スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya

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第11章 テイマーの街

163話 観戦後にて

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「なかなかすごいことになりましたね」

「ああ、」

俺たちは闘技場から少し離れた居酒屋で夜ご飯を食べていた。といっても、少し食べる程度である。居酒屋は先ほどの闘技場の盛り上がりで混雑している。
待っている客もかなりいて、ここでルーの分の食事も済ませようもんなら店に相当迷惑が掛かってしまう。

「ピーー―!!」

「はいはい、あなたの分はあとで出すからもう少し待っててね」

シルはお腹が空いているルーをあやしている。俺はコーヒーを飲みながら、さっきのゼノンさんの提案のことを考えていた。

「あの提案、シンジ様に向けて、ですよね」

「ああ、だろうな」

出会ってからひっきりなしに闘技場を推しまくり、俺が観戦していた日にあのルールの提案。偶然なわけがない。

「俺に向けての提案だろうな」

「シンジ様は出場なさるのですか?」

「そうだな、まだスライムに関しての情報も手に入れてないし、もう少しこの街にいる予定だからな。少し考えてみる」

あくまでこの街の滞在理由は、スライムの情報の入手がメインだ。だが、この闘技場で戦うことでレベルアップも可能だ。

また次の魔王軍の幹部が来たときのためにも、強くなることに越したことはない。特にゼノンさんのような存在には、そう簡単には出会えない。

「ひとまずここを出ようか、ルーがこれ以上我慢できなさそうだ」

ルーは我慢の限界か、かなり魔力が増大している。このまま放置すればこの店は簡単に吹き飛んでしまう。俺たちは急いで帰宅の準備をして、店を後にした。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

俺たちが今夜止まる予定の宿屋につくと、一人の男が立っていた。

「お、やっと来たか。待ってたで」

ゼノンさんだった。俺たちがここに泊まることを予想し、明らかに待ち伏せていた。

「...シルたちは先に宿で手続きを済ませて待ってて。ご飯に関してはリーンに任せる」

シルはこくりとうなづき、リーンも「かしこまりました」と体を動かした。俺の腕にいたマロもぴょんと離れた。

「ちょっと移動しよか。とっておきの場所がある」

俺はゼノンさんについていく。歩くにつれて人気がなくなってきている。

「ここや、俺のとっておきの場所や」

ゼノンさんが連れてきた場所は、小さな小屋だった。中からかなり大きな声が聞こえてくる。

「おーい、連れてきたぞ」

中に入ると、そこには屈強な男たちが何人も座って騒いでた。
「お、そいつがゼノンのお気に入りか」
「そんな強く見えないけどな」

俺をみていろいろな声が聞こえてくる。見たところ俺より強いやつはいなさそうだが、ゼノンさんのように力を隠している可能性もある。

「おう兄ちゃん、ゼノンからいろいろ聞いているけど、俺にはそこまで強いとは思えない。少し手合わせしろ」

1人の筋肉ムキムキの男が近づいてきた。見たところ全然俺より下に見えるが、かなり自信満々に見える。

「まったくお前は。すまんが相手してやってくれや」

「わかりました」

小屋の中央部分に4人ぐらいなら戦えそうなリングのようなものが設置されている。さきほどつっかけてきた男はすでにリングの上で準備をしている。

「ちなみになにかルールとかありますか?」

「特に守ってほしいことはないが、ここを壊さないこと、相手をなるべく殺さないようにしてくれれば十分や」

「俺はこのこぶしだけで戦うが、お前は剣を使ってもいいぞ」

男はポキポキと音を鳴らしながら挑発するように声をかけてきた。

「いや、これは使わない。俺もこぶしで行くよ。俺とあんたとの差がよくわかるからな」

俺は剣を地面に置き、一度肩を回す。

「では、はじめ!!」

開始の合図と同時に相手の男は魔力を高めて飛び出した。

「これは挨拶代わりの一撃だ」

威力のこもったこぶしを俺にぶつけてきた。だが魔力量は俺のほうが十分高い、俺は片手で受け止めた。

「なっ!?」

俺が簡単に止めれたのに驚いたのか、戦闘中にもかかわらずその場で固まってしまった。

「よくわかったよ、俺とあんたの差がね」

俺もこぶしに魔力を込めて、そのまま攻撃した。相手の男はガードしたが、魔力差が大きく響いたか簡単に吹っ飛んでしまった。そのまま男は気を失ってしまった。

「(闘技場ランキングで常に上位に名を連ねているノイドですらここまでたやすく倒してしもうたか)」

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