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第11章 テイマーの街
第176話 トーナメント開始
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アイシャさんもまだ昼ご飯は食べていなかったとのことなので、一緒に食べることにした。
「アイシャさん朝からいませんでしたが、何かありましたか?明日の準備ってところですか」
「...そんなところね」
いつも物静かなアイシャさんだが、今日は特に静かだ。やはり明日の決勝トーナメントが影響しているからだろうか。行動を共にしているとはいえ、まだ出会ってから日が圧倒的に浅い。そんな関係性の中明日敵になる可能性もある。
「(まあ会話が弾むなんてことはないな)」
アイシャさんは意外と早食いなのか、俺とシルよりも先に食事を終えるとまだ食べているルーに抱き着いた。本当にこの人の行動は読めないな。
「ピーーー!!」
前にアイシャさんに抱き着かれたときは嬉しそうにしていたルーだが、暴れており離して欲しそうにしている。アイシャさんは渋々といった感じでルーから離れた。ルーはすぐに残りのご飯を食べ始めた。
「...ごめん、シルさん」
「あんまり食事中には干渉しないほうがいいんじゃないかなとは思います。この子はかなり食欲旺盛なので、邪魔されて少し機嫌が悪くなったのかもしれませんね」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「それではこれより【グレートモスリーグ】決勝トーナメントを開催いたします」
ついに【グレートモスリーグ】の決勝トーナメントが行われる。
「決勝トーナメントでは、1対1の時間無制限で基本的にはどんな戦法を使ってもOK。ただし対戦相手を死亡に至らしめた場合には厳格な処罰が下されますのでお気を付けください」
魔法も使用可能で、武器も種類を問わず使うことが許可されており従魔との戦闘も可能らしい。ただ、テイマーも同じ空間内にいないといけないため、テイマー自身にも戦闘能力が求められているためテイマーが出たことはないそうだ。
「決勝トーナメント1回戦、第1試合の選手の発表を行います」
決勝トーナメントの出場順などは一切公表されておらず、出場選手である8人も何も知らされていない。
「シンジ対グロッグ!!」
どうやら一発目から俺の出番のようだ。そして対戦相手のグロッグという選手は4試合目で勝ち上がってきたようだ。
「それじゃあ行ってくる。アクアたちはお利口に留守番しといてくれよ」
アクアたちスライムが一斉に触手を伸ばして俺に応援してくれた。ルール的には同行させることは可能であるが、俺は1人で戦うことにした。アクアたちは俺を見送ると、アクアを先頭にシルたちがすでに取っている席のほうに移動した。
ただ勝つだけなら一緒に戦うのがベストではある。だが今回俺がこの大会に参加したのは単に勲章が欲しいだけじゃない。ここで強者と戦うことでこの先の未知の敵とも対抗できるすべを何かしら手に入れるためだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そのころ、選手発表がされ出場のない選手たちの控室では、
「いきなりシンジの登場か。こいつ楽しみやんなー」
「グロッグが相手か。なかなか見所がある戦いになりそうだな」
この後に戦いを控えているダルトンとゼノンがシンジの試合について話していた。グロッグという選手は魔法が得意でありながらも近距離戦においても冒険者ではCランク以上の実力を持っている。
「シンジがノイドと戦ったのは近距離戦やったからそこまで大きな問題はないと思う。しかし魔法に対してどれくらい対抗できるかが重要になりそうだな」
「グロッグの奴は去年からどれくらい実力をつけているかが見ものやな」
グロッグは普段冒険者としての活動が多く、ミラーゼルの闘技大会の参加は少なく大きな大会に数回出場する程度である。別の大会では優勝している経験も持っているためゼノン達にも存在をある程度知られている。
「予選で同じブロックだったが、かなり力をつけていたな。俺以外に残った3人のなかでは一番力を持っていたな。シンジの実力がまだまだ未知数だが、すぐに終わるような試合にはならないだろうな」
「ノイドを倒しているんや、こんなところで簡単に負けるような男やないぞ」
「...だな」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「君が噂の大型ルーキーシンジか」
どうやらグロッグ選手は俺のことを知ってたようだ。いや、決勝トーナメントに上がっている以上ある程度注目は受けるか。
「昨年直接倒されたノイドに、今年借りを返そうと思っていたんだけどね。まあいいさ、君をここでしっかり叩いて今年は優勝をもらう予定だ」
グロッグ選手は両手に魔法陣を発生させた。
「そう簡単に負けるわけにはいかないんでね。すぐに終わるとは思わないようお願いしますね」
「それでは、試合開始!!」
「アイシャさん朝からいませんでしたが、何かありましたか?明日の準備ってところですか」
「...そんなところね」
いつも物静かなアイシャさんだが、今日は特に静かだ。やはり明日の決勝トーナメントが影響しているからだろうか。行動を共にしているとはいえ、まだ出会ってから日が圧倒的に浅い。そんな関係性の中明日敵になる可能性もある。
「(まあ会話が弾むなんてことはないな)」
アイシャさんは意外と早食いなのか、俺とシルよりも先に食事を終えるとまだ食べているルーに抱き着いた。本当にこの人の行動は読めないな。
「ピーーー!!」
前にアイシャさんに抱き着かれたときは嬉しそうにしていたルーだが、暴れており離して欲しそうにしている。アイシャさんは渋々といった感じでルーから離れた。ルーはすぐに残りのご飯を食べ始めた。
「...ごめん、シルさん」
「あんまり食事中には干渉しないほうがいいんじゃないかなとは思います。この子はかなり食欲旺盛なので、邪魔されて少し機嫌が悪くなったのかもしれませんね」
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「それではこれより【グレートモスリーグ】決勝トーナメントを開催いたします」
ついに【グレートモスリーグ】の決勝トーナメントが行われる。
「決勝トーナメントでは、1対1の時間無制限で基本的にはどんな戦法を使ってもOK。ただし対戦相手を死亡に至らしめた場合には厳格な処罰が下されますのでお気を付けください」
魔法も使用可能で、武器も種類を問わず使うことが許可されており従魔との戦闘も可能らしい。ただ、テイマーも同じ空間内にいないといけないため、テイマー自身にも戦闘能力が求められているためテイマーが出たことはないそうだ。
「決勝トーナメント1回戦、第1試合の選手の発表を行います」
決勝トーナメントの出場順などは一切公表されておらず、出場選手である8人も何も知らされていない。
「シンジ対グロッグ!!」
どうやら一発目から俺の出番のようだ。そして対戦相手のグロッグという選手は4試合目で勝ち上がってきたようだ。
「それじゃあ行ってくる。アクアたちはお利口に留守番しといてくれよ」
アクアたちスライムが一斉に触手を伸ばして俺に応援してくれた。ルール的には同行させることは可能であるが、俺は1人で戦うことにした。アクアたちは俺を見送ると、アクアを先頭にシルたちがすでに取っている席のほうに移動した。
ただ勝つだけなら一緒に戦うのがベストではある。だが今回俺がこの大会に参加したのは単に勲章が欲しいだけじゃない。ここで強者と戦うことでこの先の未知の敵とも対抗できるすべを何かしら手に入れるためだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そのころ、選手発表がされ出場のない選手たちの控室では、
「いきなりシンジの登場か。こいつ楽しみやんなー」
「グロッグが相手か。なかなか見所がある戦いになりそうだな」
この後に戦いを控えているダルトンとゼノンがシンジの試合について話していた。グロッグという選手は魔法が得意でありながらも近距離戦においても冒険者ではCランク以上の実力を持っている。
「シンジがノイドと戦ったのは近距離戦やったからそこまで大きな問題はないと思う。しかし魔法に対してどれくらい対抗できるかが重要になりそうだな」
「グロッグの奴は去年からどれくらい実力をつけているかが見ものやな」
グロッグは普段冒険者としての活動が多く、ミラーゼルの闘技大会の参加は少なく大きな大会に数回出場する程度である。別の大会では優勝している経験も持っているためゼノン達にも存在をある程度知られている。
「予選で同じブロックだったが、かなり力をつけていたな。俺以外に残った3人のなかでは一番力を持っていたな。シンジの実力がまだまだ未知数だが、すぐに終わるような試合にはならないだろうな」
「ノイドを倒しているんや、こんなところで簡単に負けるような男やないぞ」
「...だな」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「君が噂の大型ルーキーシンジか」
どうやらグロッグ選手は俺のことを知ってたようだ。いや、決勝トーナメントに上がっている以上ある程度注目は受けるか。
「昨年直接倒されたノイドに、今年借りを返そうと思っていたんだけどね。まあいいさ、君をここでしっかり叩いて今年は優勝をもらう予定だ」
グロッグ選手は両手に魔法陣を発生させた。
「そう簡単に負けるわけにはいかないんでね。すぐに終わるとは思わないようお願いしますね」
「それでは、試合開始!!」
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