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第10話 服をもらう

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「ピー♪」

「プ二プーニ♪」

「ふー、ごちそうさまでした」

トーマたちはアリーの絶品料理に舌鼓を打っていた。特にルルはもくもくと食べていてアリーやべラスは目をうたがうようなしぐさをしてた。

「こんなにルルって食べてたかな」

トーマはふとルルの食事量に疑問に感じた。実家で初めてハーピーの姿でご飯を食べた時も普通ぐらいの量だったが今日はもすごく食べてた。

「そういえば服はあるのかい?」

「いえ、明日買いに行くかなーぐらいにしか」

「なんだって!女の子が服を変えれないなんてかわいそうじゃないか」

アリーはルルの服を見てそんなことを思った。体に汚れは少ないが服には森でついたと思われる泥だったり砂があったのだ。

「ちょっと待ってな」

アリーはリビングから別室のほうに向かった。ルルは何が起きたの?と首をかしげている。

「すまないな、アリーは服のこととなると周りが見えなくなるんだよ」

「ん?どういうことですか」

「待ってればすぐにわかる」

トーマはべラスにも言われた通りに待ってるとドシドシと走ってくる音が聞こえてきた。

「はい!これルルに着させてもいいかい?」

なんとアリーが持ってきたものは女物の洋服だった。しかもサイズは子供サイズ。ピンクを基調としており白が散りばめられてる。

「ちょっと着させてもいいかい?」

「俺は構わないですが、ルルはいいか?」

「ピー♪」

ルルは元気よく羽をあげる。そしてもともと着ていた服を脱ぎ始める。

「わわっ!!ルルちゃん男の人の前で脱いじゃ...ええ!?」

ソフィアは急に脱ぎ始めたルルを止めようとしたがルルの体を見て驚愕した。何とルルの胸部から足の付け根、服に覆われていた箇所が羽毛に覆われていたのだ。

「ピッピー♪」

「はあ、ちゃんとしつけないとな」

トーマはルルの行動にまた頭を悩ますことになった。まだまだ子供の動きはたくさんあるんだなー、と。

「まあいいさ。ルルちょっと羽を...って袖が通らないね。」

「ピー...」

「しかないね、とりあえずこの大きめのエプロンをつけておきな」

「ピー♪」

ルルの羽は大きいわけではないがそれでも人間の腕に比べれば明らかに大きい。袖をっと必要がないエプロンでしのぐことになった。ルルはアリーのにおいが心地いいのかエプロンを持って嗅いでいた。

「やめなよ、恥ずかしいじゃないか」

「まあ落ち着けよ。子供がやることなんだから」

~~~~~~~~~~~~~~~~~

「ここに部屋があるからここを使ってくれ。ベッドとかは無いから今日はシーツとかで我慢してくれ」

「そうですね」

「プニー!!」

「どうしたのレイちゃん?」

べラスとトーマが話している中レイちゃんが触手を伸ばしてトーマの服の裾をちょいちょいと引っ張る。するとレイちゃんは体を伸ばし始めた。

「レイちゃん!?ってルル上に乗ったら...あれ?」

レイちゃんがクッションのようになったその姿を見てぴょーんと乗っかり始める。トーマはこの時フォレストウルフを解体した光景がフラッシュバックとしてよぎった。止めようとしたが、

ぽいーんぽいーん

「ピーピー♪」

「プーニプーニ♪」

「本当にクッションみたいになってる。吸収されないんだ」

「本当にお前の従魔は規格外だな」

「そうですね」

トーマはさすがレイちゃんと納得してレイちゃんの上に乗っかる。トーマが乗っかるということでレイちゃんはさらに体を広げてトーマも乗れるサイズにまで広がった。

「どうやってこんなに大きくなったんだろうな」

レイちゃんのいつものサイズはバスケボールくらいの大きさ。しかし今のレイちゃん人2人ぐらいのサイズはある。

「ルルちゃん!一緒寝ない!..ってどういうこと!?」

「一緒に寝るのはやめときな」

ルルは疲れが出ていたのかトーマの肩に倒れこんで寝ていた。トーマはそのルルの頭をなでている。レイちゃんも触手を伸ばして落ちないようにルルの腰部を抑えてる。

~~~~~~~~~~~~~~~~~

「うーーん、レイちゃんおはよう」

トーマもなるべく起きていたがそれでもレイちゃんの寝心地の良さには敵うはずもなく寝てしまっていた。起きるとレイちゃんも触手を伸ばして挨拶する。

「ルルをよろしくね。俺は一旦一階に降りるね」

レイちゃんのベッドでまだ寝ているルルを起こさないように声をかけレイちゃんも静かに触手あげる。ルルの熟睡は相当なものなのかトーマが立ち上がる際に多少の揺れがあったにもかかわらず起きなかった。

「おはようございます、って何ですこの服の量は!?」

まだ寝ぼけながら降りてきたトーマはアリーがいるリビングのほうに入るとそこにはかなりの量の服が置いてありリーの手にもまだ製作段階の服があった。

「まだ言ってなかったね、うちは服を扱ってるんだ」

「だから昨日ルルの服を渡そうとしたんですね」

「ああ、だけどあの時は夢中になってて羽があることを思い出したんだ。それで夜ルルにも着れる服をこしらえたんだ」

トーマは置いてある服に目を向ける。一見ただの服に見えるがよく見ると袖やわき腹部分にはチャックが大量に施されてた。袖を通さずに着るためだ。大きさもルルにあっている。

「トーマの服はそこに置いてあるからあれを着ておくれ」

「ありがたいんですがいいんですか?」

「べつにいいさ、何度も言ってるけどあんたたちは命の恩人なんだ。これぐらいお礼をしたって罰は当たらないよ」

トーマはアリーの言葉に苦笑しながらも感謝しつつ服を手に取る。



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