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第11章 テイマーの街
第183話 ダルトンの強さ
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ダルトンさんの斬撃波で大きくリードを作ってからは、かなり一方的な展開となった。サンド選手の多彩な魔法攻撃も、ダルトンさんの前ではまるで歯が立たずすべてはじかれてしまう。
そして距離をとれば斬撃波、距離を近づければ剣による近接攻撃で圧倒していた。
「去年もダルトンが優勢やったが、今年はもはや隙が一切ない。完璧と言いたなるな」
「データはもちろん、実力も相当あげているように見える」
ゼノンさん、アイシャさんもここまでのダルトンさんの動きに思わず絶賛している。過去のダルトンさんを知っているからこそ称賛の声により価値がある。
「相手の弱点を完璧にとらえて対応する、データ戦法はそもそも地力がないと成立しない。せやけど、ダルトンのように色んなタイプの相手にも対応できる戦法の幅が広いあいつだからこそ、これだけ圧倒できるわけやな」
「本当その通りで、対戦相手に何もさせませんね。すべての動きの上を行ってますよ」
「実力差があるだけやなく、相性まで合わせているから展開がひっくり返る可能性も限りなく低い。性格も冷静沈着なあいつにはピッタリやな」
サンド選手の攻撃魔法はその威力だけでなく、複数の種類の魔法を使うことで普通であれば対処しにくくしている。しかし、ダルトンさんは常に慌てることなくその時その時適切な対応をしている。
「(いずれ相対する魔王軍の相手にもダルトンさんのような、対応力が高いやつがいる可能性は十分にあり得る)」
幹部とはこれまで何度も戦ってはきたが、いずれもぎりぎりもいいところ。まして、まだまだ上の存在もいるはず。
「ダルトンさんのような相手の場合はどう対処するのがいいんですかね?」
「うーん、これは難しい質問やな。そもそもあいつは自分よりも実力が高い相手にあの戦法は中々使わへんな」
「ダルトンはただ地力が高いだけじゃなく、幅も広いからね」
俺の質問にゼノンさんとアイシャさんがともに何とも言えない表情を浮かべた。
「強いて言うんやったら、どれぐらい得意な能力が高いかどうかやな。それでもその弱点を突かれる可能性は大いにあるからな」
「私も去年ダルトンに倒されたしね。私の速度にもついてこれる」
今回は魔法使いが相手ということもありゆったりとした展開なだけに、今のアイシャさんの言葉を聞いて俺はかなり驚いてしまった。あれだけ器用に魔法をさばけるのに、あのアイシャさんに速度で負けないのか。
「大したものだな、ダルトン。去年もこんか感じでずっとお前が優勢だったな」
「そうだったな、今年もそこまで変わってないようで安心したよ。そろそろ終わりか?」
サンド選手とダルトンさんがなにやら会話をしているようだ。口の動きは少し見えるが、遠いだけに内容は耳に入ってこない。
「確かにここまでの展開は去年と大して変わってないな。でも俺が何もせず今年のこの大会に臨んだと思うか。このまま終わらせねえよ」
サンド選手は両手を合わせて、体全体から魔力を放出させた。今まで属性系の魔法を使っていたため観客も見る目が変わってきた。放出させた魔力が3つの球体となって固定された。
「一体それはなんなんだ」
「それは実際に戦ってみてからの楽しみだ」
サンド選手がおそらく切り札と呼べるようなものを繰り出してきた。彼の一挙手一投足に観客だけでなくダルトンさんも目が離せない状況の中、サンド選手は今までと同じように火属性の魔法を繰り出した。
「さっきまでの魔法と何か違うのか?特に変わらないように見える」
「確かにあれだけなら今までと変わらんのう、一体何が狙いなんや」
3つの球体を出現させたこと以外には、特に変化は見受けられない。ダルトンさんもいつ何が起きるのかわからない以上かなり警戒をしている。
ダルトンさんはサンド選手の火属性魔法に対抗するため、剣に魔力をまとわせて対抗する準備を整える。先ほどまではこれですべて魔法攻撃をしのいでいた。
「それでこの攻撃がさばけるかな!!」
サンド選手は声に合わせて右手を伸ばすと、彼の周囲に漂っていた球体が1つ消えた。するとダルトンさんに向かって飛んでいた火属性魔法が突如として消えた。
すると、ダルトンさんの肩口から突然爆発が起きた。
「!?何が起こったんだ」
ダルトンさんは吹き飛ばされながらもすぐに体勢を整えて反撃に備えた。追撃こそなかったものの、この試合で初めてまともに攻撃を食らったからか、かなり警戒心が強くなっている。
「このまま何もできなかったらお前の負けだ、ダルトン」
サンド選手はさらに複数の魔法陣を出現させ、魔力を一気に集中させた。
そして距離をとれば斬撃波、距離を近づければ剣による近接攻撃で圧倒していた。
「去年もダルトンが優勢やったが、今年はもはや隙が一切ない。完璧と言いたなるな」
「データはもちろん、実力も相当あげているように見える」
ゼノンさん、アイシャさんもここまでのダルトンさんの動きに思わず絶賛している。過去のダルトンさんを知っているからこそ称賛の声により価値がある。
「相手の弱点を完璧にとらえて対応する、データ戦法はそもそも地力がないと成立しない。せやけど、ダルトンのように色んなタイプの相手にも対応できる戦法の幅が広いあいつだからこそ、これだけ圧倒できるわけやな」
「本当その通りで、対戦相手に何もさせませんね。すべての動きの上を行ってますよ」
「実力差があるだけやなく、相性まで合わせているから展開がひっくり返る可能性も限りなく低い。性格も冷静沈着なあいつにはピッタリやな」
サンド選手の攻撃魔法はその威力だけでなく、複数の種類の魔法を使うことで普通であれば対処しにくくしている。しかし、ダルトンさんは常に慌てることなくその時その時適切な対応をしている。
「(いずれ相対する魔王軍の相手にもダルトンさんのような、対応力が高いやつがいる可能性は十分にあり得る)」
幹部とはこれまで何度も戦ってはきたが、いずれもぎりぎりもいいところ。まして、まだまだ上の存在もいるはず。
「ダルトンさんのような相手の場合はどう対処するのがいいんですかね?」
「うーん、これは難しい質問やな。そもそもあいつは自分よりも実力が高い相手にあの戦法は中々使わへんな」
「ダルトンはただ地力が高いだけじゃなく、幅も広いからね」
俺の質問にゼノンさんとアイシャさんがともに何とも言えない表情を浮かべた。
「強いて言うんやったら、どれぐらい得意な能力が高いかどうかやな。それでもその弱点を突かれる可能性は大いにあるからな」
「私も去年ダルトンに倒されたしね。私の速度にもついてこれる」
今回は魔法使いが相手ということもありゆったりとした展開なだけに、今のアイシャさんの言葉を聞いて俺はかなり驚いてしまった。あれだけ器用に魔法をさばけるのに、あのアイシャさんに速度で負けないのか。
「大したものだな、ダルトン。去年もこんか感じでずっとお前が優勢だったな」
「そうだったな、今年もそこまで変わってないようで安心したよ。そろそろ終わりか?」
サンド選手とダルトンさんがなにやら会話をしているようだ。口の動きは少し見えるが、遠いだけに内容は耳に入ってこない。
「確かにここまでの展開は去年と大して変わってないな。でも俺が何もせず今年のこの大会に臨んだと思うか。このまま終わらせねえよ」
サンド選手は両手を合わせて、体全体から魔力を放出させた。今まで属性系の魔法を使っていたため観客も見る目が変わってきた。放出させた魔力が3つの球体となって固定された。
「一体それはなんなんだ」
「それは実際に戦ってみてからの楽しみだ」
サンド選手がおそらく切り札と呼べるようなものを繰り出してきた。彼の一挙手一投足に観客だけでなくダルトンさんも目が離せない状況の中、サンド選手は今までと同じように火属性の魔法を繰り出した。
「さっきまでの魔法と何か違うのか?特に変わらないように見える」
「確かにあれだけなら今までと変わらんのう、一体何が狙いなんや」
3つの球体を出現させたこと以外には、特に変化は見受けられない。ダルトンさんもいつ何が起きるのかわからない以上かなり警戒をしている。
ダルトンさんはサンド選手の火属性魔法に対抗するため、剣に魔力をまとわせて対抗する準備を整える。先ほどまではこれですべて魔法攻撃をしのいでいた。
「それでこの攻撃がさばけるかな!!」
サンド選手は声に合わせて右手を伸ばすと、彼の周囲に漂っていた球体が1つ消えた。するとダルトンさんに向かって飛んでいた火属性魔法が突如として消えた。
すると、ダルトンさんの肩口から突然爆発が起きた。
「!?何が起こったんだ」
ダルトンさんは吹き飛ばされながらもすぐに体勢を整えて反撃に備えた。追撃こそなかったものの、この試合で初めてまともに攻撃を食らったからか、かなり警戒心が強くなっている。
「このまま何もできなかったらお前の負けだ、ダルトン」
サンド選手はさらに複数の魔法陣を出現させ、魔力を一気に集中させた。
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