スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya

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第11章 テイマーの街

第173話 ゼノン大暴走

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その後は、アイシャさんが残りの相手を倒したところで第2試合が終了した。

「アイシャさん、無事残りましたね」

「去年も上がっていたし、アイシャからすれば余裕だっただろ。途中クレアに少し止められていたけど」

「正直、あの技を出すまでもなかったかも」

アイシャさんはそういうと、落ち着いた表情で席に腰をかけた。さっきまであれだけ人を倒していったとは思えないほど今は落ち着いている。第2試合で最も注目を浴びていたのだが、アイシャさん自身はそこまで疲れていなさそうだ。

「よし、次は俺の出番やな」

そういうと、ゼノンさんはすぐに観客席から離れた。ダルトンさんが動いていないところを見ると、彼は第4試合目に出るのだろう。

「大丈夫かな、ゼノンのやつ」

「なにかあるんですか。ゼノンさんはこう言ってはあまりよくないと思いますが、順当に勝つんじゃないですか?」

ダルトンさんはゼノンさんがいなくなったとたんに、少し心配そうな表情を浮かべていた。

「いや、そこの心配は全くないんだが、大人数のバトルロワイヤルになるとかなり大暴れするんだ」

アイシャさんも同意するように、こくこくとうなずいた。いくら何でもそこまで心配することはないんじゃないかと思ったが、

「1対1だと結構相手に合わせて力を制限することができるんだが、大人数だと結構加減が適当になるんだ」

「...あの時のゼノンはまるで悪魔」

口数がそこまで多くないアイシャさんにこう言わせるとうことは、それだけやばいのか。前に見た試合は普通に圧勝ぐらいに見えたが。

「とりあえず、次の試合を見ればわかることだ。試合になるかもわからないが」

そうこう会話しているうちに、第3試合の選手たちが次つぎに現れた。どの選手もかなり風格を感じさせるが、やはりゼノンさんがこの試合に出ることを知っているからか少し物足りなく感じてしまう。

「そして、最後に登場しますは正しく闘技場最強の男、歴代タイ記録を持つ『グレイトモスリーグ』4連覇、そして今回で前人未到の5連覇を狙うその男、ゼーーーノン!!!」

リングアナウンサーによる盛大なマイクパフォーマンスを受け、ゼノンさんが登場した。登場するや否や、観客席にいる人たちのほとんどの人たちが歓声をゼノンさんに送る。

「今年も優勝して、5連覇だ!!」
「伝説を残してくれゼノン!!」

中には、旗のようなものを使って応戦している者もいた。ここまでくるとスポーツのサポーターのようにも見えてくる。

「ここまでの歓声を集めることができるんですね」

「ああ、ここまで多くの人に支持されているのか」

シルがそう思うのも当然だ。どれだけ魅力があり、実力があっても見ている人にはそれぞれ好みがある。だからこそ余程の何かがなければ、人気という面で一強というのはなかなか生まれない。それでもなお、これだけの大歓声を集めるゼノンさんはカリスマ性の塊ともいえる。

一回ゼノンさんの試合は見たことがあるが、今回は大人数でのバトルロワイヤル形式。どんな試合展開が生まれるのか気になるところだ。

「すごい期待しているのはわかるが、おそらくこの試合は5分もかからないと思うぞ」

「え、そんなことありますか?」

「...いや、3分で終わる」

俺の試合はおおよそ20分、早かったアイシャさんの試合ですら10分は超えていた。それを5分で終わる、アイシャさんに至ってはさらに短い3分といった。いくら何でも40人近くを相手する以上、時間はかかるはずだが、

「確かに、あいつの攻撃手段は拳と蹴りだが....」

「これより第3試合を開始いたします。はじめ!!」

「とてもそうには見えない威力だ」

試合開始の合図と同時に、ゼノンさんは大きくジャンプした。周りの闘士皆が上空にいるゼノンさんを見上げた。ゼノンさんは腕に大量の魔力を溜めていた。

「ブラストスパーク!!」

ゼノンさんが降ってくると、拳を打ち付けた。そしてゼノンさんを中心に大きな爆発が起こった。開幕から10人以上の闘士を一撃で葬った。

「とても拳だけの威力とは思えませんね。まるで爆発系の大魔法を使ったと錯覚しますね」

流石に予想外すぎて、すぐに言葉が出なかった。ここまで来ると、単なるパンチ1つがもはやミサイルとさして変わらない。アイシャさんの時も衝撃は走ったが、ゼノンさんはそれをはるかに超えてきている。

「威力はさることながら、スピードにおいても他の追随を許さない。実際、去年ゼノンにスピード面で上回ったのはアイシャぐらいだった」

ダルトンさんは、そうゼノンさんの実力を評価した。アイシャさんも答えるようにこくこくと頷いた。試合が開始されてからもゼノンさんの独壇場で、基本パンチで仕留めているが金属の鎧をも簡単に砕いているため対戦相手のガードは意味をなしていなかった。

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