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第11章 テイマーの街
第169話 再戦
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試合が開始してからおおよそ10分が経過した。43名いたこのリングにはすでに半分以上の選手が消えていった。見ていると強い選手ほどそこまで多く戦わずに、ある程度削りあった敵を背後から狙うという戦法をよく見かけた。
「まさしく漁夫の利といったところだな」
1対1ではなく、バトルロワイヤル形式なうえ数十人が一斉に戦うとなれば当然魔力や体力の温存にも気を使う必要がある。そこでなるべく自身の力は残したまま的確に敵を倒す。そういう意味でも漁夫を狙うのはかなり有効的ではある。
「まあそれも、きっちり仕留めきれるだけの実力、なにより倒したときに別の敵から同じように攻められる可能性も高いから警戒も必要にはなる」
実際、この試合で一番の注目を浴びていたであろうダルトンさんはさっき助けてもらった時以外では、ほとんど強い技は出しておらず、ほとんどが基本的な技で仕留めすぐにその場から退避する、という戦法だ。他の強そうな選手も似たような戦法を使っており、大量の魔力を消費した選手を最小限の魔力だけで仕留めている。
「俺は俺のやり方で残るしかないか」
俺には相手の実力を見るだけで判断することができない。というより、正確に敵の実力を測ることができないから下手に手を出して返り討ちにあう可能性が高い。
「さすがに半分以内には入っているな、ルーキー」
「あんたは、この前の」
俺がどの敵から攻めていこうと考えていたら、目の前に数日前に手合わせした男、ノイドが現れた。前回の対戦の時とは違い、手に籠手のようなものを着けている。
「この前の借りはきっちり返させてもらう。あの時のが全力とは思わないことだな」
ノイドは戦闘態勢に入ると、さらに魔力を増幅させた。前回の対戦の時よりも明らかに大きく、濃密な魔力だ。あの時これほどの魔力を出していたらと思うと、少し寒気がする。
「でも予選で負けるわけにはいかないな」
俺は対抗することにした。この試合の形式はバトルロワイヤルであるため、別の敵を誘い出して乱戦に持ち込むことも違反ではなく実際可能な手段である。
それはかえって俺が集中砲火を食らうことになりかねないため悪手である。それに、この方法で勝ち上がったとしてもあまりメリットを感じない。
俺が魔王軍と戦うときに、第3の戦力が介入することは考えにくい。だからこそ、他の敵を誘い込むことを覚えたところで結局使いどころはほとんどない。
「ここで躓くようじゃ、魔王なんか倒せるわけないな」
俺はノイドとタイマンすることに決めた。ある程度魔力を開放することによって周りの選手を近づけないようにした。気休め程度にしかならないかもしれないが、それでもないよりはマシだろう。
すでに半数以上が脱落している、これ以上魔力消費を控える必要性もないだろう。ここからは全開で行かせてもらう。
「一直線に突っ込んでくるその気概は誉めてやろう。しかし、なんの工夫もない動きでは意味はない」
ノイドはこぶしを地面にたたきこむと、その場で大きな砂ぼこりが舞い周辺が見づらくなった。
「(正面からどこかに移動したか。後ろ、いや左後ろか)」
ちょうどその方向から大きなこぶしが飛んできた。俺はそれをギリギリでかわすと、その位置に向かって回し蹴りを放った。
「(手ごたえがない!?移動されたか)」
ノイドは、最初の攻撃をかわされたことにより位置がばれている可能性を考えてすでにその場から去っていたのだろう。もしくは当たっていようが当たってなかろうが、すぐにその場から離れるヒット&アウェイだったかもしれない。
砂ぼこりがはれると、ノイドが独特な構えをとっていた。
「まさかあの一撃を初見で躱されるとはな。正直かなり驚いたぜ」
「魔力にはかなり敏感だからな。あんたこそ、カウンターをすぐにケアしていたところも侮れないな」
俺は全力のスピードでノイドに駆け寄る。今の戦闘で、想像よりも考えて動くタイプであることを理解した。体格はかなり大きいから単純な攻撃で来るものと思っていたが、攻撃手段がわからない以上距離を置くのはよくないと思った。
「(こいつかなりのスピードを持っているな。長期戦に持ち込むのはよくなさそうだな。ここは一撃で決めることを考えたほうがいいか)【バーストスレイブ】!!」
ノイドはこぶしにかなり大きな魔力を込めて殴りかかってくる。
「(ちっ、かなりのスピードを出したからよけられない。ここは受け止めるしか)」
「この技をガードする気か。こいつの威力はお前の想像をはるかに超えるぜ」
俺は両腕に魔力を込めてガードの態勢に入った。ノイドのこぶしはそのまま俺の腕に当たった。
「爆発しろ!!」
当たった瞬間かなり大きな爆発が起こった。さすがにその衝撃に耐えられなくなりその場で吹っ飛んでしまった。魔力をかなり加えてガードしたおかげでリングアウトは阻止できたが、かなりのダメージと魔力を持ってかれた。
「こりゃあ一筋縄ではいかないな」
「まさしく漁夫の利といったところだな」
1対1ではなく、バトルロワイヤル形式なうえ数十人が一斉に戦うとなれば当然魔力や体力の温存にも気を使う必要がある。そこでなるべく自身の力は残したまま的確に敵を倒す。そういう意味でも漁夫を狙うのはかなり有効的ではある。
「まあそれも、きっちり仕留めきれるだけの実力、なにより倒したときに別の敵から同じように攻められる可能性も高いから警戒も必要にはなる」
実際、この試合で一番の注目を浴びていたであろうダルトンさんはさっき助けてもらった時以外では、ほとんど強い技は出しておらず、ほとんどが基本的な技で仕留めすぐにその場から退避する、という戦法だ。他の強そうな選手も似たような戦法を使っており、大量の魔力を消費した選手を最小限の魔力だけで仕留めている。
「俺は俺のやり方で残るしかないか」
俺には相手の実力を見るだけで判断することができない。というより、正確に敵の実力を測ることができないから下手に手を出して返り討ちにあう可能性が高い。
「さすがに半分以内には入っているな、ルーキー」
「あんたは、この前の」
俺がどの敵から攻めていこうと考えていたら、目の前に数日前に手合わせした男、ノイドが現れた。前回の対戦の時とは違い、手に籠手のようなものを着けている。
「この前の借りはきっちり返させてもらう。あの時のが全力とは思わないことだな」
ノイドは戦闘態勢に入ると、さらに魔力を増幅させた。前回の対戦の時よりも明らかに大きく、濃密な魔力だ。あの時これほどの魔力を出していたらと思うと、少し寒気がする。
「でも予選で負けるわけにはいかないな」
俺は対抗することにした。この試合の形式はバトルロワイヤルであるため、別の敵を誘い出して乱戦に持ち込むことも違反ではなく実際可能な手段である。
それはかえって俺が集中砲火を食らうことになりかねないため悪手である。それに、この方法で勝ち上がったとしてもあまりメリットを感じない。
俺が魔王軍と戦うときに、第3の戦力が介入することは考えにくい。だからこそ、他の敵を誘い込むことを覚えたところで結局使いどころはほとんどない。
「ここで躓くようじゃ、魔王なんか倒せるわけないな」
俺はノイドとタイマンすることに決めた。ある程度魔力を開放することによって周りの選手を近づけないようにした。気休め程度にしかならないかもしれないが、それでもないよりはマシだろう。
すでに半数以上が脱落している、これ以上魔力消費を控える必要性もないだろう。ここからは全開で行かせてもらう。
「一直線に突っ込んでくるその気概は誉めてやろう。しかし、なんの工夫もない動きでは意味はない」
ノイドはこぶしを地面にたたきこむと、その場で大きな砂ぼこりが舞い周辺が見づらくなった。
「(正面からどこかに移動したか。後ろ、いや左後ろか)」
ちょうどその方向から大きなこぶしが飛んできた。俺はそれをギリギリでかわすと、その位置に向かって回し蹴りを放った。
「(手ごたえがない!?移動されたか)」
ノイドは、最初の攻撃をかわされたことにより位置がばれている可能性を考えてすでにその場から去っていたのだろう。もしくは当たっていようが当たってなかろうが、すぐにその場から離れるヒット&アウェイだったかもしれない。
砂ぼこりがはれると、ノイドが独特な構えをとっていた。
「まさかあの一撃を初見で躱されるとはな。正直かなり驚いたぜ」
「魔力にはかなり敏感だからな。あんたこそ、カウンターをすぐにケアしていたところも侮れないな」
俺は全力のスピードでノイドに駆け寄る。今の戦闘で、想像よりも考えて動くタイプであることを理解した。体格はかなり大きいから単純な攻撃で来るものと思っていたが、攻撃手段がわからない以上距離を置くのはよくないと思った。
「(こいつかなりのスピードを持っているな。長期戦に持ち込むのはよくなさそうだな。ここは一撃で決めることを考えたほうがいいか)【バーストスレイブ】!!」
ノイドはこぶしにかなり大きな魔力を込めて殴りかかってくる。
「(ちっ、かなりのスピードを出したからよけられない。ここは受け止めるしか)」
「この技をガードする気か。こいつの威力はお前の想像をはるかに超えるぜ」
俺は両腕に魔力を込めてガードの態勢に入った。ノイドのこぶしはそのまま俺の腕に当たった。
「爆発しろ!!」
当たった瞬間かなり大きな爆発が起こった。さすがにその衝撃に耐えられなくなりその場で吹っ飛んでしまった。魔力をかなり加えてガードしたおかげでリングアウトは阻止できたが、かなりのダメージと魔力を持ってかれた。
「こりゃあ一筋縄ではいかないな」
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