんだったな。どんな感じなんだ?」
ソフィーナは魔法で作られた弓、魔弓を発動させその場で矢をつがえる。ソフィーナがすでに準備していた的をめがけて放つ。矢は的に当たりそのままはじけ飛んだ。
「なるほどな、距離はどのくらいまでならいけるんだ」
「大体20メートルぐらいが射程ぎりぎりかな。それより後ろだと、途中で落ちたり威力が下がると思う。あとは水属性の魔法と無属性魔法を初級レベルで扱えるところかな」
ソフィーナが扱える戦術は、魔弓と魔法を絡めた中、遠距離攻撃だ。単独で行動するのは厳しいが、他者と連携ができれば強力な戦法だ。
「クルス君はどんな戦い方をするの?」
「悪いが、今はバリアが使えるってことぐらいしか言えない。言わせるだけ言わせて俺は隠して申し訳ない。だが、演習の時には必ず力になる」
「気にしなくていいよ、なんとなくだけどクルス君は私たちを助けてくれそうな気がするんだ」
「私たち?」
「うん、今回初めて組むことになったけどきっといい形になりそうな気がする」
ソフィーナの言葉を聞いて頭を軽くかく。ソフィーナがどう思っているのかクルスにはわからない。だがソフィーナは真剣な瞳をしていた。
「...まあ期待に添えれるように頑張るさ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そして、2日後。Dランク1年の生徒たちがある1つの集会場に集められた。
「さて、すでに通達してあった演習日だ。現在在籍しているDランク1年68名がそれぞれのチームごとに戦ってもらう。チームごとに分かれてもらい、所定の位置にワープしてもらう」
いよいよ、演習がスタートする。
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