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序章
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ここは、異世界【アデリオン】。魔法が発達した世界で、人間や動物以外に魔物も存在しており、長年にわたって人間と魔物は対立関係にある。
しかし、ここ数年人間側の勢力が弱くなってきており、魔物の生息圏が拡大しつつある。そこで、人間の王は別世界から特別な能力を有した人間を召喚することにして、魔物に対抗することにした。そして4名の勇者が召喚され、物語は始まる。
「...ここは?」
日本では見ることのない、西洋風の王宮に4人の日本人が突然召喚された。あたりを見渡す青年、伊藤蒼真。彼は混乱している頭で、必死にこの状況を理解しようとした。
誰も声を発さぬ緊張感の中、玉座に腰を掛けている男が声を発した。
「よく来た、勇者諸君」
蒼真と召喚されたほか3名が一斉に声がした玉座のほうに目を向けた。周りにいる騎士やメイドなどが即座に玉座の男に跪いた。
「わしは、レイモンド=ベルリオン、人間が住む大国【パイラント】の王である」
「王様、僕たちは一体どうしてここにいるのでしょうか?」
蒼真のすぐ右隣りにいた青年がそう疑問をぶつける。
「ほう、この状況ですぐに質問ができるか。貴様、名を申せ」
「僕は赤井誠二といいます」
赤井誠二と名乗った青年をすぐに王にそう答えた。すると、すぐに近くで控えていた騎士が剣を突き立てる。
「貴様、王に向かってその態度はなんだ!!王に言葉を発するときは、その場で跪いておこなうものだ」
誠二はその場で立ったまま答えたため、それに激怒しているようだ。
「黙れ!!!!」
刹那、王宮全体に響き渡るような大きな声で、レイモンドが怒号を上げた。先ほど誠二に剣を向けた騎士は腰が抜けたようでその場で座り込んでしまったようだ。
「ふん、突然何もわからぬ場所に飛ばされのだ、立ち振る舞いが出来なくて当然」
レイモンドは指を騎士に指すと、周りにいた騎士たちに取り押さえられてしまった。
「さて、なぜ貴様たちがここにいるのか、という質問だったな。簡潔に言おう、主らにこの国を救ってほしいのだ」
そこから詳しい説明が行われた。現在敵対関係にある魔物たちの生息圏が拡大しつつあり、それは【パイラント】にも及びつつある。このままでは【パイラント】そのものが魔物たちに襲われてしまう可能性が高い。
そこで、別世界から特別な能力を有した人間を召喚した。その結果、この王宮に召喚された。召喚されたのは、赤井誠二、縁堂竜彦、九重黒歌、そして伊藤蒼真の4名。
「これより、主らの能力を鑑定する」
近くに深くローブを羽織った老婆が4人に近寄り、それぞれに魔法をかけていく。そして最後に蒼真の番となり蒼真にも3名と同じように魔法をかけた。
「な、なんじゃと!?」
老婆は、蒼真の鑑定の結果をすぐさまレイモンドに周りに聞こえないように伝えた。レイモンドは一瞬ピクリと眉が動いたが、すぐにいつもの表情に戻り、
「いきなり召喚されて疲れているところもあるだろう。一度休息をとるといい」
レイモンドは4人をそれぞれ別々の部屋に案内するように、周りの騎士たちに指示を出した。誠二、竜彦、黒歌の3名は2人の騎士による案内であったが、蒼真だけはレイモンドと魔法使いに見える女性も付き添っている。
案内された場所は、とても休憩するような場所ではなく独房のような部屋に案内された。
「さて、突然で悪いが貴様にはここから出て行ってもらう」
「は!?どういうことだよ」
蒼真は当然怒りをあらわにする。ただでさえ訳も分からず呼び出されたあげく、理由なく出て行けと言われれば起こるのはもっともだ。
「貴様の能力の鑑定結果だが、不明と出たのだ。不安材料の塊である貴様を置いておくほどこちらも余裕はない」
「は?だとしても無責任にもほどがあるだろ」
「貴様が何を言おうとここでは何も意味を成さない。それは貴様がこの世界においては何も持たない存在だからだ」
蒼真は逃げようと出口のほうに走ったが、すぐに騎士たちに抑えられてしまう。
「せっかくだ、記念に魔法とはどういうものか見てもらおうか」
レイモンドが合図を送ると、近くの魔法使いの女が魔法陣をその場に出すと魔法で作られた縄で拘束されてしまった。
「それでは何も持たぬ勇者よ、さらばだ」
突如、蒼真の足もとに大きな魔法陣が浮かび上がった。そして光が蒼真を包み込んでいく。蒼真は、もう反抗する余地はないと感じてしまった。
「俺は絶対にここに戻ってくるからな!!」
蒼真は最後の叫びとともに、その場から光とともに消えてしまった。
「さて、廃棄は済んだか。すぐにほかの勇者の育成に入るぞ」
レイモンドは残りの3人の勇者の育成に移行した。しかし、ここで蒼真を手放したことをのちに後悔することになってしまうのかもしれない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
王宮から追放されてしまった蒼真は、どこかわからない森の中に飛ばされてしまったようだ。絶望してしまいそうな状況である。それでも、先が全く見えない道を蒼真は歩いていく。
しかし、ここ数年人間側の勢力が弱くなってきており、魔物の生息圏が拡大しつつある。そこで、人間の王は別世界から特別な能力を有した人間を召喚することにして、魔物に対抗することにした。そして4名の勇者が召喚され、物語は始まる。
「...ここは?」
日本では見ることのない、西洋風の王宮に4人の日本人が突然召喚された。あたりを見渡す青年、伊藤蒼真。彼は混乱している頭で、必死にこの状況を理解しようとした。
誰も声を発さぬ緊張感の中、玉座に腰を掛けている男が声を発した。
「よく来た、勇者諸君」
蒼真と召喚されたほか3名が一斉に声がした玉座のほうに目を向けた。周りにいる騎士やメイドなどが即座に玉座の男に跪いた。
「わしは、レイモンド=ベルリオン、人間が住む大国【パイラント】の王である」
「王様、僕たちは一体どうしてここにいるのでしょうか?」
蒼真のすぐ右隣りにいた青年がそう疑問をぶつける。
「ほう、この状況ですぐに質問ができるか。貴様、名を申せ」
「僕は赤井誠二といいます」
赤井誠二と名乗った青年をすぐに王にそう答えた。すると、すぐに近くで控えていた騎士が剣を突き立てる。
「貴様、王に向かってその態度はなんだ!!王に言葉を発するときは、その場で跪いておこなうものだ」
誠二はその場で立ったまま答えたため、それに激怒しているようだ。
「黙れ!!!!」
刹那、王宮全体に響き渡るような大きな声で、レイモンドが怒号を上げた。先ほど誠二に剣を向けた騎士は腰が抜けたようでその場で座り込んでしまったようだ。
「ふん、突然何もわからぬ場所に飛ばされのだ、立ち振る舞いが出来なくて当然」
レイモンドは指を騎士に指すと、周りにいた騎士たちに取り押さえられてしまった。
「さて、なぜ貴様たちがここにいるのか、という質問だったな。簡潔に言おう、主らにこの国を救ってほしいのだ」
そこから詳しい説明が行われた。現在敵対関係にある魔物たちの生息圏が拡大しつつあり、それは【パイラント】にも及びつつある。このままでは【パイラント】そのものが魔物たちに襲われてしまう可能性が高い。
そこで、別世界から特別な能力を有した人間を召喚した。その結果、この王宮に召喚された。召喚されたのは、赤井誠二、縁堂竜彦、九重黒歌、そして伊藤蒼真の4名。
「これより、主らの能力を鑑定する」
近くに深くローブを羽織った老婆が4人に近寄り、それぞれに魔法をかけていく。そして最後に蒼真の番となり蒼真にも3名と同じように魔法をかけた。
「な、なんじゃと!?」
老婆は、蒼真の鑑定の結果をすぐさまレイモンドに周りに聞こえないように伝えた。レイモンドは一瞬ピクリと眉が動いたが、すぐにいつもの表情に戻り、
「いきなり召喚されて疲れているところもあるだろう。一度休息をとるといい」
レイモンドは4人をそれぞれ別々の部屋に案内するように、周りの騎士たちに指示を出した。誠二、竜彦、黒歌の3名は2人の騎士による案内であったが、蒼真だけはレイモンドと魔法使いに見える女性も付き添っている。
案内された場所は、とても休憩するような場所ではなく独房のような部屋に案内された。
「さて、突然で悪いが貴様にはここから出て行ってもらう」
「は!?どういうことだよ」
蒼真は当然怒りをあらわにする。ただでさえ訳も分からず呼び出されたあげく、理由なく出て行けと言われれば起こるのはもっともだ。
「貴様の能力の鑑定結果だが、不明と出たのだ。不安材料の塊である貴様を置いておくほどこちらも余裕はない」
「は?だとしても無責任にもほどがあるだろ」
「貴様が何を言おうとここでは何も意味を成さない。それは貴様がこの世界においては何も持たない存在だからだ」
蒼真は逃げようと出口のほうに走ったが、すぐに騎士たちに抑えられてしまう。
「せっかくだ、記念に魔法とはどういうものか見てもらおうか」
レイモンドが合図を送ると、近くの魔法使いの女が魔法陣をその場に出すと魔法で作られた縄で拘束されてしまった。
「それでは何も持たぬ勇者よ、さらばだ」
突如、蒼真の足もとに大きな魔法陣が浮かび上がった。そして光が蒼真を包み込んでいく。蒼真は、もう反抗する余地はないと感じてしまった。
「俺は絶対にここに戻ってくるからな!!」
蒼真は最後の叫びとともに、その場から光とともに消えてしまった。
「さて、廃棄は済んだか。すぐにほかの勇者の育成に入るぞ」
レイモンドは残りの3人の勇者の育成に移行した。しかし、ここで蒼真を手放したことをのちに後悔することになってしまうのかもしれない。
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王宮から追放されてしまった蒼真は、どこかわからない森の中に飛ばされてしまったようだ。絶望してしまいそうな状況である。それでも、先が全く見えない道を蒼真は歩いていく。
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