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第3話 追い出される

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「ん?そろそろ戻ってくるか」

「意外と静かだったね。ヤマタノオロチのときとかなかなかうるさかったんだけどな」

「でもいいじゃないですか、もしかしたらかわいらしい子が授かったのかもしれないですよ」

「まあかわいいかはともかく強くなくてはな。でないとこのエノヴァ家の名誉にかかる」

「戻ってきたよ!!」

俺は地下の大聖堂から二匹を連れて戻ってきた。少しハーピーの子を連れてくるのに時間がかかったが。

「おお、本当に2匹授かってるじゃない、それにかわいらしいわね」

そういうのは母さん。しかし父さんと兄さんは苦虫を噛み潰したような表情だ。

「どうかしました?アルスはかつてないことを成し遂げたではありませんか」

「ああ、確かにかつてないほどモンスターを授かった」

「嘘だろ、アルス?悪い冗談はよせよ。本当の授かったモンスターを見せてくれ。それかもしかして変化の魔法でも使わせてるのか?」

「え、何を言ってるの兄さん?」

普段あまり冗談をいうことのない兄さんがそんなことを言うって。

「そうだぞ、いくら何でも冗談が過ぎる。ささ、早く真のテイムモンスターを見せなさい」

「父さんも何を言ってるの。俺のテイムモンスターならこのハーピーとスライムに決まってるじゃないか」

「アルス!!!」

「ひっ!?」

父さんが今にも殺しそうな形相で恐怖でしかない声で叫んだ。母さんは思わず驚いてしまいしりもちをついた。

「なんでお前はそんなことをしてしまうんだ。なぜなんだ」

「アルス、お前はとんでもないことをしたな」

父さんだけでなく兄さんまで冷たい表情でそう言う。なにがいけないんだ。

「そのハーピーからなにかしらの特殊な魔力を一切感じない。スライムに至ってはもはや何もないじゃないか。なんでこんな雑魚モンスターを授かったんだ」

「そんな、なんでそんなこと...」

「黙れ!!もうお前はエノヴァ家の人間ではない。即刻この家から出ていけ。もうエノヴァ家を名乗らせない」

「なんでだよ!?そんなのかわいそうだよ」

「もうお前はこの家の人間じゃない。すぐに立ち去れ!!」

「くそ!!なんなんだよ皆!?」

俺は急いで部屋に向かった。おそらく父さんは何が何でも俺を追い出す。せめて荷物だけでも確保しておかないと。

「早く何かを取っておかないと」

部屋にある使えそうなものは少ない。麻袋とお金だけが持ってく限界だった。

「アルス!?何をしている!!」

そう、父さんが血眼で俺を追い出そうとしている。

「じゃあね、みんな」

俺は憤りを感じながらも少しさびしさも感じながらそう答えて家を出た。しかし父さんの顔色が変わることはなかった。この人は本気だ。それは今まで一緒に生活していたからよくわかる。

こうしてエノヴァ家から1人の名が消えた。
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