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第10章 新たなる街への旅路編
第138話 ちょいとひねる
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「ふ、食らいやがれ!」
盗賊の男は自慢の大きな剣を大きく振りかぶる。しかしその豪快さゆえあまりスピードはない。特に目を凝らさなくてもよけられる。
「ガキの割には結構やるじゃねえか。」
追撃してくるかと思い構えたが盗賊は攻撃の手を止めこちらに体を向けた。
「お前、ここら辺のやつじゃねえな。」
「なぜそう言い切れるんだ?」
「そうだな、まずはこの森で俺を見ると大抵は俺のことを知ってるやつが多いからな。だがお前はそうじゃなかった。」
「だったらなんなんだ。」
「ふっ、俺がそんなこと答えるわけないだろ!」
言い終わると同時に盗賊の魔力が高まり始めた。これからが本番ということか。俺も魔剣を抜いて臨戦態勢に入る。
「俺をただの盗賊と思わないほうがいいぞ。」
急ダッシュする盗賊、俺も魔力を高めてそのスピードについていけるようにする。さっきの遅い剣のふりからは想像できない俊敏さ、緩急の付け方がうまい。
しかしまだまだついて行けるスピードではある。油断はしないように集中力を高めておく。
「ほう、このスピードについていけるのか。」
「こんなスピードまだまだ序の口だ。」
キリキリと剣で受け止めながらそんなことを思う。パワーも押し切られることはない。
「スライムテイマーの割に近接戦がここまでとはな。」
そういえばテイマーは基本戦わないのか。そりゃ驚くのも納得ではあるが。
「あんまりなめてかからなほうがいい。こっからはもっと本気で行く。」
魔剣に魔力をさらに流し込んでパワーを高める。さすがに盗賊も受け止めきれなくなり押されそうになるがギリギリのところではじいてその場を離れた。
「パワーもここまでとは思わなかった。名前は?」
「シンジだ。」
「聞いたことないな。しかしこの実力で無名の冒険者?」
特に名前が知れ渡ることに興味はない、それに下手に勇者だというのがばれるのもなにかとめんどくさい。
「まあ、ギルドに話を聞けばわかる話だ。」
(突っ込まれるかもしれないので解説、なぜ盗賊なのにギルドに話を聞けるのかというと顔を変えることができる能力を持っているからである)
「そうはいかない。」
俺は魔剣に流している魔力の性質を変える。ただ淡い光を帯びていた魔剣に火がまとわり始める。
「な!?それは魔剣術!?」
「行くぞ!!」
盗賊はなんか驚いているが俺はそんなこと気にせずに剣を振る。盗賊は剣を構えて応戦するがその剣はあっさりと切れてしまった。
「くそ、このまま引き下がれるか。」
盗賊は袖からナイフを出して突き出すがそれをハイキックで手を狙う。見事命中してナイフはポーンとどこかに飛んでいく。
あっけにとられている盗賊だが、俺は攻撃の手を緩めずそのまま近づき高く飛んで盗賊の首を足でつかんでそのまま後方に投げる。フランケンシュタイナーを食らった盗賊はきれいに首から地面に落ち、体がしびれているような動きをしている。
「く、」
「まだそれなりに意識があるのか。」
かなり危険な角度で落としたつもりだったけどさすがに雑魚ではないということか。まあうちのスライムたちに手を出そうとした罰だがな。
「どうやら手を出す相手を間違えたようだな、俺は。あんな変わった体術がくるなんてな。」
そういえばこの世界に来てからプロレス技を初めて見たやつらは全員素っ頓狂な表情で受けてたな。フリースはすぐに対応できてたが。
「俺たちはもう失礼する。もう気は済んだし殺すつもりはない。」
「ふ、甘いなあ。」
「なにを言って...!?」
盗賊が話し終えると地面が隆起し始めた。そして地面にひびが入りそこからでかいツタのようなものが俺の体にまとわりつく。
「くく、意識さえあればこれぐらいのことはできる。」
「シンジ様!?」「キュー!?」
「おお、と。下手に動けば今すぐにこいつを絞め殺すからな。」
アクアとシルが駆け寄ろうとするがそれを盗賊が遮る。倒れながら言ってるためあまり威厳がないがそれでもかなりの威圧感がある。
「甘いのはどっちだよ、と。」
しかし俺はまとわりつくツタをいともたやすく切った。そのままツタの上から盗賊を見下ろす。
「な、いったいどうやって!?」
「なにも特別なことはしてない。ただ魔力で切っただけだ。」
「それだけで説明がつくわけ...」
もういい、と俺はツタの上から盗賊に向かって一回転しながら落ちた。プロレス技の一つのファイアーバードスプラッシュだ。
綺麗に盗賊の上でバウンドして腹部に大きなダメージを与えられた。フランケンシュタイナーのダメージが抜けてないのか身動きできずに攻撃を浴びた盗賊。
「さて、と。終わったしマーク10まで目指そうか。」
「そうですね。」
みんなを連れて本来の目的であるこの森の出口に向かって歩みを進めた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「俺としたことがまさか狙いを間違えるなんてな。」
薄れゆく意識の中で盗賊はそんなことを考えた。近接戦である程度シンジの能力を測り、そのうえで最後の魔法を放った。
防ぐことはできないと踏んでいた。事実シンジは食らってしまった。しかしそのなかである大誤算が生じそれが結果彼を敗北に招いた。
それはシンジの体内に保有する魔力の量だった。あの魔法を簡単に破られると思わなかったためインパクトはかなり大きいものだった。
「シンジ、か。」
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更新遅れて申し訳ありません
盗賊の男は自慢の大きな剣を大きく振りかぶる。しかしその豪快さゆえあまりスピードはない。特に目を凝らさなくてもよけられる。
「ガキの割には結構やるじゃねえか。」
追撃してくるかと思い構えたが盗賊は攻撃の手を止めこちらに体を向けた。
「お前、ここら辺のやつじゃねえな。」
「なぜそう言い切れるんだ?」
「そうだな、まずはこの森で俺を見ると大抵は俺のことを知ってるやつが多いからな。だがお前はそうじゃなかった。」
「だったらなんなんだ。」
「ふっ、俺がそんなこと答えるわけないだろ!」
言い終わると同時に盗賊の魔力が高まり始めた。これからが本番ということか。俺も魔剣を抜いて臨戦態勢に入る。
「俺をただの盗賊と思わないほうがいいぞ。」
急ダッシュする盗賊、俺も魔力を高めてそのスピードについていけるようにする。さっきの遅い剣のふりからは想像できない俊敏さ、緩急の付け方がうまい。
しかしまだまだついて行けるスピードではある。油断はしないように集中力を高めておく。
「ほう、このスピードについていけるのか。」
「こんなスピードまだまだ序の口だ。」
キリキリと剣で受け止めながらそんなことを思う。パワーも押し切られることはない。
「スライムテイマーの割に近接戦がここまでとはな。」
そういえばテイマーは基本戦わないのか。そりゃ驚くのも納得ではあるが。
「あんまりなめてかからなほうがいい。こっからはもっと本気で行く。」
魔剣に魔力をさらに流し込んでパワーを高める。さすがに盗賊も受け止めきれなくなり押されそうになるがギリギリのところではじいてその場を離れた。
「パワーもここまでとは思わなかった。名前は?」
「シンジだ。」
「聞いたことないな。しかしこの実力で無名の冒険者?」
特に名前が知れ渡ることに興味はない、それに下手に勇者だというのがばれるのもなにかとめんどくさい。
「まあ、ギルドに話を聞けばわかる話だ。」
(突っ込まれるかもしれないので解説、なぜ盗賊なのにギルドに話を聞けるのかというと顔を変えることができる能力を持っているからである)
「そうはいかない。」
俺は魔剣に流している魔力の性質を変える。ただ淡い光を帯びていた魔剣に火がまとわり始める。
「な!?それは魔剣術!?」
「行くぞ!!」
盗賊はなんか驚いているが俺はそんなこと気にせずに剣を振る。盗賊は剣を構えて応戦するがその剣はあっさりと切れてしまった。
「くそ、このまま引き下がれるか。」
盗賊は袖からナイフを出して突き出すがそれをハイキックで手を狙う。見事命中してナイフはポーンとどこかに飛んでいく。
あっけにとられている盗賊だが、俺は攻撃の手を緩めずそのまま近づき高く飛んで盗賊の首を足でつかんでそのまま後方に投げる。フランケンシュタイナーを食らった盗賊はきれいに首から地面に落ち、体がしびれているような動きをしている。
「く、」
「まだそれなりに意識があるのか。」
かなり危険な角度で落としたつもりだったけどさすがに雑魚ではないということか。まあうちのスライムたちに手を出そうとした罰だがな。
「どうやら手を出す相手を間違えたようだな、俺は。あんな変わった体術がくるなんてな。」
そういえばこの世界に来てからプロレス技を初めて見たやつらは全員素っ頓狂な表情で受けてたな。フリースはすぐに対応できてたが。
「俺たちはもう失礼する。もう気は済んだし殺すつもりはない。」
「ふ、甘いなあ。」
「なにを言って...!?」
盗賊が話し終えると地面が隆起し始めた。そして地面にひびが入りそこからでかいツタのようなものが俺の体にまとわりつく。
「くく、意識さえあればこれぐらいのことはできる。」
「シンジ様!?」「キュー!?」
「おお、と。下手に動けば今すぐにこいつを絞め殺すからな。」
アクアとシルが駆け寄ろうとするがそれを盗賊が遮る。倒れながら言ってるためあまり威厳がないがそれでもかなりの威圧感がある。
「甘いのはどっちだよ、と。」
しかし俺はまとわりつくツタをいともたやすく切った。そのままツタの上から盗賊を見下ろす。
「な、いったいどうやって!?」
「なにも特別なことはしてない。ただ魔力で切っただけだ。」
「それだけで説明がつくわけ...」
もういい、と俺はツタの上から盗賊に向かって一回転しながら落ちた。プロレス技の一つのファイアーバードスプラッシュだ。
綺麗に盗賊の上でバウンドして腹部に大きなダメージを与えられた。フランケンシュタイナーのダメージが抜けてないのか身動きできずに攻撃を浴びた盗賊。
「さて、と。終わったしマーク10まで目指そうか。」
「そうですね。」
みんなを連れて本来の目的であるこの森の出口に向かって歩みを進めた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「俺としたことがまさか狙いを間違えるなんてな。」
薄れゆく意識の中で盗賊はそんなことを考えた。近接戦である程度シンジの能力を測り、そのうえで最後の魔法を放った。
防ぐことはできないと踏んでいた。事実シンジは食らってしまった。しかしそのなかである大誤算が生じそれが結果彼を敗北に招いた。
それはシンジの体内に保有する魔力の量だった。あの魔法を簡単に破られると思わなかったためインパクトはかなり大きいものだった。
「シンジ、か。」
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