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第9章 温泉街リリーシア
第99話 ルーの新たな能力
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リーティ草の採集も早く終わり、ゴブリン討伐のために探索することにした。テイロ達がリーティ草を見つけた時には見かけなかったらしいから近辺にはいない。
「アクア頼むぞ。」
「キュー!」
こういう時にもアクアの探査能力が輝く。範囲はわからないが、かなり広域なのはわかる。特に背後からの奇襲を受けたことがないからだ。
「ただ移動に時間がかかるか?」
探索できて速いとは言えスライムだ。ぴょんぴょんと移動するためそれなりに時間もかかる。さらに森という地形の悪さも考慮しないといけない。アクアや探査能力を持つミニスライム達も悩んでいた。
「ピイー、」
「うん?どうかした?ルー。」
アクア達と悩んでいるところにルーがトコトコと近づいてくる。
「ルーも何か手伝いたいそうです。」
「ピイ!」
「そうか、でも大丈夫だから気にしないでい…………!?」
何か心配そうに見てくるルーを見ると、そこには幻想的な光景が広がっていた。
「……小鳥?」
ルーの周りに白と銀色の混じった、まるでルーを擬鳥化したような小鳥が3匹ほど飛んでいた。しかもルーと会話をしている様子からしてルーが関わっていることは一目瞭然。
「シルは何が起きてるかわかるか?」
「……これはおそらく私たち天使が使う『使徒召喚』に似た魔法だと思われます。本来なら召喚者の魔力を糧に行動する使徒が自身の使徒を召喚することはありえないはずです。」
シルはいつもよりも気持ち弱めにそう話す。
「しかし、この子は神鳥種。もしかしたら鳥つながりで出せたのかもしれません。今ルーの念話で聞こえてる限りでは楽しそうに会話してます。」
「そうか、でもなんでいきなり呼び始めたんだろ。魔力を使うってことはより負担がかかることになるはずだけど。」
「ちょっと待ってください、ルー、………うん、うん、!?そういうことなのね!!」
「ちょちょ何が起こってるの?」
聞いてみると、小鳥さんを使ってうちのスライム達を運べないか?ということだった。小鳥の速度を見てみたらスライム達のスピードを優に越していた。
「問題ないかな?それなら頼むよ。」
「ピイー!ピイー、」
『任せろ』と羽で胸元を叩くと小鳥達に会話をして小鳥はミニスライム達を乗せる。アクアはサイズ的に乗れなかった。残念そうにするアクアを抱き上げて腕の中にしまう。
「ピイー、『よろしく頼むよ、』」
「「「ピイ!」」」
ルーが3匹の小鳥に声をかけると、揃えて鳴き声を出した後、探索に向かった。ミニスライムたちを乗せても特に問題なく飛んで行った。
「ピイ、」
「ん?ああ、お腹空いたんだね。シンジ様、パンをいくつかいいですか?」
「もちろんいいよ。」
小鳥を出すためにさらに魔力を出したからお腹が空いたのか。惣菜パンを3つほど渡すとモリモリと食べる。その姿は可愛らしい女の子である。
「そういえば、」
マロは今でも帽子をつけている。温泉の時にはなぜか魔力が漏れてなかった。理由は分からずじまい。でも今つけてる理由は前と同じで抑えられないからだ。それに初めて体色を変えてまで怒った理由もきになる。心配する時でも白色のままなのに。さらに言えば温厚なスライムの中でも特に温厚なエンジェルスライム、そんなマロがあんなに怒るか?
「ピイー!」
「あ、見つかったのね。シンジ様、ルーの小鳥が案内してくれるそうですので行きましょう。」
「ん?ああ、そうだな。」
これがまさしく神のみぞ知るってやつかな。
~~~~~~~~
「きーーーい、なんなのあいつ!!」
ここ精霊界で、一人の精霊が怒りに怒り叫んでいた。
「なんなのスライムが最底辺のモンスターって!!あなた一度もまともに育てたことないでしょ!!」
スライムの精霊、エレノアだった。彼女はマロを通してシンジの行動を観察している。万が一の時に対処するため、以前の魔王の魔法陣の時のように。
今怒り狂ってる理由は、シンジが温泉で相対したスライムを罵った男だ。その様子をマロを通してみていたため我慢の限界がきたようだ。
「だけど、少しやりすぎたかな?いや、むしろまだ足りないわね。」
マロの体色の変化はエレノアの心の色を映し出した。そのため普段は変わらないはずが怒りの赤色になった。
さらに言うとマロの魔力漏れを抑えたのはエレノアがマロに力を入れてしまったためだ。溶解液もシンジは気づいてなかったが綺麗な丸を描いた穴を作っていた。アクアでもできない芸当だ。
「次会った時は殺す、と言いたいけどそうも言えないわね。」
ここで下手に殺してしまえば、被害を被るのはその従魔を持つシンジになる。ここでシンジが犯罪者になればエレノアの真の目的も潰えてしまう。
「これからもあいつと会うかもしれないけど、彼ならなんとかするかな。私と同じスライム愛好家だからね。」
エレノアはそう決意し、マロを通してその後も観察を続けた。
~~~~~~~~
「ここか、」
小鳥達に案内してもらった場所にしっかりとゴブリン、しかも50は超える数がいた。クエストには10体の討伐が目標だが、魔石などの調達のために全滅するつもりだ。
「それじゃあ突撃するよ。」
「はい、」「ピイ!」「キュー!」「ピュー!」
俺、シル、ルー、アクア、リーンに20匹のミニスライムで突撃する。テイロと残りのミニスライムは逃げたゴブリンの追い討ちを任せる。
「ギャアー!」
さあ、戦闘だ。
「アクア頼むぞ。」
「キュー!」
こういう時にもアクアの探査能力が輝く。範囲はわからないが、かなり広域なのはわかる。特に背後からの奇襲を受けたことがないからだ。
「ただ移動に時間がかかるか?」
探索できて速いとは言えスライムだ。ぴょんぴょんと移動するためそれなりに時間もかかる。さらに森という地形の悪さも考慮しないといけない。アクアや探査能力を持つミニスライム達も悩んでいた。
「ピイー、」
「うん?どうかした?ルー。」
アクア達と悩んでいるところにルーがトコトコと近づいてくる。
「ルーも何か手伝いたいそうです。」
「ピイ!」
「そうか、でも大丈夫だから気にしないでい…………!?」
何か心配そうに見てくるルーを見ると、そこには幻想的な光景が広がっていた。
「……小鳥?」
ルーの周りに白と銀色の混じった、まるでルーを擬鳥化したような小鳥が3匹ほど飛んでいた。しかもルーと会話をしている様子からしてルーが関わっていることは一目瞭然。
「シルは何が起きてるかわかるか?」
「……これはおそらく私たち天使が使う『使徒召喚』に似た魔法だと思われます。本来なら召喚者の魔力を糧に行動する使徒が自身の使徒を召喚することはありえないはずです。」
シルはいつもよりも気持ち弱めにそう話す。
「しかし、この子は神鳥種。もしかしたら鳥つながりで出せたのかもしれません。今ルーの念話で聞こえてる限りでは楽しそうに会話してます。」
「そうか、でもなんでいきなり呼び始めたんだろ。魔力を使うってことはより負担がかかることになるはずだけど。」
「ちょっと待ってください、ルー、………うん、うん、!?そういうことなのね!!」
「ちょちょ何が起こってるの?」
聞いてみると、小鳥さんを使ってうちのスライム達を運べないか?ということだった。小鳥の速度を見てみたらスライム達のスピードを優に越していた。
「問題ないかな?それなら頼むよ。」
「ピイー!ピイー、」
『任せろ』と羽で胸元を叩くと小鳥達に会話をして小鳥はミニスライム達を乗せる。アクアはサイズ的に乗れなかった。残念そうにするアクアを抱き上げて腕の中にしまう。
「ピイー、『よろしく頼むよ、』」
「「「ピイ!」」」
ルーが3匹の小鳥に声をかけると、揃えて鳴き声を出した後、探索に向かった。ミニスライムたちを乗せても特に問題なく飛んで行った。
「ピイ、」
「ん?ああ、お腹空いたんだね。シンジ様、パンをいくつかいいですか?」
「もちろんいいよ。」
小鳥を出すためにさらに魔力を出したからお腹が空いたのか。惣菜パンを3つほど渡すとモリモリと食べる。その姿は可愛らしい女の子である。
「そういえば、」
マロは今でも帽子をつけている。温泉の時にはなぜか魔力が漏れてなかった。理由は分からずじまい。でも今つけてる理由は前と同じで抑えられないからだ。それに初めて体色を変えてまで怒った理由もきになる。心配する時でも白色のままなのに。さらに言えば温厚なスライムの中でも特に温厚なエンジェルスライム、そんなマロがあんなに怒るか?
「ピイー!」
「あ、見つかったのね。シンジ様、ルーの小鳥が案内してくれるそうですので行きましょう。」
「ん?ああ、そうだな。」
これがまさしく神のみぞ知るってやつかな。
~~~~~~~~
「きーーーい、なんなのあいつ!!」
ここ精霊界で、一人の精霊が怒りに怒り叫んでいた。
「なんなのスライムが最底辺のモンスターって!!あなた一度もまともに育てたことないでしょ!!」
スライムの精霊、エレノアだった。彼女はマロを通してシンジの行動を観察している。万が一の時に対処するため、以前の魔王の魔法陣の時のように。
今怒り狂ってる理由は、シンジが温泉で相対したスライムを罵った男だ。その様子をマロを通してみていたため我慢の限界がきたようだ。
「だけど、少しやりすぎたかな?いや、むしろまだ足りないわね。」
マロの体色の変化はエレノアの心の色を映し出した。そのため普段は変わらないはずが怒りの赤色になった。
さらに言うとマロの魔力漏れを抑えたのはエレノアがマロに力を入れてしまったためだ。溶解液もシンジは気づいてなかったが綺麗な丸を描いた穴を作っていた。アクアでもできない芸当だ。
「次会った時は殺す、と言いたいけどそうも言えないわね。」
ここで下手に殺してしまえば、被害を被るのはその従魔を持つシンジになる。ここでシンジが犯罪者になればエレノアの真の目的も潰えてしまう。
「これからもあいつと会うかもしれないけど、彼ならなんとかするかな。私と同じスライム愛好家だからね。」
エレノアはそう決意し、マロを通してその後も観察を続けた。
~~~~~~~~
「ここか、」
小鳥達に案内してもらった場所にしっかりとゴブリン、しかも50は超える数がいた。クエストには10体の討伐が目標だが、魔石などの調達のために全滅するつもりだ。
「それじゃあ突撃するよ。」
「はい、」「ピイ!」「キュー!」「ピュー!」
俺、シル、ルー、アクア、リーンに20匹のミニスライムで突撃する。テイロと残りのミニスライムは逃げたゴブリンの追い討ちを任せる。
「ギャアー!」
さあ、戦闘だ。
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