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序章
第5話
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「ふう、思ったより寝られなかったな」
夜明けすぐのころ、まだ日が完全には昇っておらず少し薄暗い中クルスは目覚めた。普段は魔物との戦闘があるため体がそこそこ疲れるが、一日まともに体を動かしていないクルスは深い眠りにつけなかった。
右手の平を出して、小さく火の魔法を出す。
「魔力、魔法は特に異常は無いな。今後はこんな感じの生活になってくるかもしれないな」
現状授業に関して詳しいことは判明していないが、いつものような生と死を彷徨うような生活から離れることはある程度想像がつく。
「...まあなるようになるだろう。まだ何もわからないからな」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「皆さんおはようございます。今日で入学から1か月となりますが、今日は新しくこの学園でともに生活する編入生を紹介したいと思います」
ここは1年生のいくつもある教室の1つである。その教室の担当の女性教師がクルスを教室へと招き入れる。クルスは教室の扉を開け、大勢いる1年生を見渡す。
「(見たところ目立って魔力量が高いやつはいないか。おそらく似たような実力の生徒が集まっているんだろう)」
クルスは特に緊張することはなく、軽く挨拶を済ませる。
「それじゃあ、今日が初めてだし一番後ろのあそこに座ってもらおうかな」
クルスは教師の指示で、最後尾の席へと移った。教科書等は昨日の時点で用意されているが、授業内容や進行状況は一切わからないからこその処置だろう。
「(昨日のリリア先輩と同じ腕章をつけている人間はいない、か。おそらく下位層の人間が集まっているな)」
歩くたびに周りの生徒から注目を浴びるも、一切気にせずにつかつかと歩く。そして席に着くと、左側の女子生徒から挨拶を受ける。
「クルス君?だったよね。今日からよろしくね」
隣の水色の髪の少女から挨拶を受ける。クルスはぎこちなくうなづくだけで声を出すことはなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
3つの授業を受け終わって昼休憩となった。授業はすべて講義タイプで、クルスは教師の説明をひたすら聞くだけだったが、
「(さすがに面白くはないな。もちろんわかっていることではあったが)」
3つの授業は基本魔術と歴史関係の授業関係であり、クルスにとって面白味を感じない内容だった。初授業だったため教師から内容について問われることはなかったのも影響している。
「クルス君って、ここの昼ご飯の仕組みって知らないよね。もしよかったら私たちと食べに行かない?」
先ほどクルスに声をかけた女子生徒と、もう1人金髪の女子生徒がクルスに近づいてきた。
「え、とソフィーナだったか?」
「そう、覚えていてくれてたんだね。こっちは私の友達のシオン」
シオンと呼ばれた金髪の女子生徒はクルスのほうを見るや、「ふんっ」とすぐにそっぽ向いてしまった。すぐにソフィーナがシオンをすぐにクルスから遠ざける。
「ごめんね、この子普段からこんな感じで不愛想なの。ただの人見知りだから気にしないでね」
「ちょっ!?私は別に人見知りなんかじゃ」
「はいはい、それじゃあ食べに行こう」
シオンはソフィーナの言葉を否定しようとしたが、すぐにさえぎられてしまった。表情は少し怒り気味に見えるが、それでも素直に同行しているシオンを見て、
「仲がいいんだな」
「うん、もう5年ぐらいの付き合いになるからね」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【マーリン魔導士育成学園】の食堂はかなり広く、専属の料理人が何人も待機しているようで学園の多くの学生が満足に食べれるように配慮されている。
「ここではもらっている学生証をこの機械にかざすことで1日1回分の食事が無料で提供されるっていう仕組みなの」
クルスはソフィーナにそう説明を受けた。同行しているシオンは慣れた手つきで昼食を受け取っている。ソフィーナとクルスも食事を受け取り、席について食べ始めた。
「ところで次に魔術授業があるんだけど、クルス君は先生から特に何も聞いてない?」
「ん?特に説明とか何も聞いてないが」
「そっかー。じゃあクルス君も同じように参加することになるのかな。シオン、この後の授業内容は何だったけ?」
「確か防御魔法の訓練でしょう。どうでもいいわあんな魔法」
クルスはシオンの言葉に少し引っかかりながらも黙々と食べる。食べながらあたりを見渡していると、クラスでは見なかったような高水準の魔力反応がいくつも見られた。
「(やっぱクラスごとに、レベルが違っているみたいだな。実力が大きく離れている奴と同じ授業を受けるのはあんまり効率良くないわな)」
リリアと同じ腕章をつけている学生はクルスから見ても軒並み高い魔力反応を確認できた。中には同じ腕章をつけていても、低く見える者もいたようだ。
「(俺みたいにあえて魔力を消しているのか、それ以外が優秀なのか。初日では何ともわからないところだな)」
色々考えながらクルスは残りの食事も楽しんだ。
夜明けすぐのころ、まだ日が完全には昇っておらず少し薄暗い中クルスは目覚めた。普段は魔物との戦闘があるため体がそこそこ疲れるが、一日まともに体を動かしていないクルスは深い眠りにつけなかった。
右手の平を出して、小さく火の魔法を出す。
「魔力、魔法は特に異常は無いな。今後はこんな感じの生活になってくるかもしれないな」
現状授業に関して詳しいことは判明していないが、いつものような生と死を彷徨うような生活から離れることはある程度想像がつく。
「...まあなるようになるだろう。まだ何もわからないからな」
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「皆さんおはようございます。今日で入学から1か月となりますが、今日は新しくこの学園でともに生活する編入生を紹介したいと思います」
ここは1年生のいくつもある教室の1つである。その教室の担当の女性教師がクルスを教室へと招き入れる。クルスは教室の扉を開け、大勢いる1年生を見渡す。
「(見たところ目立って魔力量が高いやつはいないか。おそらく似たような実力の生徒が集まっているんだろう)」
クルスは特に緊張することはなく、軽く挨拶を済ませる。
「それじゃあ、今日が初めてだし一番後ろのあそこに座ってもらおうかな」
クルスは教師の指示で、最後尾の席へと移った。教科書等は昨日の時点で用意されているが、授業内容や進行状況は一切わからないからこその処置だろう。
「(昨日のリリア先輩と同じ腕章をつけている人間はいない、か。おそらく下位層の人間が集まっているな)」
歩くたびに周りの生徒から注目を浴びるも、一切気にせずにつかつかと歩く。そして席に着くと、左側の女子生徒から挨拶を受ける。
「クルス君?だったよね。今日からよろしくね」
隣の水色の髪の少女から挨拶を受ける。クルスはぎこちなくうなづくだけで声を出すことはなかった。
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3つの授業を受け終わって昼休憩となった。授業はすべて講義タイプで、クルスは教師の説明をひたすら聞くだけだったが、
「(さすがに面白くはないな。もちろんわかっていることではあったが)」
3つの授業は基本魔術と歴史関係の授業関係であり、クルスにとって面白味を感じない内容だった。初授業だったため教師から内容について問われることはなかったのも影響している。
「クルス君って、ここの昼ご飯の仕組みって知らないよね。もしよかったら私たちと食べに行かない?」
先ほどクルスに声をかけた女子生徒と、もう1人金髪の女子生徒がクルスに近づいてきた。
「え、とソフィーナだったか?」
「そう、覚えていてくれてたんだね。こっちは私の友達のシオン」
シオンと呼ばれた金髪の女子生徒はクルスのほうを見るや、「ふんっ」とすぐにそっぽ向いてしまった。すぐにソフィーナがシオンをすぐにクルスから遠ざける。
「ごめんね、この子普段からこんな感じで不愛想なの。ただの人見知りだから気にしないでね」
「ちょっ!?私は別に人見知りなんかじゃ」
「はいはい、それじゃあ食べに行こう」
シオンはソフィーナの言葉を否定しようとしたが、すぐにさえぎられてしまった。表情は少し怒り気味に見えるが、それでも素直に同行しているシオンを見て、
「仲がいいんだな」
「うん、もう5年ぐらいの付き合いになるからね」
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【マーリン魔導士育成学園】の食堂はかなり広く、専属の料理人が何人も待機しているようで学園の多くの学生が満足に食べれるように配慮されている。
「ここではもらっている学生証をこの機械にかざすことで1日1回分の食事が無料で提供されるっていう仕組みなの」
クルスはソフィーナにそう説明を受けた。同行しているシオンは慣れた手つきで昼食を受け取っている。ソフィーナとクルスも食事を受け取り、席について食べ始めた。
「ところで次に魔術授業があるんだけど、クルス君は先生から特に何も聞いてない?」
「ん?特に説明とか何も聞いてないが」
「そっかー。じゃあクルス君も同じように参加することになるのかな。シオン、この後の授業内容は何だったけ?」
「確か防御魔法の訓練でしょう。どうでもいいわあんな魔法」
クルスはシオンの言葉に少し引っかかりながらも黙々と食べる。食べながらあたりを見渡していると、クラスでは見なかったような高水準の魔力反応がいくつも見られた。
「(やっぱクラスごとに、レベルが違っているみたいだな。実力が大きく離れている奴と同じ授業を受けるのはあんまり効率良くないわな)」
リリアと同じ腕章をつけている学生はクルスから見ても軒並み高い魔力反応を確認できた。中には同じ腕章をつけていても、低く見える者もいたようだ。
「(俺みたいにあえて魔力を消しているのか、それ以外が優秀なのか。初日では何ともわからないところだな)」
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