魔物殲滅軍上がりの少年は魔導士育成学園で無双する

Miiya

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序章

第7話

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アルローは無属性の魔法を発動させる。そして威力を低く調整し放った。

「(無属性の魔法、を使ってのテスト。今回は単純にバリアの防御力の調整が評価対象だな)」

バリアは、魔法の威力だけでなくその属性や特性にもチューニングしなければいけない。だがこのテストでは全生徒が無属性の魔弾で行われているため、そのチューニングの技術は要されていない。

「(まずは弱魔弾からだ。そのお手並み拝見、といった所だな)」

アルローは弱威力の魔弾を3発クルスに打ち込む。クルスは魔弾の数とその魔力反応から一枚のバリアを展開する。3発の魔弾は真っ直ぐクルスのバリアに当たり、霧散した。バリアのほうはヒビが軽く入った程度で顕在している。

「(流石、といったところだ。一目見ただけで魔弾の威力を正確に判断し、最適解と言えるようなバリアを展開した)」

アルローは次に威力の高い魔弾と低い魔弾を混在させる。数もさらに増やして、状況判断を鈍らせに来た。

「(さて、こいつはどうやってさばくか)」

クルスはすぐに魔弾の種類とその数を判別、そしてどう対処するか脳内で処理を開始した。すぐにバリアを展開し迎え撃った。そのバリアは先ほどのとは一味違う。

「(あのバリアは、箇所ごとに防御力の高低を設定してある変形防御バースだな。ここまで丁寧に展開するのは実践でも相当な手練れでないと難しい)」

アルローの魔弾をすべて受け切ったバリアは完全に消滅した。1発もこぼすことなく防ぎ切った。今回の試験では、バリアが割れた場合、そこで終了とみなすためこれでクルスのテストは終了した。

「クルス、B評価だ。下がってよろしい」

アルローは書類にクルスの評価を記載する。

「(割れたら終了という形式だから、あえて2回目でやめたのだろう。あれだけ完璧に調整するのは学生はおろか、われら現役教師ですら難しい。わかってはいたが末恐ろしいな)」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「クルス君もB評価だったんだね」

「ああ、とりあえず最低評価でなくてよかったよ。初日から悪印象持たれたくないし」

クルスとしては現状評価に関して何も気にしておらず、最低でも最高でもどちらでも構わないというスタンスである。だが、下手に生徒から絡まれるのを避けるべく、平均ぐらいのスコアに抑えたようだ。

「(まだここにきて1日、何も知らないからこそ下手な行動は避けておきたいな)」

「クルス君何か考え事?」

「いや、何でもない」

クルスとソフィーナ、そして後ろからついていくようにシオン達は教室のほうに戻った。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「失礼します」

「うむ、入ってくれ」

場所は変わって、学園長室。昨日クルスが訪れた場所だ。訪れた者は、先ほどクルスたちの授業を請け負ったアルローだ。

「これが今回のテスト結果です」

アルローは、クルスのバリアのテスト結果を記載した書類を渡した。ノノは書類に目を通し、にたりと笑う。

「なるほどね、表面上はB評価ってことになっているが、アルロー自身はA評価以上をつけたいところだね」

「今回のテスト形式上仕方なくですね。防いだ回数だけでなく、その判断するのであれば最低でもA+の評価ですね」

ノノはその話を聞いてさらににたにたとする。その表情を見たアルローは不穏に感じる。

「今のところ実力を大々的に見せるつもりはなさそうですね。本人が何を考えているのかわからないですが」

「とはいっても、すぐに見させてもらうけどね」

ノノは一枚の書類をアルローに見せる。目を通すと、アルローも少し不敵に笑う。

「編入してまだ1週目にもかかわらずこれですか、確かにこれならある程度見れそうな気はしますね」

「見させてもらおうかな、魔物殲滅軍【リベリオル】の実力を」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「(これはまた面倒なのが来たな)」

バリアのテストの翌日の朝、クラス全員に通達されたのは2日後に行われる演習だ。学園側で指定されたチームで、1つの大きなステージで戦うというものになっている。

最終的に残ったチームが1位となるが、戦闘や移動、チームとしての動きも評価対象に入るようだ。クルスが指定されたチームは、クルス、ソフィーナ、そしてシオンである。

「(...これはランダムではなく、意図的に組んでいるのか)」

クルスはシオンのほうに視線を向けると、シオンはクルスのほうを軽くにらみつける。

「午前中は、授業は行わず演習に向けて各チーム話し合いの時間を設ける。有意義に使うように」

合図と同時に、各チームごとに集まりそれぞれ話し合いを始めた。シオンが動く気配が中々ないため、クルスとソフィーナが動くこととなった。
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