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第11章 テイマーの街
第189話 3強相手に向けて
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今日の試合は全て終了し、周りの観客たちは帰りの支度をしていた。
「本日もご来場誠にありがとうございました。次の『グレートモスリーグ』決勝トーナメント第2回戦は、3日後を予定しております。たくさんのご来場をお待ちしております」
2回戦は3日後に行われるようだ。まだ2回戦目も対戦順や対戦相手の発表はされないようだ。俺の相手もそこそこしんどかったが、数が絞られていく以上さらに厳しい試合になってくる。
「それじゃあ、俺らは戻るとするか。シンジ、もしかしたら次の相手になるかもしれないし、そうではないかもしれない。でも、対戦相手になった時は覚悟しておけよ」
「そういうことやな。ダルトン、今年も楽しみにしとるからの」
今回は、アイシャさん、ダルトンさん、ゼノンさん3人ともが別々の相手と戦ったが、2回戦目ではこの3人の誰と当たっても全くおかしくない。
「それじゃあ、私たちも戻りましょうか、シンジ様」
「そうだな、ただその前に少し、寄っていきたいところがあるから先に戻っておいてくれないか」
「そうですか、わかりました。ハッピー、ついてきて」
俺はシルに先に戻るよう伝えた。ハッピーは羽をバサバサとついて行っている。いつも通り腹が減っているんだろうな。
「さて、じゃあ少し外に出るか」
俺がシルと別行動を取ったのは、今後の対戦相手の対策、特にあの3人を相手にどう対抗してくかを考えていくためである。今日の相手も、今後ぶつかる相手も油断でいるわけではないが、あの3人は群を抜いてしんどくなるだろうと予想している。
「アイシャさんはとにかくあのスピードに対応できるかどうかからだな」
彼女の特徴はなんといってもあのスピードだ。先の対戦でもあのスピードで対戦相手を揺さぶってからのチェンジオブペースで勝負を決めた。トップスピードについていけない限り、常に彼女優勢で試合は進んでいくだろうな。
「今のところ付け入る隙があるとすれば、極端に近距離での戦闘をするところか」
中距離、遠距離攻撃のバリエーションや威力はそこまで把握できていないが、トーナメントでも、遠距離攻撃を使用すればさらに有利だったシーンを何度か目撃した。
「(敢えて出していないのであれば、って考えても仕方ないか。そこまで対策はするだけ時間の無駄かな)」
俺じゃアクアたちスライムに高速で動き回ってもらい、それにいかに反応できるかどうかの訓練からスタートした。
「キュイ」
高速で移動するスライムたちにうまく対応するのにかなり骨が折れた。まずはなんといってもサイズが違う、ここ最近は人と相手にすることが多かった上、これまでの旅でもここまで小さいのに速い相手をしたことはない。
「動き方は違うけど、これに対応できるようになれば本番でもかなり役立つかもしれないな」
当然だが人間とは構造が全く違うため、予備動作だったり重心だったりと相手の行動を読み取ることが、スライム相手にはほとんど通用しない。特にアクアに関して言えば、形そのままに急接近してくるので読みが全く通用しないため、反射神経でしか対応することができない。
ただ問題となってくるのは、アイシャさんの強みは単純な速さだけでなく緩急の付け方だ。こっちの方がむしろ攻略していくのがしんどいだろう。
「前回の対戦でも、結局は速さじゃなく緩急を加えられてから戦況がひっくり返ったもんな」
あの緩急に慣れる練習方法に関しては、結局いい方法が見つからなかったためぶっつけ本番でやるしかないところではあるが、アイシャさんのスピードにギリギリでついていくからこそ引っ掛かるものだと俺は推測している。
だからこそ、予備動作がわからないスライムたちの攻撃はうってつけに感じた。その場その場で対応していく点では訓練の効果はあると思う。
「それじゃあ続きをするぞ」
スライムたちはその場で元気よくぴょんぴょんと跳ねると、アクアを筆頭にさらに攻撃のペースを上げてきた。まずは攻撃に慣れて土俵に立つところからだな。
「あとは魔法攻撃も、どれだけ当てれるかが鍵になるかもしれないな」
今は近距離の対策をしているところではあるが、おそらくどれだけ長い時間中距離で立ち回れるのか、これが戦況を左右しそうだ。
「予選のバトルロワイヤルでは、魔法攻撃や範囲攻撃がかなり有効だったが使ってなかったのを考えると使わない可能性の方が高そうだな。そんな対策はいくらでもしてそうだが」
「本日もご来場誠にありがとうございました。次の『グレートモスリーグ』決勝トーナメント第2回戦は、3日後を予定しております。たくさんのご来場をお待ちしております」
2回戦は3日後に行われるようだ。まだ2回戦目も対戦順や対戦相手の発表はされないようだ。俺の相手もそこそこしんどかったが、数が絞られていく以上さらに厳しい試合になってくる。
「それじゃあ、俺らは戻るとするか。シンジ、もしかしたら次の相手になるかもしれないし、そうではないかもしれない。でも、対戦相手になった時は覚悟しておけよ」
「そういうことやな。ダルトン、今年も楽しみにしとるからの」
今回は、アイシャさん、ダルトンさん、ゼノンさん3人ともが別々の相手と戦ったが、2回戦目ではこの3人の誰と当たっても全くおかしくない。
「それじゃあ、私たちも戻りましょうか、シンジ様」
「そうだな、ただその前に少し、寄っていきたいところがあるから先に戻っておいてくれないか」
「そうですか、わかりました。ハッピー、ついてきて」
俺はシルに先に戻るよう伝えた。ハッピーは羽をバサバサとついて行っている。いつも通り腹が減っているんだろうな。
「さて、じゃあ少し外に出るか」
俺がシルと別行動を取ったのは、今後の対戦相手の対策、特にあの3人を相手にどう対抗してくかを考えていくためである。今日の相手も、今後ぶつかる相手も油断でいるわけではないが、あの3人は群を抜いてしんどくなるだろうと予想している。
「アイシャさんはとにかくあのスピードに対応できるかどうかからだな」
彼女の特徴はなんといってもあのスピードだ。先の対戦でもあのスピードで対戦相手を揺さぶってからのチェンジオブペースで勝負を決めた。トップスピードについていけない限り、常に彼女優勢で試合は進んでいくだろうな。
「今のところ付け入る隙があるとすれば、極端に近距離での戦闘をするところか」
中距離、遠距離攻撃のバリエーションや威力はそこまで把握できていないが、トーナメントでも、遠距離攻撃を使用すればさらに有利だったシーンを何度か目撃した。
「(敢えて出していないのであれば、って考えても仕方ないか。そこまで対策はするだけ時間の無駄かな)」
俺じゃアクアたちスライムに高速で動き回ってもらい、それにいかに反応できるかどうかの訓練からスタートした。
「キュイ」
高速で移動するスライムたちにうまく対応するのにかなり骨が折れた。まずはなんといってもサイズが違う、ここ最近は人と相手にすることが多かった上、これまでの旅でもここまで小さいのに速い相手をしたことはない。
「動き方は違うけど、これに対応できるようになれば本番でもかなり役立つかもしれないな」
当然だが人間とは構造が全く違うため、予備動作だったり重心だったりと相手の行動を読み取ることが、スライム相手にはほとんど通用しない。特にアクアに関して言えば、形そのままに急接近してくるので読みが全く通用しないため、反射神経でしか対応することができない。
ただ問題となってくるのは、アイシャさんの強みは単純な速さだけでなく緩急の付け方だ。こっちの方がむしろ攻略していくのがしんどいだろう。
「前回の対戦でも、結局は速さじゃなく緩急を加えられてから戦況がひっくり返ったもんな」
あの緩急に慣れる練習方法に関しては、結局いい方法が見つからなかったためぶっつけ本番でやるしかないところではあるが、アイシャさんのスピードにギリギリでついていくからこそ引っ掛かるものだと俺は推測している。
だからこそ、予備動作がわからないスライムたちの攻撃はうってつけに感じた。その場その場で対応していく点では訓練の効果はあると思う。
「それじゃあ続きをするぞ」
スライムたちはその場で元気よくぴょんぴょんと跳ねると、アクアを筆頭にさらに攻撃のペースを上げてきた。まずは攻撃に慣れて土俵に立つところからだな。
「あとは魔法攻撃も、どれだけ当てれるかが鍵になるかもしれないな」
今は近距離の対策をしているところではあるが、おそらくどれだけ長い時間中距離で立ち回れるのか、これが戦況を左右しそうだ。
「予選のバトルロワイヤルでは、魔法攻撃や範囲攻撃がかなり有効だったが使ってなかったのを考えると使わない可能性の方が高そうだな。そんな対策はいくらでもしてそうだが」
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