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第11章 テイマーの街
第182話 ダルトンの戦い方
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「お疲れ様です、アイシャさん」
1回戦第二試合は、アイシャさんの勝利で幕を閉じた。そのアイシャさんが決勝トーナメント控室に戻ってきた。
「おう、アイシャ。中々いい勝負やったな。序盤時間かかってたようやけど」
「...かなり私の動きを見ていたからね、いつもより丁寧に誘導する必要があった」
ゼノンさんの読みはほとんどあっていたようで、アイシャさんも少し誘導するのに苦労していたようだった。とはいえ、なんだかんだ汗一つ流さずにこの場に戻っているあたりまだまだ余力があると感じてしまう。
序盤こそ手こずっていたように見えたが、それもあくまで作戦の1つにすぎなかったのかとも思ってしまう。決勝トーナメントでもまだまだ余裕か。
「次の試合は、ダルトンさんが出場でしたね」
3試合目にはダルトンさんが出るということで、アイシャさんの試合の終了と同時に控室を出ていた。そしてもうリングのほうに着いていた。
「そういえばダルトンさんの戦いをしっかり見るのは今回が初めてかもしれないです。一体どんな感じなんですか?」
「うーーん、そうやな。簡単に言えばあいつに得意な戦法、スタイルはないな」
「得意な戦法がない?それは一体...」
「ダルトンは闘技大会の常連だからこそ身に着いた、相手の戦法に合わせて戦う闘士や」
相手に合わせる、確かに俺みたいな冒険者だと基本魔物と戦うから対人戦はほとんどしない。だが逆に対人戦が基本の闘技場ならではの選手といった所か。
魔物相手にも当然弱点や癖を見つけて攻めるのは重要ではあるが、あまりにも数が多いから合わせるよりかは自分自身を鍛えるほうが効果的、そういう意味でも冒険者にはないような戦い方だな。
「ということはこの試合も対戦相手に合わせて戦うってことですよね」
「そのようやな。確か去年の大会でも出ていた相手やからな。その辺は特に問題あらへんやろ」
ダルトンさんの相手は目立った武器は装備していないが、ローブのようなものは羽織っていることから物理よりかは魔法関連に特化した相手だと推測できる。
ダルトンさんは腰に携えている剣を抜き取り、構えた。ということは対戦相手に対して剣の戦法が効果的であると判断したのか。
「それでは第3試合、ダルトンVSサンドはじめ!!」
試合開始の合図と同時にサンドと呼ばれた選手はすぐに後ろに下がってダルトンさんと距離をとった。そして手を前にかざして火属性の魔法を飛ばした。
「やっぱ魔法を使ってくるのか。しかもあの大きさはかなり強い」
「いや、ダルトンならあれぐらい余裕や」
ゼノンさんが自信満々にそういうと、ダルトンさんは剣でたやすく火属性魔法を吹き飛ばした。その光景に観客席からも歓声が沸いた。
「あの威力の魔法を簡単に弾き飛ばしましたね。観客も思わず声が出ているようにも見えますし」
「ダルトンからすればあの程度の魔法造作もないけどな」
「そうね、普通は避けたり魔法で相殺させるからね」
ゼノンさんとアイシャさんは当たり前のように話しているが、あんな芸当そう簡単にはできないと思ってしまう。もちろん俺もできるように強くなる必要はあるが。
「さて、今度はこっちの番だ」
そういうとダルトンさんは、剣に大量の魔力を集中させるとそのばで振りぬき斬撃波を飛ばした。距離があるとはいえその速度は尋常じゃないぐらい速い。
「く、これでどうだ」
サンド選手は防御特化の魔法を発動させ、直撃は避けれたが斬撃波の衝撃に耐えきれず吹っ飛ばされてしまった。
「(サンドは強力かつ多彩な魔法を使い、その選択も非常に綿密で効果的だ。近接戦にもってくのも少し苦労する。だがこうして防御しきれない攻撃をある程度放って隙を狙う)」
ダルトンさんは少し笑みを浮かべながら、サンド選手が立ち上がるのを待つ。追撃してもいいのではないかと思うが、罠や反撃を嫌ってのことなのだろうか。
1回戦第二試合は、アイシャさんの勝利で幕を閉じた。そのアイシャさんが決勝トーナメント控室に戻ってきた。
「おう、アイシャ。中々いい勝負やったな。序盤時間かかってたようやけど」
「...かなり私の動きを見ていたからね、いつもより丁寧に誘導する必要があった」
ゼノンさんの読みはほとんどあっていたようで、アイシャさんも少し誘導するのに苦労していたようだった。とはいえ、なんだかんだ汗一つ流さずにこの場に戻っているあたりまだまだ余力があると感じてしまう。
序盤こそ手こずっていたように見えたが、それもあくまで作戦の1つにすぎなかったのかとも思ってしまう。決勝トーナメントでもまだまだ余裕か。
「次の試合は、ダルトンさんが出場でしたね」
3試合目にはダルトンさんが出るということで、アイシャさんの試合の終了と同時に控室を出ていた。そしてもうリングのほうに着いていた。
「そういえばダルトンさんの戦いをしっかり見るのは今回が初めてかもしれないです。一体どんな感じなんですか?」
「うーーん、そうやな。簡単に言えばあいつに得意な戦法、スタイルはないな」
「得意な戦法がない?それは一体...」
「ダルトンは闘技大会の常連だからこそ身に着いた、相手の戦法に合わせて戦う闘士や」
相手に合わせる、確かに俺みたいな冒険者だと基本魔物と戦うから対人戦はほとんどしない。だが逆に対人戦が基本の闘技場ならではの選手といった所か。
魔物相手にも当然弱点や癖を見つけて攻めるのは重要ではあるが、あまりにも数が多いから合わせるよりかは自分自身を鍛えるほうが効果的、そういう意味でも冒険者にはないような戦い方だな。
「ということはこの試合も対戦相手に合わせて戦うってことですよね」
「そのようやな。確か去年の大会でも出ていた相手やからな。その辺は特に問題あらへんやろ」
ダルトンさんの相手は目立った武器は装備していないが、ローブのようなものは羽織っていることから物理よりかは魔法関連に特化した相手だと推測できる。
ダルトンさんは腰に携えている剣を抜き取り、構えた。ということは対戦相手に対して剣の戦法が効果的であると判断したのか。
「それでは第3試合、ダルトンVSサンドはじめ!!」
試合開始の合図と同時にサンドと呼ばれた選手はすぐに後ろに下がってダルトンさんと距離をとった。そして手を前にかざして火属性の魔法を飛ばした。
「やっぱ魔法を使ってくるのか。しかもあの大きさはかなり強い」
「いや、ダルトンならあれぐらい余裕や」
ゼノンさんが自信満々にそういうと、ダルトンさんは剣でたやすく火属性魔法を吹き飛ばした。その光景に観客席からも歓声が沸いた。
「あの威力の魔法を簡単に弾き飛ばしましたね。観客も思わず声が出ているようにも見えますし」
「ダルトンからすればあの程度の魔法造作もないけどな」
「そうね、普通は避けたり魔法で相殺させるからね」
ゼノンさんとアイシャさんは当たり前のように話しているが、あんな芸当そう簡単にはできないと思ってしまう。もちろん俺もできるように強くなる必要はあるが。
「さて、今度はこっちの番だ」
そういうとダルトンさんは、剣に大量の魔力を集中させるとそのばで振りぬき斬撃波を飛ばした。距離があるとはいえその速度は尋常じゃないぐらい速い。
「く、これでどうだ」
サンド選手は防御特化の魔法を発動させ、直撃は避けれたが斬撃波の衝撃に耐えきれず吹っ飛ばされてしまった。
「(サンドは強力かつ多彩な魔法を使い、その選択も非常に綿密で効果的だ。近接戦にもってくのも少し苦労する。だがこうして防御しきれない攻撃をある程度放って隙を狙う)」
ダルトンさんは少し笑みを浮かべながら、サンド選手が立ち上がるのを待つ。追撃してもいいのではないかと思うが、罠や反撃を嫌ってのことなのだろうか。
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