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序章
第1話
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「クルス、本部から命令で軍役の任が解かれることとなった」
魔物殲滅軍【リベルオル】、世界中で生息し人類の危機を脅かす存在である【魔物】を殲滅し平和を維持し続ける部隊である。私営軍隊ではなく、国家が管理しており軍隊での活躍次第では後に爵位を与えられることもあり、人類を守るという意味で非常に責任があると同時に人気もある。
そんなリベルオルで異例中の異例とも呼べる存在である15歳の少年、クルス=サングエ。リベリオルの平均年齢は34歳、若くても20歳前後であるがクルスは7歳にしてすでに軍役についていた。そんな彼が突然上司である軍隊長、シリウスからそう告げられた。
「俺何か問題でも起こしましたか?そこまでの重大なミスはしていないと思うんですが」
「理由としては、【マーリン魔導士育成学園】へ編入のためだそうだ」
【マーリン魔導士育成学園】、ここでは将来魔物を殲滅する魔導士を育成する学校の1つである。数ある育成学校の中でも圧倒的に高い教育水準を誇っており、【リベリオル】に所属している者で【マーリン魔導士育成学園】出身者も少なくない。
「でも俺はすでに魔物と戦えるんで今更通う必要はないと思うんですけどね」
「本部長にも考えがあってのことだろう。ここは素直に従っておけ」
クルスはすでに8年間魔物と戦い続け、時には生死をさまよいかけたこともあったが何とか生き残り続けられている。実力も軍役を続けられるぐらいには持っている。
そこがクルスは一番引っかかっていたのだ。理由が不鮮明で、現実的である『成長』という観点で考えたとしても8年も戦場で戦えば十分に実力は備わっていると認識される。
「3日後には移動みたいだから荷物はまとめておけ...いやその必要はないか」
「ええ、つい昨日に部隊改変の連絡が入っていたんで、ある程度荷物はまとめてありますよ。こういうことだったんですね」
クルスはしてやられた、といった表情をしている。数年に一度隊員の移動や場所の移動などによって部隊が改変されることがある。
「まあ連絡事項は以上だ、遅れが出ないように準備は早めに進めておくようにな」
「了解です」
クルスは部屋を離れた。クルスの対応をしていたシリウスが1つ息を吐くと
「こんな感じで大丈夫でしたか?」
「ああ、問題なかった」
シリウス1人しかいなかったはずの部屋に突然謎の男が現れた。
「あいつを戦線から離脱させるなんて一体どういうおつもりなんですか?本部長、あいつの実力なら十分に戦えますし、今更学園に通わせる必要性はないと思うんですが」
謎の男は、シリウスとクルスとの会話でも話題になっていた魔物殲滅軍【リベリオル】の本部長、ダークだった。ダークはにやりと笑い、
「奴の実力は俺自身も重々承知しているし、その上で学園への編入を斡旋した」
「一体何が目的なんですか?」
シリウスはダークの考えていることがますますわからなくなった。
「魔導士学園は何も魔物に対する戦闘だけを教えるわけではない。クルスは戦闘力は高いが、それ以外の能力、統率力だったりコミュニケーション能力といったところがまだまだ未熟だな」
シリウスはダークの言葉を聞いて素直に関心する。ただ魔物を倒しという意味では上記の能力はそこまで必要とされることは少ないが、【リベリオル】という組織で活動していくことを考えれば他の隊員との連携などで必要とされる可能性は高い。
「それにあいつはまだ15歳、成人にもなってないのに地獄のような環境で8年も戦い続けている。少しは年相応の楽しさを味わってもらいたいんだよ」
「本部長の考えはわかりましたよ。とはいえ、よく学園側も編入を受け入れましたね。【リベリオル】所属の少年ってだけで相当異例でしょう。扱いにくいと思うんですが」
魔導士育成学園は、本来は魔物と対抗する術を学ぶ場所である。そのためある程度他生徒とアドバンテージが生じうるのではないかとシリウスは危惧する。
「俺もその辺はどう説得するか考えていたが、向こうの学園長は特に何も言ってこなかったな。何かしらの利益があるんだろう」
ダークはシリウスに数枚の書類を渡した。そこには今度は言ってくる新人隊員の情報が記載されていた。
「自分の担当する区域の新人ですか。3人もこっちで抱えるんですね」
「クルスもいなくなって少なからず戦力は減少しているんだ。すぐ使えるようにしっかり叩き込んでくれよ」
「了解しました。それではお先に失礼します」
シリウスは部屋を出ると、新人の書類に目を通し始め今後どういった方針で進めていくかを模索した。ダークはシリウスがいなくなったのを確認し、深く椅子に腰かけた。
「...さて、クルスはどう成長して戻ってくるか非常に楽しみだな。8年間の戦場での経験が学園でどう活かされるかも気になるところだな」
ダークは不敵に笑う。
魔物殲滅軍【リベルオル】、世界中で生息し人類の危機を脅かす存在である【魔物】を殲滅し平和を維持し続ける部隊である。私営軍隊ではなく、国家が管理しており軍隊での活躍次第では後に爵位を与えられることもあり、人類を守るという意味で非常に責任があると同時に人気もある。
そんなリベルオルで異例中の異例とも呼べる存在である15歳の少年、クルス=サングエ。リベリオルの平均年齢は34歳、若くても20歳前後であるがクルスは7歳にしてすでに軍役についていた。そんな彼が突然上司である軍隊長、シリウスからそう告げられた。
「俺何か問題でも起こしましたか?そこまでの重大なミスはしていないと思うんですが」
「理由としては、【マーリン魔導士育成学園】へ編入のためだそうだ」
【マーリン魔導士育成学園】、ここでは将来魔物を殲滅する魔導士を育成する学校の1つである。数ある育成学校の中でも圧倒的に高い教育水準を誇っており、【リベリオル】に所属している者で【マーリン魔導士育成学園】出身者も少なくない。
「でも俺はすでに魔物と戦えるんで今更通う必要はないと思うんですけどね」
「本部長にも考えがあってのことだろう。ここは素直に従っておけ」
クルスはすでに8年間魔物と戦い続け、時には生死をさまよいかけたこともあったが何とか生き残り続けられている。実力も軍役を続けられるぐらいには持っている。
そこがクルスは一番引っかかっていたのだ。理由が不鮮明で、現実的である『成長』という観点で考えたとしても8年も戦場で戦えば十分に実力は備わっていると認識される。
「3日後には移動みたいだから荷物はまとめておけ...いやその必要はないか」
「ええ、つい昨日に部隊改変の連絡が入っていたんで、ある程度荷物はまとめてありますよ。こういうことだったんですね」
クルスはしてやられた、といった表情をしている。数年に一度隊員の移動や場所の移動などによって部隊が改変されることがある。
「まあ連絡事項は以上だ、遅れが出ないように準備は早めに進めておくようにな」
「了解です」
クルスは部屋を離れた。クルスの対応をしていたシリウスが1つ息を吐くと
「こんな感じで大丈夫でしたか?」
「ああ、問題なかった」
シリウス1人しかいなかったはずの部屋に突然謎の男が現れた。
「あいつを戦線から離脱させるなんて一体どういうおつもりなんですか?本部長、あいつの実力なら十分に戦えますし、今更学園に通わせる必要性はないと思うんですが」
謎の男は、シリウスとクルスとの会話でも話題になっていた魔物殲滅軍【リベリオル】の本部長、ダークだった。ダークはにやりと笑い、
「奴の実力は俺自身も重々承知しているし、その上で学園への編入を斡旋した」
「一体何が目的なんですか?」
シリウスはダークの考えていることがますますわからなくなった。
「魔導士学園は何も魔物に対する戦闘だけを教えるわけではない。クルスは戦闘力は高いが、それ以外の能力、統率力だったりコミュニケーション能力といったところがまだまだ未熟だな」
シリウスはダークの言葉を聞いて素直に関心する。ただ魔物を倒しという意味では上記の能力はそこまで必要とされることは少ないが、【リベリオル】という組織で活動していくことを考えれば他の隊員との連携などで必要とされる可能性は高い。
「それにあいつはまだ15歳、成人にもなってないのに地獄のような環境で8年も戦い続けている。少しは年相応の楽しさを味わってもらいたいんだよ」
「本部長の考えはわかりましたよ。とはいえ、よく学園側も編入を受け入れましたね。【リベリオル】所属の少年ってだけで相当異例でしょう。扱いにくいと思うんですが」
魔導士育成学園は、本来は魔物と対抗する術を学ぶ場所である。そのためある程度他生徒とアドバンテージが生じうるのではないかとシリウスは危惧する。
「俺もその辺はどう説得するか考えていたが、向こうの学園長は特に何も言ってこなかったな。何かしらの利益があるんだろう」
ダークはシリウスに数枚の書類を渡した。そこには今度は言ってくる新人隊員の情報が記載されていた。
「自分の担当する区域の新人ですか。3人もこっちで抱えるんですね」
「クルスもいなくなって少なからず戦力は減少しているんだ。すぐ使えるようにしっかり叩き込んでくれよ」
「了解しました。それではお先に失礼します」
シリウスは部屋を出ると、新人の書類に目を通し始め今後どういった方針で進めていくかを模索した。ダークはシリウスがいなくなったのを確認し、深く椅子に腰かけた。
「...さて、クルスはどう成長して戻ってくるか非常に楽しみだな。8年間の戦場での経験が学園でどう活かされるかも気になるところだな」
ダークは不敵に笑う。
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