魔物殲滅軍上がりの少年は魔導士育成学園で無双する

Miiya

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序章

第6話

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「今から防御魔法の授業を行います。では、アルロー先生お願いします」

クルスたちが昼食をとり終わり、午前中に受けていた教室を離れて魔法訓練室に移動していた。そこでは担任の先生以外の先生が教えるようだ。

「もうすでに防御魔法の授業は何度も行っているが、ここで軽く1か月間の成果を確認させてもらう。軽く魔法に関して確認した後すぐに実践してもらうぞ」

【防御魔法】、現在はという通称で使われている魔法で主に物理攻撃や攻撃魔法などの攻撃から身を防ぐための魔法である。基本は丸い円形の陣が出現し、そこに魔力をどの程度つぎ込むかで形や特性、防御力に影響を与える。

「バリアはどの戦闘スタイルの者にも重要となる魔法だ。まだ入学して日が浅いうちにマスターしておく必要性は他の魔法に比べかなり高い。真剣に臨むように」

開始の合図と同時に、各生徒が一斉にバリアを発動させ始めた。ある程度レベルに差がない生徒が集まっているが、それでも上手い者や下手な者が出ている。

「(魔力が平均より高いやつはこの中ではバリアのレベルは高いな。逆に、腰に剣を携えている、おそらく剣がメインの生徒はまだまだ拙い)」

クルスは周りの生徒たちの様子をじっと眺めていた。午前の授業だけではこのクラスの平均値は判明していない。ある程度のレベルを知り穏便にやり過ごすことを考えている。

「ん?君は今日来たばかりの編入生か。バリアの発動を知らないのか?」

特に何もせずにその場で立っていたクルスにアルローが近づく。

「いえ、大丈夫です」

「そうか、すぐにテストを始めるからちゃんと確認しておくように。こういったテストが学園での評価に少なからず繋がるからな」

「わかりました」

クルスはいったん、周りの生徒のバリアのおおよそ平均ぐらいの出来のバリアを発動する。その様子を見たソフィーナが近づく。

「クルス君バリア得意なの?」

「得意っていうわけではないが。シオンの奴はどうしたんだ、特に何もしてないように見えるが」

「ああ、シオンは魔法が得意じゃなくてバリアを使えないの」

ソフィーナの言葉にクルスは少し驚いた。すぐにシオンに視線を向けると、シオンは目をつぶり腕を組んでただ立ち尽くしているだけだった。

「(シオンの魔力は決して低くない。確かに魔力の制御は個人差はあれど発動自体にはそこまで問題なく見えたが)」

バリアは星の数ほどある魔法の中で基本中の基本、クルスが所属していた【リベリオル】でも使われている。魔法の中には発動するのに練度や技術を要することもある。

「(何かわけでもあるのか?)」

「練習はそこまでだ。今からテストを始める。学籍順で見ていくから準備を」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

そして、クラスのバリアテストが開始された。生徒ごとの出来をアルローが評定する、といった感じだ。バリアを発動させた後は、そこにいくつかの種類の魔法を打ち込み、それを防ぎきれるかどうかが評価ポイントだ。

「よし、君はそこまでだ。次の者入れ」

「(威力を段階分けして魔法を当てて、それを防げるかどうか。ただ貼るだけに比べれば実践的だな)」

このテストでは、ただ実力を測るだけでなく今使ったバリアがどの程度の魔法を防げるのかを肌で感じ取れることに大きな利点がある。

「(同じ1年でも、午前中に担当したB、Aクラスとはまだまだ未熟に感じるな)」

クラスの1/3ほどの生徒の実力を見たところで、アルローはそのように感じていた。クルスのクラスの生徒は、幅垂れる魔法に対して、最適なバリアを展開している者はほとんどいなかった。

「(弱い魔法に過剰なバリア、逆に強い魔法に弱いバリア、最適なバリアを瞬時に展開できなければ実践で魔力を無駄に使ってしまう)」

「クルス君はテスト終わった?」

「いや、俺はたぶん最後だな。学籍順なら、今日は言ってきた俺が最終扱いになるだろう。ソフィーナはどうだったんだ」

「私はB評価、合格点ってところだね。シオンはまた最低評価をもらったみたい」

「そっか、あいつはそれでいいのか?そういうのに敏感だと思ったんだがな」

「私もその辺はあんまりわからないんだよね。本人が何も言わないから」

クルスはソフィーナの言葉に神妙な表情をする。まだ人となりもそうだが、どんな戦闘スタイルなのかもわからない以上、過剰な声掛けはかえって不都合となる。

「次で最後だな、クルス、前に来なさい」

ソフィーナと話しているうちに、最後のクルスの番が来たようだ。アルローはクルスのことをじっと見つめる。

「(この少年がの魔導士、学園長から特別扱いは必要なしとのことだが。一体どれほどの実力なのか)」

クルスがアルローの目の前に立つ。まだクルスの実力をほとんど知らないクラスの全員が注目する。

「それでは、テスト開始だ」




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