7 / 8
序章
第7話
しおりを挟む
アルローは無属性の魔法を発動させる。そして威力を低く調整し放った。
「(無属性の魔法、魔弾を使ってのテスト。今回は単純にバリアの防御力の調整が評価対象だな)」
バリアは、魔法の威力だけでなくその属性や特性にもチューニングしなければいけない。だがこのテストでは全生徒が無属性の魔弾で行われているため、そのチューニングの技術は要されていない。
「(まずは弱魔弾からだ。そのお手並み拝見、といった所だな)」
アルローは弱威力の魔弾を3発クルスに打ち込む。クルスは魔弾の数とその魔力反応から一枚のバリアを展開する。3発の魔弾は真っ直ぐクルスのバリアに当たり、霧散した。バリアのほうはヒビが軽く入った程度で顕在している。
「(流石、といったところだ。一目見ただけで魔弾の威力を正確に判断し、最適解と言えるようなバリアを展開した)」
アルローは次に威力の高い魔弾と低い魔弾を混在させる。数もさらに増やして、状況判断を鈍らせに来た。
「(さて、こいつはどうやってさばくか)」
クルスはすぐに魔弾の種類とその数を判別、そしてどう対処するか脳内で処理を開始した。すぐにバリアを展開し迎え撃った。そのバリアは先ほどのとは一味違う。
「(あのバリアは、箇所ごとに防御力の高低を設定してある変形防御だな。ここまで丁寧に展開するのは実践でも相当な手練れでないと難しい)」
アルローの魔弾をすべて受け切ったバリアは完全に消滅した。1発もこぼすことなく防ぎ切った。今回の試験では、バリアが割れた場合、そこで終了とみなすためこれでクルスのテストは終了した。
「クルス、B評価だ。下がってよろしい」
アルローは書類にクルスの評価を記載する。
「(割れたら終了という形式だから、あえて2回目でやめたのだろう。あれだけ完璧に調整するのは学生はおろか、われら現役教師ですら難しい。わかってはいたが末恐ろしいな)」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「クルス君もB評価だったんだね」
「ああ、とりあえず最低評価でなくてよかったよ。初日から悪印象持たれたくないし」
クルスとしては現状評価に関して何も気にしておらず、最低でも最高でもどちらでも構わないというスタンスである。だが、下手に生徒から絡まれるのを避けるべく、平均ぐらいのスコアに抑えたようだ。
「(まだここにきて1日、何も知らないからこそ下手な行動は避けておきたいな)」
「クルス君何か考え事?」
「いや、何でもない」
クルスとソフィーナ、そして後ろからついていくようにシオン達は教室のほうに戻った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「失礼します」
「うむ、入ってくれ」
場所は変わって、学園長室。昨日クルスが訪れた場所だ。訪れた者は、先ほどクルスたちの授業を請け負ったアルローだ。
「これが今回のテスト結果です」
アルローは、クルスのバリアのテスト結果を記載した書類を渡した。ノノは書類に目を通し、にたりと笑う。
「なるほどね、表面上はB評価ってことになっているが、アルロー自身はA評価以上をつけたいところだね」
「今回のテスト形式上仕方なくですね。防いだ回数だけでなく、そのバリアの質判断するのであれば最低でもA+の評価ですね」
ノノはその話を聞いてさらににたにたとする。その表情を見たアルローは不穏に感じる。
「今のところ実力を大々的に見せるつもりはなさそうですね。本人が何を考えているのかわからないですが」
「とはいっても、すぐに見させてもらうけどね」
ノノは一枚の書類をアルローに見せる。目を通すと、アルローも少し不敵に笑う。
「編入してまだ1週目にもかかわらずこれですか、確かにこれならある程度見れそうな気はしますね」
「見させてもらおうかな、魔物殲滅軍【リベリオル】の実力を」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「(これはまた面倒なのが来たな)」
バリアのテストの翌日の朝、クラス全員に通達されたのは2日後に行われる演習だ。学園側で指定されたチームで、1つの大きなステージで戦うというものになっている。
最終的に残ったチームが1位となるが、戦闘や移動、チームとしての動きも評価対象に入るようだ。クルスが指定されたチームは、クルス、ソフィーナ、そしてシオンである。
「(...これはランダムではなく、意図的に組んでいるのか)」
クルスはシオンのほうに視線を向けると、シオンはクルスのほうを軽くにらみつける。
「午前中は、授業は行わず演習に向けて各チーム話し合いの時間を設ける。有意義に使うように」
合図と同時に、各チームごとに集まりそれぞれ話し合いを始めた。シオンが動く気配が中々ないため、クルスとソフィーナが動くこととなった。
「(無属性の魔法、魔弾を使ってのテスト。今回は単純にバリアの防御力の調整が評価対象だな)」
バリアは、魔法の威力だけでなくその属性や特性にもチューニングしなければいけない。だがこのテストでは全生徒が無属性の魔弾で行われているため、そのチューニングの技術は要されていない。
「(まずは弱魔弾からだ。そのお手並み拝見、といった所だな)」
アルローは弱威力の魔弾を3発クルスに打ち込む。クルスは魔弾の数とその魔力反応から一枚のバリアを展開する。3発の魔弾は真っ直ぐクルスのバリアに当たり、霧散した。バリアのほうはヒビが軽く入った程度で顕在している。
「(流石、といったところだ。一目見ただけで魔弾の威力を正確に判断し、最適解と言えるようなバリアを展開した)」
アルローは次に威力の高い魔弾と低い魔弾を混在させる。数もさらに増やして、状況判断を鈍らせに来た。
「(さて、こいつはどうやってさばくか)」
クルスはすぐに魔弾の種類とその数を判別、そしてどう対処するか脳内で処理を開始した。すぐにバリアを展開し迎え撃った。そのバリアは先ほどのとは一味違う。
「(あのバリアは、箇所ごとに防御力の高低を設定してある変形防御だな。ここまで丁寧に展開するのは実践でも相当な手練れでないと難しい)」
アルローの魔弾をすべて受け切ったバリアは完全に消滅した。1発もこぼすことなく防ぎ切った。今回の試験では、バリアが割れた場合、そこで終了とみなすためこれでクルスのテストは終了した。
「クルス、B評価だ。下がってよろしい」
アルローは書類にクルスの評価を記載する。
「(割れたら終了という形式だから、あえて2回目でやめたのだろう。あれだけ完璧に調整するのは学生はおろか、われら現役教師ですら難しい。わかってはいたが末恐ろしいな)」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「クルス君もB評価だったんだね」
「ああ、とりあえず最低評価でなくてよかったよ。初日から悪印象持たれたくないし」
クルスとしては現状評価に関して何も気にしておらず、最低でも最高でもどちらでも構わないというスタンスである。だが、下手に生徒から絡まれるのを避けるべく、平均ぐらいのスコアに抑えたようだ。
「(まだここにきて1日、何も知らないからこそ下手な行動は避けておきたいな)」
「クルス君何か考え事?」
「いや、何でもない」
クルスとソフィーナ、そして後ろからついていくようにシオン達は教室のほうに戻った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「失礼します」
「うむ、入ってくれ」
場所は変わって、学園長室。昨日クルスが訪れた場所だ。訪れた者は、先ほどクルスたちの授業を請け負ったアルローだ。
「これが今回のテスト結果です」
アルローは、クルスのバリアのテスト結果を記載した書類を渡した。ノノは書類に目を通し、にたりと笑う。
「なるほどね、表面上はB評価ってことになっているが、アルロー自身はA評価以上をつけたいところだね」
「今回のテスト形式上仕方なくですね。防いだ回数だけでなく、そのバリアの質判断するのであれば最低でもA+の評価ですね」
ノノはその話を聞いてさらににたにたとする。その表情を見たアルローは不穏に感じる。
「今のところ実力を大々的に見せるつもりはなさそうですね。本人が何を考えているのかわからないですが」
「とはいっても、すぐに見させてもらうけどね」
ノノは一枚の書類をアルローに見せる。目を通すと、アルローも少し不敵に笑う。
「編入してまだ1週目にもかかわらずこれですか、確かにこれならある程度見れそうな気はしますね」
「見させてもらおうかな、魔物殲滅軍【リベリオル】の実力を」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「(これはまた面倒なのが来たな)」
バリアのテストの翌日の朝、クラス全員に通達されたのは2日後に行われる演習だ。学園側で指定されたチームで、1つの大きなステージで戦うというものになっている。
最終的に残ったチームが1位となるが、戦闘や移動、チームとしての動きも評価対象に入るようだ。クルスが指定されたチームは、クルス、ソフィーナ、そしてシオンである。
「(...これはランダムではなく、意図的に組んでいるのか)」
クルスはシオンのほうに視線を向けると、シオンはクルスのほうを軽くにらみつける。
「午前中は、授業は行わず演習に向けて各チーム話し合いの時間を設ける。有意義に使うように」
合図と同時に、各チームごとに集まりそれぞれ話し合いを始めた。シオンが動く気配が中々ないため、クルスとソフィーナが動くこととなった。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説

異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

俺だけ成長限界を突破して強くなる~『成長率鈍化』は外れスキルだと馬鹿にされてきたけど、実は成長限界を突破できるチートスキルでした~
つくも
ファンタジー
Fランク冒険者エルクは外れスキルと言われる固有スキル『成長率鈍化』を持っていた。
このスキルはレベルもスキルレベルも成長効率が鈍化してしまう、ただの外れスキルだと馬鹿にされてきた。
しかし、このスキルには可能性があったのだ。成長効率が悪い代わりに、上限とされてきたレベル『99』スキルレベル『50』の上限を超える事ができた。
地道に剣技のスキルを鍛え続けてきたエルクが、上限である『50』を突破した時。
今まで馬鹿にされてきたエルクの快進撃が始まるのであった。

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる