スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya

文字の大きさ
上 下
103 / 196
第9章 温泉街リリーシア

第102話 情報屋シル

しおりを挟む
 「シル、あのヒドラなんだけど、何か弱点とか特徴とかわかるか?」

 「はい、おそらくあればグリーン種のヒドラです。」

 「グリーン種?」

 「グリーン種というのは長い間木々や森の中に生活したモンスターがその木々と共和し力をもらうことができる種です。ヒドラにしてはやけに緑色だったのでそうでないかと思います。」

 「じゃあ木が枯れているのは、ヒドラが吸収したからってことか?」

 「見る限りではそうだと思います。魔力が高くなってるので木の魔力を糧にして強くなってますね。」

 「わかった、テイロ、もう一度隠してくれ。」

シルから情報を聞き、またテイロにシルをドームに隠してもらう。シルはまだ話せていたけどマロやルーはとんでもなく辛そうだった。それだけあのヒドラが出す魔力が強力であり、グリーン種の能力アップもすごいというのがわかる。

 「キュー!」

アクアは木を使いバウンドしながらボヨンボヨンとヒドラの攻撃をスルスルっと避けている。

 「ギシャアー!」

 「ピュー!」

避けられることが腹立たしくなりヒドラは風魔法を放つがそれをリーンがお返しと言わんばかりに風魔法を撃ち返すため、ヒドラは攻めあぐねている。

だがそれはアクアとリーンのスライムコンビも同じで、情報がないだけにどうしても決めの一手がなかなか出せない。

 ドゴ!

 「おまたせ、」

 「キュー!」「ピュー!」

アクアとリーンに引きつけられ見事なガラ空きな腹部に思いっきり蹴りを入れる。魔力も込めたため流石に耐えきれずヒドラは倒れる。

 「アクアとリーンは一旦離れて。」

 「キュー?」「ピューー!」

アクアはイマイチピンときてないがリーンは何か気づいたのか腕を伸ばしアクアを掴んでその場を立ち去る。

 「 爆発をイメージして、と。」

静かに魔法を唱える。そしてヒドラを引き寄せるために。

 「こっち来いよトカゲやろう。」

言葉が通じるとは思えないが軽い挑発ぐらいでこっちに目線を向けさせる。

 「ギシャアー!ガアーーー!」

あ、意外と乗っかるタイプだった。そしてヒドラは怒りに満ちているのかかなり大きい火の玉をいくつも飛ばしてくる。

 「ここだ、」

俺は大量の火の玉の間を通ってヒドラにぶつかりに行く。

ボオン!

トペ・スイシーダ(プロレスの場外への飛び技の一つで、リングのロープ間を通り抜けて頭から相手にぶつかりに行く技)を意識してあたる直前に『アトミックフレイムボンバー』と言う爆発系統の魔法でヒドラを吹き飛ばす。

 「グ、ググ...」

かなりの勢いで思い切り吹き飛ばされたヒドラ。周りの森の木々は一掃され更地になった。ヒドラの首は3本ほどなくなっていた。森の強化があったから全部は吹き飛ばされなかった。が、

 「グ?ガアアーーーーー」

ヒドラの首の再生がかなり遅くなっている。それに邪悪な魔力もまったく感じない。やはり強かった理由はここが森だったからか。

 「アクアもう一度あいつをひきつけてくれ。リーンもさっきの風魔法の準備を。」

 「キュー!」「ピュー!」

後ろにいたアクアはぴょーんと前に出て行ってヒドラをかく乱する。木が無いから動きにくいかな、と思ったけどヒドラがまずパワーダウンしているからけっこう簡単にひきつけてる。

 「キュ♪」

 「ガアーーー!」

アクアは遊んでいるぐらいに楽勝に動いているがヒドラはとんでもなくつらそう。というかアクアのスタミナがとんでもないんだよなー。

 「ピュー!」

 「よし、それじゃあ撃ってくれ。」

リーンは準備が完了しぴょんとひとつ跳ねて大きな突風をだす。さきほど同様魔剣に魔力を流しリーンの風魔法を受け止める。そして俺の火魔法と合わせて強力な火の魔剣を作り上げる。

 「アクア、こっちに来い!!」

 「キュ!」

アクアは声に反応してこっちに向かってくる。ヒドラも当然こっちに向かってくる。足元に風魔法をまとわせ回転切りをする際により切れ味がよくなるようにする。

 「今度こそその首全部もらうぞ、」

 「ギャアーーーーー!!」

ヒドラはアクアが完全に視界から離れ俺に注目する。そしていっせいに6本すべての首で噛み付きにくる。

シュン!スパスパスパスパスパスパ!!

 「どうだ、」

ヒドラの首すべてを切り飛ばし、ヒドラの体がバタンと倒れる。首は再生しないし、ピクリとも動かなくなった。

 「ふうーー、やっと終わったか。」

さすがに魔力をだいぶ使ったからかその場で座り込む。

 「キュー!」「ピュー!」

アクアとリーンがぴょんぴょんと跳ねてやってきてそのままポヨンと飛びついてくる。

 「シンジ様!」「ピイー!!」

後ろからは元気そうな二人の声が聞こえてくる。顔色もいいからヒドラは完全に倒れたんだろう。

 「とりあえずこれどうしようか。」

特に問題が無いのならこのまま解体してもらうが、ヒドラとなれば安直に解体するのはまずいかな。何よりもあの冒険者達のことが気がかりだ。

 「おーーーーい、大丈夫か!?」

先ほどこの場を去った人たちが戻って来た。

 「....って何じゃこりゃーーーーー!!!???」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

スキルを極めろ!

アルテミス
ファンタジー
第12回ファンタジー大賞 奨励賞受賞作 何処にでもいる大学生が異世界に召喚されて、スキルを極める! 神様からはスキルレベルの限界を調査して欲しいと言われ、思わず乗ってしまった。 不老で時間制限のないlv上げ。果たしてどこまでやれるのか。 異世界でジンとして生きていく。

努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果

ひむよ
ファンタジー
全てが平均的な少年、山田 涼太。 その少年は努力してもしなくても、何をしても平均的だった。そして少年は中学2年生の時に努力することをやめた。 そのまま成長していき、高校2年生になったとき、あることが起こり少年は全てが異常へと変わった。 それは───異世界召喚だ。 異世界に召喚されたことによって少年は、自分のステータスを確認できるようになった。すぐに確認してみるとその他の欄に平均的1と平均的2というものがあり、それは0歳の時に入手していた! 少年は名前からして自分が平均的なのはこれのせいだと確信した。 だが全てが平均的と言うのは、異世界ではチートだったのだ。 これは平均的で異常な少年が自由に異世界を楽しみ、無双する話である。 hotランキング1位にのりました! ファンタジーランキングの24hポイントで1位にのりました! 人気ランキングの24hポイントで 3位にのりました!

女神様の使い、5歳からやってます

めのめむし
ファンタジー
小桜美羽は5歳の幼女。辛い境遇の中でも、最愛の母親と妹と共に明るく生きていたが、ある日母を事故で失い、父親に放置されてしまう。絶望の淵で餓死寸前だった美羽は、異世界の女神レスフィーナに救われる。 「あなたには私の世界で生きる力を身につけやすくするから、それを使って楽しく生きなさい。それで……私のお友達になってちょうだい」 女神から神気の力を授かった美羽は、女神と同じ色の桜色の髪と瞳を手に入れ、魔法生物のきんちゃんと共に新たな世界での冒険に旅立つ。しかし、転移先で男性が襲われているのを目の当たりにし、街がゴブリンの集団に襲われていることに気づく。「大人の男……怖い」と呟きながらも、ゴブリンと戦うか、逃げるか——。いきなり厳しい世界に送られた美羽の運命はいかに? 優しさと試練が待ち受ける、幼い少女の異世界ファンタジー、開幕! 基本、ほのぼの系ですので進行は遅いですが、着実に進んでいきます。 戦闘描写ばかり望む方はご注意ください。

転生前のチュートリアルで異世界最強になりました。 準備し過ぎて第二の人生はイージーモードです!

小川悟
ファンタジー
いじめやパワハラなどの理不尽な人生から、現実逃避するように寝る間を惜しんでゲーム三昧に明け暮れた33歳の男がある日死んでしまう。 しかし異世界転生の候補に選ばれたが、チートはくれないと転生の案内女性に言われる。 チートの代わりに異世界転生の為の研修施設で3ヶ月の研修が受けられるという。 研修施設はスキルの取得が比較的簡単に取得できると言われるが、3ヶ月という短期間で何が出来るのか……。 ボーナススキルで鑑定とアイテムボックスを貰い、適性の設定を始めると時間がないと、研修施設に放り込まれてしまう。 新たな人生を生き残るため、3ヶ月必死に研修施設で訓練に明け暮れる。 しかし3ヶ月を過ぎても、1年が過ぎても、10年過ぎても転生されない。 もしかしてゲームやりすぎで死んだ為の無間地獄かもと不安になりながらも、必死に訓練に励んでいた。 実は案内女性の手違いで、転生手続きがされていないとは思いもしなかった。 結局、研修が15年過ぎた頃、不意に転生の案内が来る。 すでにエンシェントドラゴンを倒すほどのチート野郎になっていた男は、異世界を普通に楽しむことに全力を尽くす。 主人公は優柔不断で出て来るキャラは問題児が多いです。

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

処理中です...