スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya

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第9章 温泉街リリーシア

第113話 報復

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 「さて、ブートたちに聞きたいことがあるんだが、」

 「なんでこいつがここにいるんだ!?」

ブートは俺達がここにいることにかなり動揺している。その目はまるで幽霊でも見ているようだ。

 「お前はどうせ俺達が魔王幹部を倒せずに死んだと思ってたんだろ。」

 「お前ただのスライムテイマーだろ、なぜ...いや、どうせ尻尾巻いて逃げてきたんだろ。」

は?こいつは何を言ってるんだ?

 「それで急いで逃げてギルドマスターにすがりついてんだろ。」

 「俺達のことをお前の勝手な基準で判断するな。」

 「じゃあ証拠のひとつでも見せてみろってんだよ。」

こいつ、自分は虚偽の報告のときに何も示さなかったくせしてこのクソ野郎。

 「じゃあ、ブート。これがなんだかわかるか?」

 「あ?何だその魔石?そんなもん見せ付けてなにになるんだよ。

ヨーグさんは机においてあったフリースの魔石を持ち上げてブートに見せるもなにも気づいてないのか依然態度を変えない。

 「じゃあ、今度はこっちを見てもろ。」

 「そんなもん見せて何...ひっ!?」

 「どうやら覚えありだな。」

ヨーグさんは今度はフリース本体を見せ付けた。最初こそ余裕そうな表情だったが見たとたんに顔色が真っ青になりひざがガクガクと震え始めた。

 「な、何を言ってるんだ、よ。」

 「仕方ない、ギルドマスター頼みます。」

 「もちろんだ、『記憶解析メモリアルアナライズ』。」

 「ひ、や、やめてくれ!!」

 「ブートもちゃんと知ってるようだな。ギルドマスターは記憶の一部を読むことが出来る。」

ギルドマスターにもそんな能力があるのか。ヴィルさんの魔眼にもかなり驚いたがそれを超える能力だとは。

 「...ほうほう、確かにお前達の前に幹部がいるのが見える。」

 「すごい。」

シルが素直にギルドマスターの能力に驚く。俺もだ。

 「これでお前達の悪事が暴露したな。」

 「く、」

 「さらに他にもお前達の悪事はばれてる。」

ヨーグさんはさらにブートが設置したであろう罠をいくつか出し始める。

 「先ずはこの石だ。」

 「うん、こ、これは!?」

 「お前が違法で持ってきたヒュージサーペントの召喚石だ。」

この石を見るや否やブートの額はさらに汗を噴き出していた。

 「この召喚石にお前の魔力が流れている。つまりお前は外で使ったということで完全に犯罪だ。」

 「く、くそーー。お前が、お前みたいなスライムテイマーがあんな化け物を倒しやがるせいで!!」

完全に自身の悪事がばれてしまったブートはそう叫びながら拳に魔力をこめて飛びついてくる。

 「きゅー!!」

じゅううううーーー!! 

 「ああ!!腕がー!!」

マロがブートの腕に思い切り溶解液をぶっ掛けた。ブートの腕は煙を出している。完全に溶けてないのは魔力をこめていたからだろう。

 「まだその程度でよかったな。それが顔にかかってたらお前、死んでたぞ。」

まだマロが子スライムでよかったな。もし容赦が無かったらこいつの首から上はなくなってただろう。ワイバーンのときは楽しそうに一発で倒していた。

 「その程度で転げまわるくせによくうちのシルを勧誘したな。」

 「くそー!なめやがって!!」

俺は腕の痛みに転げまわってるブートに近づき少し煽ってみる。まあ、予想通り簡単に乗ってきた。

 「食らえ『ダークエクスプロージョン』!!」

 「『フレイムインパクト』」

パシュン!

ブートは残ってる魔力を使い溶けてない左手で闇魔法を出してくる。俺は火魔法でブートの魔法を打ち消す。

 「な、なんでその程度の魔法で俺の『ダークエクスプロージョン』を完全に打ち消すなんて。」

 「おいおい、ただのスライムテイマーに打ち消された気分はどうだ?」

 「くそ、お前なんかいなければ、お前なんかいなければーー。」

 「もういい、」

無理に飛んできたブートに蹴りを入れる。ブートの即頭部に完璧にヒットし気を失いながら頭から倒れる。

 「二度と俺の仲間を侮辱するな。」

聞こえてないはずのブートに俺はそう言った。

 「さて、そっちのお仲間さんはどうする?」

 「はあ、勝手にしろ。どうせ暴れても捕まるだけだしな。」

ギルドマスターはブートの横にいた仲間に声をかけ捕まえる準備を始めた。抵抗のない二人は即座にギルドマスター室から出て行った。

~~~~~~~~~

 「ギルドマスター、あいつの処置はどうなるんですか?」

 「そうだな、仲間のほうはわからないがブートに関しては死刑は避けられない。」

「そんなに酷い刑になるんですか!?」

 「シンジはあまり知らないようだな。あの召喚石だけでも終身刑は避けられない。その上その召喚石を悪質に使ったことでさらに刑は重くなる。」

そこまであの召喚石は重要なものだったのか?でもなぜあいつはそんな石を手に入れることができたのか。

 「それでお前達については明日以降に伝えるから待て。さすがに魔王幹部クラスの処理となるとかなり時間がかかる。おそらくしばらく俺はここを離れることになる。」

 「でしょうな、それだけの事態ですな。むしろ俺達がかかわっていることが少しおかしいぐらいです。」

 「シンジに関してはこの後もう少し話がある。ヨーグたちは席をはずしてくれ。」

 「わかりました。シンジまたな。」

ヨーグさん達は手を軽く振りながら出て行った。

 「これをどう見る?シンジ。」

 「おそらく魔王軍の侵攻でしょうね。しかもかなり重要ですね。」

 「だろうな、前にお前が魔王の魔法にかかったことがあったな。ということはかなり危険になってるってことか。」

 「正直相手がまだよかったです。」

格闘しかしない相手だったからよかったけど体の表面に毒があったり隠しナイフを使うやつだったりしたらプロレス技は通用しなかっただろう。

 「なら、ここからかなり離れた場所にあるが第二の王都[ミラーゼル]に行ってみるといい。」

 「ミラーゼル?」

 「そこには闘技場がある。そこで鍛えることも出来る。」

 「そうですか、少し考えて見ます。」

 「まあそれがいいだろう。それにしばらくはリリーシアから離れることは出来ないしな。」

今回の報酬やその後の処理がかなり問題になってるんだろう。

 「今日のところは一旦帰れ。また呼ぶからな。」

 「わかりました。」

俺達はワーグさんに挨拶をしてギルドマスター室を後にした。

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