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第11章 テイマーの街
第171話 アイシャ強襲
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「シンジ様、お疲れ様です」
俺は試合を終えて軽く体の様子を診てもらい、特に異常はなかったためすぐに観客席にいるシルやスライムたちのいる場所に来た。
「まあ何とか勝ち切れた、でも運がよかったところもあるだろうな」
結果として俺は本選に勝ち残れたが、これはルールが場外アウトもリタイア扱いになっていたからでノイドさんのあの爆発する技をうまく活用できたからである。このルールがなければ試合展開はかなり変わっていたと思う。
「確かに、あのノイドさん?も場外負けしたとは言え見たところまだ余裕はあったと思います」
「シルもそう思うか。俺も似たような意見だ」
場外アウトしたのも、ガードが遅れて初動をさばけず体が吹っ飛ばされただけで、爆風によるダメージ自体はそこまで受けてないように見えた。真相はわからないが、これで俺のほうが実力があるとは全く思えない。
考えている俺に、アクアが飛び込んでその場でプルプルと震えていた。俺が勝ったことを一層祝福したい気持ちの表れのようだった。
「...そうだな、ここはひとまず勝ち残ったことを喜ぼうか」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この後も、同じように予選の試合が続いた。この後の本選に出てくる選手について偵察の意味でも、観客席から試合を見ていた。アイシャさんは第2試合に出場のようだ。
「周りの噂ですと、アイシャさんは昨年のこの大会で本選に勝ち残ったらしいですね」
「そうなのか。この前のクエストでもかなり実力を持っているのはわかっていたけど」
クエストで多少戦い方を見させてもらったときに、十分強者であることはわかっていたが真の実力をまだ見たことはない。ゼノンさんやダルトンさんの話からも、コンスタントに本選に勝ち上がるとは思うが。
「第2試合、昨年ベスト8、深紅のアイシャ!!」
アイシャさんは呼ばれて登場すると、観客席から大きな歓声が起こった。それに対して答えるわけでもなくアイシャさんはそのままリングに向かった。ダルトンさんは、軽く観客席に手を振るなどといった一種のファンサービスをしていたが、アイシャさんは特に何もなかった。
「それでもかなり人気があるな。特に女性の声がより響いている気がするな」
「アイシャさんは独特な魅力がありますよ。美しさがありながら、かっこいいとも思わせる感じですね」
確かに、アイシャさんは美人ではあるがどことなくボーイッシュな雰囲気も持っている。髪もショートカットで、赤メッシュが入っている感じで、ヴィジュアル系バンドにいてもおかしくない感じだ。
「そのうえで、実力も相当高いもんな。そりゃ人気も出てくるわけだ」
「予選第2試合、開始!!」
試合開始と同時にアイシャさんは近くにいた選手に強烈な蹴りを食らわせた。しかし、アイシャさんの蹴りに反応してガードをした。
「あの速度に反応するのか!?あの選手に関して特に何も聞かなかったが」
ガードした選手は受け止めたことに一瞬歓喜の表情を浮かべたが、一瞬にしてその表情は消えた。綺麗にガードしたはずのアイシャさんの蹴りが止まっていなかったからだ。
「アイシャの開幕速攻キックは闘技場内ではかなり知れ渡っとるからな」
「ゼノンさん!?」
後ろのほうからゼノンさんと先の試合で一緒に戦ったダルトンさんが現れた。
「アイシャは試合開始の合図と同時に近くの敵にすぐに飛び込んで削っていく戦法を多用するんだ。最近は対策されてきているが、そんなにアイシャも考えなしであの戦法を使っているわけではない」
アイシャさんの蹴りは、相手選手のガードをお構いなくはじきそのまま吹っ飛ばしてしまった。相手選手は一発で倒れてしまった。
「やみくもに狙うのではなく、力量を判断して決めれる相手に照準を定めている。だから成功率はかなり高い」
「あの戦法を使わんでも、普通に戦うだけでも十分に強いんやけどな。でもアイシャはガンガン攻めるというよりかは、相手に気付かれずに削ることが多いな」
そういわれると、この前のクエストの時も静かにしれっと仕留めているような印象はあったな。魔法攻撃も特に使用していなかったし、基本蹴りだけで攻撃していた。
実際、今もタイマンはって戦うことはなく要所要所で1人ずつ仕留めてる。これがアイシャさん本来の戦闘パターンなんだろうな。
「シンジ、本選出場つかんだな。まずはおめでとうな」
「はい、ありがとうございます。ゼノンさんはこの後の試合ですよね」
「せや、俺は3試合目出場や。いったんアイシャの様子でも見ようや」
俺は試合を終えて軽く体の様子を診てもらい、特に異常はなかったためすぐに観客席にいるシルやスライムたちのいる場所に来た。
「まあ何とか勝ち切れた、でも運がよかったところもあるだろうな」
結果として俺は本選に勝ち残れたが、これはルールが場外アウトもリタイア扱いになっていたからでノイドさんのあの爆発する技をうまく活用できたからである。このルールがなければ試合展開はかなり変わっていたと思う。
「確かに、あのノイドさん?も場外負けしたとは言え見たところまだ余裕はあったと思います」
「シルもそう思うか。俺も似たような意見だ」
場外アウトしたのも、ガードが遅れて初動をさばけず体が吹っ飛ばされただけで、爆風によるダメージ自体はそこまで受けてないように見えた。真相はわからないが、これで俺のほうが実力があるとは全く思えない。
考えている俺に、アクアが飛び込んでその場でプルプルと震えていた。俺が勝ったことを一層祝福したい気持ちの表れのようだった。
「...そうだな、ここはひとまず勝ち残ったことを喜ぼうか」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この後も、同じように予選の試合が続いた。この後の本選に出てくる選手について偵察の意味でも、観客席から試合を見ていた。アイシャさんは第2試合に出場のようだ。
「周りの噂ですと、アイシャさんは昨年のこの大会で本選に勝ち残ったらしいですね」
「そうなのか。この前のクエストでもかなり実力を持っているのはわかっていたけど」
クエストで多少戦い方を見させてもらったときに、十分強者であることはわかっていたが真の実力をまだ見たことはない。ゼノンさんやダルトンさんの話からも、コンスタントに本選に勝ち上がるとは思うが。
「第2試合、昨年ベスト8、深紅のアイシャ!!」
アイシャさんは呼ばれて登場すると、観客席から大きな歓声が起こった。それに対して答えるわけでもなくアイシャさんはそのままリングに向かった。ダルトンさんは、軽く観客席に手を振るなどといった一種のファンサービスをしていたが、アイシャさんは特に何もなかった。
「それでもかなり人気があるな。特に女性の声がより響いている気がするな」
「アイシャさんは独特な魅力がありますよ。美しさがありながら、かっこいいとも思わせる感じですね」
確かに、アイシャさんは美人ではあるがどことなくボーイッシュな雰囲気も持っている。髪もショートカットで、赤メッシュが入っている感じで、ヴィジュアル系バンドにいてもおかしくない感じだ。
「そのうえで、実力も相当高いもんな。そりゃ人気も出てくるわけだ」
「予選第2試合、開始!!」
試合開始と同時にアイシャさんは近くにいた選手に強烈な蹴りを食らわせた。しかし、アイシャさんの蹴りに反応してガードをした。
「あの速度に反応するのか!?あの選手に関して特に何も聞かなかったが」
ガードした選手は受け止めたことに一瞬歓喜の表情を浮かべたが、一瞬にしてその表情は消えた。綺麗にガードしたはずのアイシャさんの蹴りが止まっていなかったからだ。
「アイシャの開幕速攻キックは闘技場内ではかなり知れ渡っとるからな」
「ゼノンさん!?」
後ろのほうからゼノンさんと先の試合で一緒に戦ったダルトンさんが現れた。
「アイシャは試合開始の合図と同時に近くの敵にすぐに飛び込んで削っていく戦法を多用するんだ。最近は対策されてきているが、そんなにアイシャも考えなしであの戦法を使っているわけではない」
アイシャさんの蹴りは、相手選手のガードをお構いなくはじきそのまま吹っ飛ばしてしまった。相手選手は一発で倒れてしまった。
「やみくもに狙うのではなく、力量を判断して決めれる相手に照準を定めている。だから成功率はかなり高い」
「あの戦法を使わんでも、普通に戦うだけでも十分に強いんやけどな。でもアイシャはガンガン攻めるというよりかは、相手に気付かれずに削ることが多いな」
そういわれると、この前のクエストの時も静かにしれっと仕留めているような印象はあったな。魔法攻撃も特に使用していなかったし、基本蹴りだけで攻撃していた。
実際、今もタイマンはって戦うことはなく要所要所で1人ずつ仕留めてる。これがアイシャさん本来の戦闘パターンなんだろうな。
「シンジ、本選出場つかんだな。まずはおめでとうな」
「はい、ありがとうございます。ゼノンさんはこの後の試合ですよね」
「せや、俺は3試合目出場や。いったんアイシャの様子でも見ようや」
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