3 / 4
第3話 追い出される
しおりを挟む
「ん?そろそろ戻ってくるか」
「意外と静かだったね。ヤマタノオロチのときとかなかなかうるさかったんだけどな」
「でもいいじゃないですか、もしかしたらかわいらしい子が授かったのかもしれないですよ」
「まあかわいいかはともかく強くなくてはな。でないとこのエノヴァ家の名誉にかかる」
「戻ってきたよ!!」
俺は地下の大聖堂から二匹を連れて戻ってきた。少しハーピーの子を連れてくるのに時間がかかったが。
「おお、本当に2匹授かってるじゃない、それにかわいらしいわね」
そういうのは母さん。しかし父さんと兄さんは苦虫を噛み潰したような表情だ。
「どうかしました?アルスはかつてないことを成し遂げたではありませんか」
「ああ、確かにかつてないほど弱いモンスターを授かった」
「嘘だろ、アルス?悪い冗談はよせよ。本当の授かったモンスターを見せてくれ。それかもしかして変化の魔法でも使わせてるのか?」
「え、何を言ってるの兄さん?」
普段あまり冗談をいうことのない兄さんがそんなことを言うって。
「そうだぞ、いくら何でも冗談が過ぎる。ささ、早く真のテイムモンスターを見せなさい」
「父さんも何を言ってるの。俺のテイムモンスターならこのハーピーとスライムに決まってるじゃないか」
「アルス!!!」
「ひっ!?」
父さんが今にも殺しそうな形相で恐怖でしかない声で叫んだ。母さんは思わず驚いてしまいしりもちをついた。
「なんでお前はそんなことをしてしまうんだ。なぜなんだ」
「アルス、お前はとんでもないことをしたな」
父さんだけでなく兄さんまで冷たい表情でそう言う。なにがいけないんだ。
「そのハーピーからなにかしらの特殊な魔力を一切感じない。スライムに至ってはもはや何もないじゃないか。なんでこんな雑魚モンスターを授かったんだ」
「そんな、なんでそんなこと...」
「黙れ!!もうお前はエノヴァ家の人間ではない。即刻この家から出ていけ。もうエノヴァ家を名乗らせない」
「なんでだよ!?そんなのかわいそうだよ」
「もうお前はこの家の人間じゃない。すぐに立ち去れ!!」
「くそ!!なんなんだよ皆!?」
俺は急いで部屋に向かった。おそらく父さんは何が何でも俺を追い出す。せめて荷物だけでも確保しておかないと。
「早く何かを取っておかないと」
部屋にある使えそうなものは少ない。麻袋とお金だけが持ってく限界だった。
「アルス!?何をしている!!」
そう、父さんが血眼で俺を追い出そうとしている。
「じゃあね、みんな」
俺は憤りを感じながらも少しさびしさも感じながらそう答えて家を出た。しかし父さんの顔色が変わることはなかった。この人は本気だ。それは今まで一緒に生活していたからよくわかる。
こうしてエノヴァ家から1人の名が消えた。
「意外と静かだったね。ヤマタノオロチのときとかなかなかうるさかったんだけどな」
「でもいいじゃないですか、もしかしたらかわいらしい子が授かったのかもしれないですよ」
「まあかわいいかはともかく強くなくてはな。でないとこのエノヴァ家の名誉にかかる」
「戻ってきたよ!!」
俺は地下の大聖堂から二匹を連れて戻ってきた。少しハーピーの子を連れてくるのに時間がかかったが。
「おお、本当に2匹授かってるじゃない、それにかわいらしいわね」
そういうのは母さん。しかし父さんと兄さんは苦虫を噛み潰したような表情だ。
「どうかしました?アルスはかつてないことを成し遂げたではありませんか」
「ああ、確かにかつてないほど弱いモンスターを授かった」
「嘘だろ、アルス?悪い冗談はよせよ。本当の授かったモンスターを見せてくれ。それかもしかして変化の魔法でも使わせてるのか?」
「え、何を言ってるの兄さん?」
普段あまり冗談をいうことのない兄さんがそんなことを言うって。
「そうだぞ、いくら何でも冗談が過ぎる。ささ、早く真のテイムモンスターを見せなさい」
「父さんも何を言ってるの。俺のテイムモンスターならこのハーピーとスライムに決まってるじゃないか」
「アルス!!!」
「ひっ!?」
父さんが今にも殺しそうな形相で恐怖でしかない声で叫んだ。母さんは思わず驚いてしまいしりもちをついた。
「なんでお前はそんなことをしてしまうんだ。なぜなんだ」
「アルス、お前はとんでもないことをしたな」
父さんだけでなく兄さんまで冷たい表情でそう言う。なにがいけないんだ。
「そのハーピーからなにかしらの特殊な魔力を一切感じない。スライムに至ってはもはや何もないじゃないか。なんでこんな雑魚モンスターを授かったんだ」
「そんな、なんでそんなこと...」
「黙れ!!もうお前はエノヴァ家の人間ではない。即刻この家から出ていけ。もうエノヴァ家を名乗らせない」
「なんでだよ!?そんなのかわいそうだよ」
「もうお前はこの家の人間じゃない。すぐに立ち去れ!!」
「くそ!!なんなんだよ皆!?」
俺は急いで部屋に向かった。おそらく父さんは何が何でも俺を追い出す。せめて荷物だけでも確保しておかないと。
「早く何かを取っておかないと」
部屋にある使えそうなものは少ない。麻袋とお金だけが持ってく限界だった。
「アルス!?何をしている!!」
そう、父さんが血眼で俺を追い出そうとしている。
「じゃあね、みんな」
俺は憤りを感じながらも少しさびしさも感じながらそう答えて家を出た。しかし父さんの顔色が変わることはなかった。この人は本気だ。それは今まで一緒に生活していたからよくわかる。
こうしてエノヴァ家から1人の名が消えた。
0
お気に入りに追加
191
あなたにおすすめの小説
異世界で俺はチーター
田中 歩
ファンタジー
とある高校に通う普通の高校生だが、クラスメイトからはバイトなどもせずゲームやアニメばかり見て学校以外ではあまり家から出ないため「ヒキニート」呼ばわりされている。
そんな彼が子供のころ入ったことがあるはずなのに思い出せない祖父の家の蔵に友達に話したのを機にもう一度入ってみることを決意する。
蔵に入って気がつくとそこは異世界だった?!
しかも、おじさんや爺ちゃんも異世界に行ったことがあるらしい?
転生した社畜は異世界でも無休で最強へ至る(旧題|剣は光より速い-社畜異世界転生)
丁鹿イノ
ファンタジー
【ファンタジア文庫にて1巻発売中!】
深夜の職場で人生を終えた青桐 恒(25)は、気づいたらファンタジーな異世界に転生していた。
前世の社畜人生のお陰で圧倒的な精神力を持ち、生後から持ち前の社畜精神で頑張りすぎて魔力と気力を異常に成長させてしまう。
そのうち元Sクラス冒険者である両親も自重しなくなり、魔術と剣術もとんでもないことに……
異世界に転生しても働くのをやめられない!
剣と魔術が存在するファンタジーな異世界で持ち前の社畜精神で努力を積み重ね成り上がっていく、成長物語。
■カクヨムでも連載中です■
本作品をお読みいただき、また多く感想をいただき、誠にありがとうございます。
中々お返しできておりませんが、お寄せいただいたコメントは全て拝見し、執筆の糧にしています。
いつもありがとうございます。
◆
書籍化に伴いタイトルが変更となりました。
剣は光より速い - 社畜異世界転生 ~社畜は異世界でも無休で最強へ至る~
↓
転生した社畜は異世界でも無休で最強へ至る
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
【創造魔法】を覚えて、万能で最強になりました。 クラスから追放した奴らは、そこらへんの草でも食ってろ!
久乃川あずき(桑野和明)
ファンタジー
次世代ファンタジーカップ『面白スキル賞』受賞しました。
2022年9月20日より、コミカライズ連載開始です(アルファポリスのサイトで読めます)
単行本は現在2巻まで出ています。
高校二年の水沢優樹は、不思議な地震に巻き込まれ、クラスメイト三十五人といっしょに異世界に転移してしまう。
三ヶ月後、ケガをした優樹は、クラスメイトから役立たずと言われて追放される。
絶望的な状況だったが、ふとしたきっかけで、【創造魔法】が使えるようになる。
【創造魔法】は素材さえあれば、どんなものでも作ることができる究極の魔法で、優樹は幼馴染みの由那と快適な暮らしを始める。
一方、優樹を追放したクラスメイトたちは、木の実や野草を食べて、ぎりぎりの生活をしていた。優樹が元の世界の食べ物を魔法で作れることを知り、追放を撤回しようとするが、その判断は遅かった。
優樹は自分を追放したクラスメイトたちを助ける気などなくなっていた。
あいつらは、そこらへんの草でも食ってればいいんだ。
異世界で活躍する優樹と悲惨な展開になるクラスメイトたちの物語です。
追放されたテイマー半年後に従魔が最強になったのでまた冒険する
Miiya
ファンタジー
「テイマーって面白そうだったから入れてたけど使えんから出ていって。」と言われ1ヶ月間いたパーティーを追放されてしまったトーマ=タグス。仕方なく田舎にある実家に戻りそこで農作業と副業をしてなんとか稼いでいた。そんな暮らしも半年が経った後、たまたま飼っていたスライムと小鳥が最強になりもう一度冒険をすることにした。そしてテイマーとして覚醒した彼と追放したパーティーが出会い彼の本当の実力を知ることになる。
破滅する悪役五人兄弟の末っ子に転生した俺、無能と見下されるがゲームの知識で最強となり、悪役一家と幸せエンディングを目指します。
大田明
ファンタジー
『サークラルファンタズム』というゲームの、ダンカン・エルグレイヴというキャラクターに転生した主人公。
ダンカンは悪役で性格が悪く、さらに無能という人気が無いキャラクター。
主人公はそんなダンカンに転生するも、家族愛に溢れる兄弟たちのことが大好きであった。
マグヌス、アングス、ニール、イナ。破滅する運命にある兄弟たち。
しかし主人公はゲームの知識があるため、そんな彼らを救うことができると確信していた。
主人公は兄弟たちにゲーム中に辿り着けなかった最高の幸せを与えるため、奮闘することを決意する。
これは無能と呼ばれた悪役が最強となり、兄弟を幸せに導く物語だ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる