魔物殲滅軍上がりの少年は魔導士育成学園で無双する

Miiya

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序章

第3話

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学園長、ノノが魔圧をクルスに飛ばしていたがクルスは特に問題なさそうな表情をしている。

「学園長、この魔圧は並大抵の人間には耐えきれるものではないと思うんですが?」

クルスは身動ぎ一つせずにノノにそう問いかける。その様子にキースの目には、一学生ではなく歴戦の魔導士に見えていた。

すると、笑みを浮かべてノノはクルスに放っていた魔圧を消した。そして軽く拍手をする。

「いや~ごめんね。軍所属ってことでどのくらい強いのか見てみたかったんだ。悪ふざけが過ぎたね」

「学園長、悪ふざけのレベルではすまないですよ。クルス君が言った通り、並みの学生相手であればよくても魔力崩壊、下手をすれば死の危険性すらありますよ」

「もちろん、彼が並みの学生ではないということを頭に入れていたから試してみただけだ」

そういうと、今まで腕を組んで座っていたノノが立ち上がり、クルスの前で止まるとその場で頭を下げる。

「さっきも言ったが、悪ふざけがすぎた。もし気に入らないのであればこの場で私の首をとってもらって構わない。君にはそうする権利がある」

クルスは驚愕の表情を浮かべた。今まで子供のような無邪気さを見せていたが、今は魔力も一切なくし冷静に頭を下げるというギャップの大きさ故である。

「本来はあなたのことを処すべきなんでしょう。でも俺はあなたの首をとることに興味は一切ない。なんで今回のことも特に気にしていません。ただのいたずらです」

クルスは何もする気はないとアピールする。そして、深々頭を下げていたノノは上げると、子供のような無邪気な表情を見せる。

「そういってくれるとありがたい。君に何かあった時には、学園長としての最大限のサポートをさせていただく」

「ありがとうございます、ではこの辺でいいですかね」

「うむ、いろいろと騒がしくし申し訳なかったな。リリア、彼を学生寮に案内してくれたまえ」

「かしこまりました。ではクルス君、こちらへ」

クルスはリリアに案内され、学園長の部屋を出て行った。そして部屋にはノノとキースの2人っきりになった。ノノが席に座ると、大きく笑い始めた。

「んふふふふふ、はははははは」

「い、一体どうされたのですか?学園長」

「いやいや今年入学したもだが、今年の新入生はいろいろとおかしいやつらが多いな。私のあの魔圧を平然と耐えきれるなんて思いもしなかったぞ」

「(相変わらず師匠のこういうところが怖いな。驚いているが、そもそもそういった人材にすぐに学園に入れようとしているのは。驚きは本当なんだろうけど、それと同じぐらいに楽しみが並んでいて、ある種スリルのようなものを味わっている)」

しばらく笑っていたノノであるが、笑い終えると冷静な表情に戻る。椅子に深く腰を掛けると、

「さて、クルス君に関してはキースがなるべく目をかけてくれ。あれだけの実力者だ、他生徒と問題に巻き込まれかねない」

「そうですね、教師として一生徒に執着するのは好ましくないですが。学園長自ら動くことはないんでしょうか?」

「そうね、今のところその予定はないかな。今の彼の実力がこの学園でどこまで通用するのか見てみたいからね。それに私は上級生の対応もあるからそこまで目をかけることはできないかな」

ノノは学園全体を管理することは当然、特にレベルの高い上級生に対しての指導も行っている。それゆえに、下級生、ましてや新入生に対応することはまずない。

「改めて考えると、出自が不明な彼が突然現れるとなると他生徒からあまりいいようには見えないですね。今でこそ貴族主義の考えは減ってきていますが」

「そうだな、そこが私が特に危惧しているところだ。もちろん可能性の話ではあるが、貴族ともなれば何か問題が起これば、彼の所属している軍にまで話が拡散しかねない」

ノノは1枚の紙をキースに見せる。そこにはとある新入生に関連した報告が記載されていた。

「これは、例の銀翼に関してですか」

「ああ、簡単に言えば銀翼のことが気に入らない貴族の息子がちょっかいをかけたって話。返り討ちを受けて親に泣きついた結果こうして問題となった」

この件に関して言えば、貴族側の言いがかりにすぎず銀翼の非はほとんどなかったため貴族側のみがペナルティを受けることとなった。

「クルス君にも似たようなことが起こってしまうとお考えで?」

「あくまで可能性だがな。クルス君にしろ銀翼にしろ、私たちはまだまだ彼らに関して知らなさすぎる。いずれ私だけの手には負えないような問題も起きるかもしれない」

「師匠で手に負えないというのは想像しにくい話ですが」

「これは私の勘に過ぎないさ。さて、キースも残っている仕事があるだろう長時間拘束して済まなかった」

ノノはキースを部屋から追い出すと、再びにたにたと笑い始めた。
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