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第11章 テイマーの街
第178話 シンジペースアップ
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「フレイムスラッシュ!!」
俺は剣に火属性の魔法を纏わせた一撃を放った。これは剣だけでなく魔法の範囲攻撃も合わさっているため、グロッグ選手もかなり距離を置いて回避した。
「(これで大丈夫だ、とにかく近づかせないことが重要だ。どこかで隙を見つけていけばいい)」
現状、グロッグ選手から中距離攻撃をしかけてきていない。どこかしらで大きな隙を作っていきたいところだが。
「あんまり剣でちんたらしてると、一気に倒すぜ」
今まで近距離戦でしか発動しなかったグロッグ選手の魔法陣から、魔法が飛んできた。とんでもない速度ではあるが、まだ反応できない距離ではない。
俺は剣に魔力を込めてグロッグ選手が放った魔法攻撃をなんとかはじき返した。速度はもちろんのことだが、なによりも威力が高かった。おそらく先に食らっていた魔法よりもさらに上がっている。
「よそ見は禁物だぞ」
はじき返した瞬間にグロッグ選手が距離を一気に詰めてきた。俺はすぐに剣で返そうとするが、グロッグ選手の拳のほうが速く、躱すので精一杯だ。
「流石に剣だけで攻略は厳しそうやな」
「近接攻撃に魔法攻撃を取り入れているグロッグに対して剣で一定の距離を取るっていうのは悪くなかった。しかし、一度拳の距離に入られると、逆に剣のほうが不利になる場面もある」
シンジの思惑通り、剣での攻撃であれば一定の距離を取ることができるため拳を使う相手にはかなり有効になる。しかし懐に入られてしまうと今度は剣よりもスピードのある拳のほうが有利になる。
「剣での攻撃やと振る必要があるが、拳の場合はそこまで振りかぶる必要はない。シンジは少し見誤っとたな」
シンジは剣を片手剣もちにして、左手でうまくガードしながら隙を伺っている。だがグロッグの手数の多い攻撃でなかなか思うように攻撃ができない。
一方のグロッグも魔法でうまくシンジの隙を作って近接戦に持ち込めたが魔法攻撃への警戒や、そもそもシンジが速いため中々決定打を打ち込めないでいた。
「(予選で剣による攻撃は全くなかった。この場面でも持ってくるということは、剣の腕が高いかもしれない)」
グロッグはなんとか魔法攻撃で大きな一撃を決めようとしているが、そのために左手にある魔法陣に魔力を込めるたびにシンジはすぐに剣による攻撃で阻止する。
「(何より魔法攻撃への警戒が強すぎる。動きにはそこまで凄みを感じないが、魔力の流れに対する反応がなにより速すぎる)」
「(最初は対処方法がすぐには思いつかなかったが、左手の魔法陣にさえ注意すれば十分対処は可能だ。今までの難敵に比べればどうってことはない)」
シンジはまだまだこの世界の猛者たちのような動きは厳しいが、それ以上に授かった「成長」のおかげで基礎能力の大幅アップにより、立ち向かうことができる。
シンジはさらに加速をつけるために、ここまで温存していた魔力も一気に解放していく。その速度は先ほど出したグロッグの速度を凌駕する。
「何なんだこの異常な身体能力の上がり方は!?」
今まで左手のガードを使わないと回避しきれなかったグロッグの近接攻撃をすべて反射神経で回避しきっている。グロッグは何とか形勢を変えようと魔法を準備するが、防ぐ必要もなくすぐに背後に回り攻撃を仕掛ける。
「予選での動きはまだまだ余力を残していたようだな」
「やっぱシンジはおもろいな。どんどん俺を楽しませてくれよ」
シンジは魔力を込めて剣を勢いよくグロッグに投げつける。グロッグが放った魔法よりも威力スピードともに高いものだった。
「【ライトニングブラスト】!!」
グロッグは雷魔法を放って何とかシンジが投げた剣を弾き飛ばした。だが、弾き飛ばされること自体はシンジの想定内のようだった。
シンジは背後から強烈なパンチを打ち込む。剣を止めるために魔力と神経を使ったグロッグはシンジの攻撃に対応することができずそのままもろに食らってしまった。
シンジの攻撃がかなり効いているようで魔力を上手く扱うことができなくなっていた。そこを見逃すことなく距離を一気に詰めて近接攻撃を入れていく。
本来のグロッグであれば、むしろ近接戦は持ってこいであるが魔法を使えない今の状況では劣勢である。グロッグの得意戦法である片手に魔法陣をセットするためには多少の時間と魔力が必要である。
グロッグは何とかシンジと一定距離を取って魔法陣のセットをしたいところであるが、今のシンジのスピードとパワーを前にそれを行うのは相当つらい選択である。
「さて、ここから2人がどう動くか見ものやな」
俺は剣に火属性の魔法を纏わせた一撃を放った。これは剣だけでなく魔法の範囲攻撃も合わさっているため、グロッグ選手もかなり距離を置いて回避した。
「(これで大丈夫だ、とにかく近づかせないことが重要だ。どこかで隙を見つけていけばいい)」
現状、グロッグ選手から中距離攻撃をしかけてきていない。どこかしらで大きな隙を作っていきたいところだが。
「あんまり剣でちんたらしてると、一気に倒すぜ」
今まで近距離戦でしか発動しなかったグロッグ選手の魔法陣から、魔法が飛んできた。とんでもない速度ではあるが、まだ反応できない距離ではない。
俺は剣に魔力を込めてグロッグ選手が放った魔法攻撃をなんとかはじき返した。速度はもちろんのことだが、なによりも威力が高かった。おそらく先に食らっていた魔法よりもさらに上がっている。
「よそ見は禁物だぞ」
はじき返した瞬間にグロッグ選手が距離を一気に詰めてきた。俺はすぐに剣で返そうとするが、グロッグ選手の拳のほうが速く、躱すので精一杯だ。
「流石に剣だけで攻略は厳しそうやな」
「近接攻撃に魔法攻撃を取り入れているグロッグに対して剣で一定の距離を取るっていうのは悪くなかった。しかし、一度拳の距離に入られると、逆に剣のほうが不利になる場面もある」
シンジの思惑通り、剣での攻撃であれば一定の距離を取ることができるため拳を使う相手にはかなり有効になる。しかし懐に入られてしまうと今度は剣よりもスピードのある拳のほうが有利になる。
「剣での攻撃やと振る必要があるが、拳の場合はそこまで振りかぶる必要はない。シンジは少し見誤っとたな」
シンジは剣を片手剣もちにして、左手でうまくガードしながら隙を伺っている。だがグロッグの手数の多い攻撃でなかなか思うように攻撃ができない。
一方のグロッグも魔法でうまくシンジの隙を作って近接戦に持ち込めたが魔法攻撃への警戒や、そもそもシンジが速いため中々決定打を打ち込めないでいた。
「(予選で剣による攻撃は全くなかった。この場面でも持ってくるということは、剣の腕が高いかもしれない)」
グロッグはなんとか魔法攻撃で大きな一撃を決めようとしているが、そのために左手にある魔法陣に魔力を込めるたびにシンジはすぐに剣による攻撃で阻止する。
「(何より魔法攻撃への警戒が強すぎる。動きにはそこまで凄みを感じないが、魔力の流れに対する反応がなにより速すぎる)」
「(最初は対処方法がすぐには思いつかなかったが、左手の魔法陣にさえ注意すれば十分対処は可能だ。今までの難敵に比べればどうってことはない)」
シンジはまだまだこの世界の猛者たちのような動きは厳しいが、それ以上に授かった「成長」のおかげで基礎能力の大幅アップにより、立ち向かうことができる。
シンジはさらに加速をつけるために、ここまで温存していた魔力も一気に解放していく。その速度は先ほど出したグロッグの速度を凌駕する。
「何なんだこの異常な身体能力の上がり方は!?」
今まで左手のガードを使わないと回避しきれなかったグロッグの近接攻撃をすべて反射神経で回避しきっている。グロッグは何とか形勢を変えようと魔法を準備するが、防ぐ必要もなくすぐに背後に回り攻撃を仕掛ける。
「予選での動きはまだまだ余力を残していたようだな」
「やっぱシンジはおもろいな。どんどん俺を楽しませてくれよ」
シンジは魔力を込めて剣を勢いよくグロッグに投げつける。グロッグが放った魔法よりも威力スピードともに高いものだった。
「【ライトニングブラスト】!!」
グロッグは雷魔法を放って何とかシンジが投げた剣を弾き飛ばした。だが、弾き飛ばされること自体はシンジの想定内のようだった。
シンジは背後から強烈なパンチを打ち込む。剣を止めるために魔力と神経を使ったグロッグはシンジの攻撃に対応することができずそのままもろに食らってしまった。
シンジの攻撃がかなり効いているようで魔力を上手く扱うことができなくなっていた。そこを見逃すことなく距離を一気に詰めて近接攻撃を入れていく。
本来のグロッグであれば、むしろ近接戦は持ってこいであるが魔法を使えない今の状況では劣勢である。グロッグの得意戦法である片手に魔法陣をセットするためには多少の時間と魔力が必要である。
グロッグは何とかシンジと一定距離を取って魔法陣のセットをしたいところであるが、今のシンジのスピードとパワーを前にそれを行うのは相当つらい選択である。
「さて、ここから2人がどう動くか見ものやな」
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